5月20日 Marylandの医療改革法案 Source : Governor Ehrlich Vetoes Wal-Mart Tax (Maryland Governor)

19日、Maryland州Ehrlich知事が、Somerset Countyで、医療改革州法案への拒否権を発動した。

医療改革法案(SENATE BILL 790/HOUSE BILL 1284)のポイントは、次のようになっている。
  1. メリーランド州の従業員1万人以上の企業は、給与の最低8%を従業員医療費として支出しなければならない。
  2. もしそうしないのであれば、州が運営する低所得者向けの医療保障制度に、拠出しなければならない。
廃案となった加州のケース(「Topics2004年11月5日(1) 医療費の付回し」参照)とよく似ており、企業に医療保険の提供を義務付けようというものであった。

ここで、注目したいのが、州知事によって拒否された法案の呼称が"Wal-Mart Tax"となっていることである。こうした呼称がついたのは、上記法案が州議会で議論されていたために、Somerset Countyで建設中であったWal-Martの集配センターの工事が中止されていることによる。つまり、こんな法案が通るようでは、集配センターの建設はやめますよ、というメッセージであったわけだ。また、共和党であるEhrlich知事は、その地元で拒否権発動セレモニーを実施したのである。

思えば、加州の医療保険法案も、Wal-Martの従業員が公的医療保険制度に多数加入していることに対する批判から出てきた法案であった。コストを下げたいWal-Martと無保険者に医療保障を提供しなければならない州政府との戦いは、いろいろな形で行われているようである。

5月17日 年金改革提案の比較分析

議会、マスコミ等で、公的年金改革を巡る議論が賑やかに行われている。

これに関連して、様々な提案を冷静に比較するという試みが行われているので、紹介しておきたい。

一つは、GAOである。このレポートでは、これまでに公表された改革案の内容について、要素分析を行っている。つまり、改革メニューの一覧表という形になっている。

もう一つが、EBRIである。こちらのレポートでは、典型的な改革パターンと個人勘定創設という大統領提案との比較を、モデルを使ったシュミレーションで行っている。

改革議論を行う際、こうした冷静な分析が、ベースで行われていることを、よく認識しておくべきだろう。

5月16日 ストック・オプションの売却 Source : Cisco Seeks Approval for Option Pricing (AP)

Cisco Systemsが、SECに対して、ストック・オプションの売却申請を行ったという。

先に、SECは、ストック・オプションの費用化を実質的に延長した(「Topics2005年4月15日 ストック・オプション費用化 再延期?」「Topics2005年4月17日 ストック・オプション費用化 再延期決定」参照)が、Ciscoの決算期は8-7月期のため、ほとんど影響なく、費用化は目前の課題となっている。

ストック・オプションの費用化にあたって、その費用化の理論式としては、Black-Scholes formulaなどが想定されている(「Topics2005年4月8日(3) ストック・オプションの価値計測手法」参照)。しかし、Ciscoの見込みでは、そのような理論値では高く評価されてしまい、ボトムラインに対する影響が巨額になるので、いっそのこと、市場で評価してもらうために売却したとのことである。権利行使期間が制限されているようなストック・オプションの買い手がそうたくさんでてくるはずもなく、おそらく相当な安値になるものと思われる。

費用化がルール化されても、それに対して対抗策を工夫するのが、経営の知恵であろう。市場価格なら文句あるまい、というCisco経営者の鼻息が聞こえてきそうである。

5月12日 破産裁判所もUALを支持 Source : United Air Wins Right to Default on Its Employee Pension Plans (New York Times)

10日夜、破産裁判所が、UALの申請を認め、同社の4つの年金プランのPBGC行きが確定となった。

労働組合は激しく反発し、ストも辞さないとの姿勢を示し、PBGCを提訴することも検討するという(Washington Post)。加入者の年金を一定程度保証するというPBGCを訴えようというのだ。まったく呆れた組合・従業員である。こういう自己責任のなさは、いったいどこからくるのであろうか。

5月11日(2) 日本の企業年金のパイオニア 

今宵は、日本の企業年金のパイオニアである、この人とご一緒させていただいた。理論、制度設計、数理計算、運用、政策といった、企業年金制度の各側面について第一級の知識と経験をお持ちの方である。

カルロス・ゴーン氏と、企業年金制度のあり方についてグローバルな視点で議論できるのである。年金制度について、人事、財務、経営の各部門が一体となって運営するという理想型(「Topics2002年1月30日 人事部再考(再興)」参照)を、日本で初めて実現した人である。

日本の企業年金改革をもっと実践するとともに、年金村の若い住人に、その経験と知識を伝承してもらいたいと、切に願っている。 Dr.Kubo様、美味しい赤ワインの易しい選び方をご教示いただき、ありがとうございました。大変美味しゅうございました。またお願いします。

5月11日(1) UAL年金最終判断 Source : United Asks Court to OK Pension Shift (AP)

Unitedの年金プランのPBGC行きが、最終局面に入った(「Topics2005年4月28日 UAL年金のPBGC行き決定」参照)。10日、破産裁判所に対して、UALが企業年金をPBGCに引き継ぐ事について、許可を求める申請を行った。

労働組合ばかりでなく、他の航空会社の見守る中、アメリカ企業年金史上、最大規模のPBGCへの移管が行われようとしている。