11月10日 上院委員長人事 Source : Daschle ousted (Wall Street Journal)
来週16日から、上院、下院とも、Lame Duck Sessionsが始まる。上院で55議席を占めた共和党幹部は、委員長の座を狙って、アピール合戦を繰り広げているようだ。「Bush政権−共和党優位の議会」という政治状況下で、実権を揮う絶好のチャンスだからだ。
加えて、上院では、ルール変更により、主要な委員長の任期は、6年を超えられないこととなった。従って、どの委員長ポストが空くのか、交代を余儀なくされるのか、ということが一目瞭然となっている。
上記sourceでは、どの議員がどのポストを狙っているのか、という情報がちりばめられている。また、現職委員長のポストを守るためのアピールも、しっかりと行われている(CCH Pension and Benefits News)。
当websiteでは、ストック・オプション会計の関係から、銀行委員長の動向に関心を持っている(「Topics2004年10月14日(1) ストック・オプション費用化を半年延期」参照)。上院銀行委員長の記録を見ると、Shelby現委員長は、2003年の就任のため、上記ルールには抵触しないため、現職にとどまる可能性は高いと見られる。
11月9日 Unitedが年金廃止 Source : United makes pension cuts official (Chicago Sun-Times)
United Airlinesが、正式に年金プランの廃止を打ち出したそうだ。United、PBGCのwebsiteにはまだ掲載されていないが、地元紙の報道なので、間違いはないだろう。PBGCの負担が現実のものとなりそうだ。
11月5日(2) 再び年金改革を議論
Bush大統領の受諾演説(3日)、記者会見(4日)で、国内問題に対するBush大統領の所信が表明されている。ここで、当websiteとして注目すべきは、Bush大統領が再び年金改革に挑むとの決意表明をしている点である。
(下線部は、管理人が加筆したもの)
○受諾演説
"Because we have done the hard work, we are entering a season of hope. We'll continue our economic progress. We'll reform our outdated tax code. We'll strengthen the Social Security for the next generation. We'll make public schools all they can be. And we will uphold our deepest values of family and faith."
○記者会見
"Q Thank you, sir. Mr. President, you talked once again this morning about private accounts in Social Security. During the campaign you were accused of planning to privatize the entire system. It has been something you've discussed for some time. You've lost some of the key Democratic proponents, such as Pat Moynihan and Bob Kerrey in the Congress. How will you proceed now with one of the key problems, which is the transition cost -- which some say is as much as $2 trillion -- how will you proceed on that? And how soon?
THE PRESIDENT: Well, first, I made Social Security an issue -- for those of you who had to suffer through my speeches on a daily basis; for those of you who actually listened to my speeches on a daily basis -- you might remember, every speech I talked about the duty of an American President to lead. And we have -- we must lead on Social Security because the system is not going to be whole for our children and our grandchildren.
And so the answer to your second question is, we'll start on Social Security now. We'll start bringing together those in Congress who agree with my assessment that we need to work together. We've got a good blueprint, a good go-by. You mentioned Senator Moynihan. I had asked him prior to his -- to his passing, to chair a committee of notable Americans to come up with some ideas on Social Security. And they did so. And it's a good place for members of Congress to start.
The President must have the will to take on the issue -- not only in the campaign, but now that I'm elected. And this will -- reforming Social Security will be a priority of my administration. Obviously, if it were easy it would have already been done. And this is going to be hard work to bring people together and to make -- to convince the Congress to move forward. And there are going to be costs. But the cost of doing nothing is insignificant to -- is much greater than the cost of reforming the system today. That was the case I made on the campaign trail, and I was earnest about getting something done. And as a matter of fact, I talked to members of my staff today, as we're beginning to plan to -- the strategy to move agendas forward about how to do this and do it effectively."
