個別労働組合のAFL-CIOへの拠出金を半減する案(「Topics2005年2月21日 AFL-CIOの行方」参照)について、2日、AFL-CIOの執行部は、15対7で否決した。半減を提案する労働組合は、7月の大会に向けて、賛成の輪を広げる努力を続けるとしている。また、半減提案が受け入れられなければ、離脱も辞さない構えである。他方、主流派の労組幹部は、こうした動きに反発を強めており、全米最大のナショナル・センターは、分裂の危機を迎えつつあるような気もする。
ちなみに、拠出金半減提案に、最終的にはUAWも賛成に回ったようであり、反執行部の主要労組のスタンスは、次のようになった。
労働組合名 拠出金の半減 会長の交代 Teamsters ○ ○ Service Employees International Union ○ ○ Unite Here ○ ○ United Food and Commercial Workers ○ Laborers' International Union ○ United Auto Workers ○ ○
上記sourceは、アメリカ確定拠出型年金プランの典型である401(k)プランの歴史を、コンパクトにまとめたものである。最近のSarbanes-Oxley Act of 2002による制度変更まで盛り込まれており、ざっと振り返るのには大変便利にできている。
公的年金の個人勘定創設、加州政府職員年金の確定拠出型への強制移行など、アメリカ労働者にとっての確定拠出型プランの位置付け、普及度を再確認するためにも、401(k)プランが広まってきた経緯をおさえておくのも悪くないと思う。
2月26日から3月1日にかけて、2005 NGA Winter Meeting が開催された。これは、National Governors Association (NGA)が主催するもので、ここに全国の州知事が集まり、政策論議を行ったうえで、大統領、連邦議会と意見交換を行う。
この冬の大会で、政策課題のトップに掲げられたのが医療問題であり、特に、Medicaidは最重点課題として取り上げられた。
NGAがまとめたMedicaid改革提案の骨子は、次の通り。
- Medicaidの現代化
- 州政府に加入資格変更の権限を与える。また、加入資格を所得要件に一本化することも認める。
- 比較的所得の高い層への給付内容を単純化することを認める。
- 家庭や地域でのMedicaidサービスの提供を認める。
- 市、郡との共同運営を認める。
- 連邦政府、州政府の財政状況を反映した運営資金拠出制度を確立する。
- 加入者の自己責任
- 診療行為に関する加入者の選択と、加入者自己負担の増加を促進する。
- 医療機関、診療行為に関する情報の提供をすすめる。
- 所得に応じた自己負担、または雇用主が提供する医療保険プランと同様のコスト負担を求めることを認める。
- Vilsackアイオワ州知事は、所得に応じた自己負担を求めている。
- コスト分担の手法を工夫することにより、予防診療を促進する。
東京三菱銀行ワシントン駐在員事務所
ワシントン情報(2005/No. 022)「米国医療保険制度が抱える問題の大きさ」(2005年3月1日)