つい先月、ここ3年間で公的年金改革議論がなかったと書いたところであった(「Topics2004年10月13日(1) 公的年金の改革論議」参照)。来年からは、当websiteも忙しくなりそうである。
11月5日(1) 医療費の付回し Source : States Are Battling Against Wal-Mart Over Health Care (New York Times)
アメリカ最大のスーパーマーケット・チェーンであるWal-Martが、医療費を公的負担に付回しているとして、批判されている。どのような医療保険プランを、どういった従業員に提供しようが、企業の勝手でしょ、というのが基本であり、安さを売り物にするWal-Martにとって労働コストの削減が至上命題だ。それがどうして批判を浴びているのか。上記sourceから、その例証を引用してみると、次のようになる。
- Georgia州では、同社従業員の子供1万人以上が、州の子供医療向けプログラムに加入しており、1,000万ドル近くの公費が使われている。
- North Carolina州のある病院では、患者としてやってきた同社従業員1900人のうち、31%がMedicaid加入者、16%が無保険者であった。
- California州で、無保険の同社従業員に関して、年間3,200万ドルが公費負担となっている。
しかも、同業であるBrown & Cole Storesは95%、Costco Wholesaleは96%の従業員を自社の医療保険プランでカバーしている。これでは、従業員の医療費コストを公的プランに付回して、利益を確保していると非難されても仕方ないかもしれない。
こうした批判を背景に、カリフォルニア州では、企業が従業員に対して医療保険プランを提供するよう義務付ける提案が行われていた(Proposition 72)(「Topics2004年2月3日(2) カリフォルニアの医療保険法」参照)。しかし、先の大統領選挙と同時に州民投票に付された結果、このProposition 72は、賛成49.14%、反対50.86%の僅差で否決された(LA Times)。
Wal-Martは、かろうじて義務化を避けられた格好だが、医療保険プランに対する関心が高いだけに、社会的責任という形で、医療保険プランの提供を求められる続けることになろう。
11月4日 選挙結果−11州が同性婚禁止に賛成 Source : Same-Sex Marriage
Measures Succeed (Washington Post)
大統領選挙をはじめとするアメリカ国政選挙の結果が出た。詳細は、NY Times紙のwebsiteが参考になる。今回の選挙結果を見ての感想を6点。
- 事前予想の通り、激戦ではあったが、最終の選挙人数、投票数を見れば、Bush大統領の順当勝ちと言えるのではないだろうか。
- Ohioの選挙人20票をめぐって、一時Edwards副大統領候補が、「最後の一票が明らかになるまで戦う」との考えを表明した時には、一時騒然となった。これは、多分にEdwards候補の思いが強かったのだと思う。選挙結果を巡っては、いくつもの訴訟が用意されているとの事前報道もあり、損害賠償請求専門の弁護士として、Edwards候補の血が騒いだのだと思う。しかし、最終的には、本投票の結果等から、Kerry候補が冷静な判断をして、事態を収拾した。KerryとEdwardsは、こうした意味で、名コンビだったのかもしれない。
- Kerry候補の地元、Massachusetts州では、62対37でKerry候補が圧勝している。しかし、Edwards候補の地元、North Carolina州では、44対56で完敗している。そればかりか、南部は悉くRed Statesになっている。南部対策で副大統領候補になったEdwardsだが、ほとんど効果はなかったということになる。おまけに、Edwards上院議員はClass Vであり、もちろん上院議員選挙には立候補していないため、来年1月には議員職を失ってしまうことになる(新上院議員は、共和党候補が当選)。政治家Edwardsにとっては、厳しい状況となる。
- 連邦議会選挙でも、共和党が議席数を増やした。この結果、Bush政権2期目の運営は、極めて自由度が高まったと言える。
| 上 院 | 下 院 |
共和党 | 55(+4) | 232(+4) |
民主党 | 44(-4) | 202(-4) |
無所属 | 1(0) | 1(0) |
合 計 | 100 | 435 |
- 上院では、South Dakotaで、Minority LeaderのTom Daschleが僅差で落選した。同じSouth Dakotaの下院選挙(全州1人)で民主党候補が圧勝しているところをみると、Daschleの油断か、個人的な人気の問題かと思われる。
- また、同じ上院で、Richard Shelby上院議員は、Alabamaで圧勝した。当websiteでは、ストック・オプション会計の動向に関連して、注目している議員である(「Topics2004年10月14日(1) ストック・オプション費用化を半年延期」参照)。今後は、Shelby議員が銀行委員長を継続するかどうかに注目していきたいと思う。
そして、当websiteとして注目していた、同性婚禁止に関する州民投票の結果は、実施した11州すべてが禁止賛成、しかも大差で賛成という結果となった。その11州に、大統領選の結果を重ねてみると、次のようになる。
Arkansas | Georgia | Kentucky | Michigan | Mississippi | Montana | Ohio | Oklahoma | Oregon | North Dakota | Utah |
11州中9州でBushが勝っている。その中には、最後の激戦州Ohioも含まれており、大統領選に何らかの影響はあったものと考えられる。
上記sourceは、同性婚以外に州民投票にかけられた様々なissuesについて解説がされているので、ご参照ください。
11月2日 謝罪の効用 Source : The Art of the Apology (Workforce Management)
上記sourceは、アメリカ企業の中でも「謝罪」の効用が注目されている、ということを具体的な事例を挙げながら説明している。
「アメリカ社会では謝ってはいけない」との認識が根強くある。謝罪は責任問題につながり、損害賠償、昇進ストップといった結果をもたらすと信じられているようだ。しかし、必ずしもそのような考え方は当たらず、適切な謝罪はそれなりの効用があるという。
ただ、その効用の測り方が、謝罪をした場合としなかった場合の賠償額で計測しているという点が、アメリカらしいのだが。
上記sourceでは、当然のことながら、日本の事例として、ソフトバンクの顧客情報漏洩事件への対応振りも紹介されている。日米間でこうした文化的接近が起こるのも、グローバル化の産物なのだろう。