The Committee of European Securities Regulators (CESR)が、暫定ではあるが、国際会計基準とアメリカ基準、カナダ基準、日本基準との間の同等性について評価し、公表した。当websiteとしての関心事項として気づいた点を列記すると、次のようになる。
そのポイントは次の通り。
- アメリカ基準、カナダ基準、日本基準は、いずれも国際会計基準と同等である。
- ただし、個別の会計基準については、大きな違いが認められる場合があるので、その場合には、違いの大きさによって、補足説明または補正表を求める。
- 補足説明または補正表の適用は、発行者とその監査人が、財務諸表に重要なインパクトをもたらすと判断した場合とする。
4月22日、PBGCとUALは、UALの4つの確定給付型年金プランをPBGCが引き取ることで合意した。4つの年金プランの給付債務、資産、積立率等は、次のようになっている。
プラン名 加入者数 給付債務 資 産 積立率 加入者一人当たり給付債務 UA Pilot Defined Benefit Plan 14,100 $5.7 billion $2.8 billion 49.1% $0.40M United Airlines Ground Employees Retirement Plan 36,100 $4.0 billion $1.3 billion 32.5% $0.11M UA Flight Attendant Defined Benefit Pension Plan 28,600 $3.3 billion $1.4 billion 42.4% $0.12M Management, Administrative and Public Contact Defined Benefit Pension Plan 42,700 $3.8 billion $1.5 billion 39.5% $0.09M 合 計 121,500 $16.8 billion $7.0 billion 41.7% $0.14M
上の表からもわかるように、合計での積立不足額は$9.8Bに達するが、PBGCの引き取りに伴って保証されるのは$6.6Bのみである。残り$3.2Bは、給付額カットとなる。つまり、給付削減率は、4プラン平均で19.0%となる。
しかし、これはあくまでも平均値であり、実際の給付削減率は、給付水準が高いほど大きくなる。PBGCの給付保証の上限が定額となっているからである。UALの場合、圧倒的にパイロット年金の給付削減率が高くなるのである。
結果として、最も積立率の高いパイロット年金の給付削減率が最も高くなってしまう。これでは、自助努力は報われないということになってしまう。
こんなところにも、支払保証制度の問題点が存在しているのである。
ところで、US AirwaysもUALも、年金をPBGCに渡すことで、将来のコストを大幅に削減し、Chapter 11からの復帰に向かって大きく前進する。このことは、裏を返せば、その他の航空会社で確定給付型プランを持っている会社は、コスト上、大きなハンディを背負うことになる (New York Times)。下手をすれば、競って倒産を宣言し、確定給付プランをPBGCに引き渡そうとしかねない。
そうした事態を回避するため、航空業界は、全社について、積立不足解消年限を現行3年から、一律25年に延長するよう、議会に要請しているそうだ(New York Times)。年金給付を守るためのPBGCの存在が、年金積立を回避する方向に企業を導いているのである。本当におかしな制度である。
昨日の回答は、次の通りとなった。"EUとSECは、遅くとも2009年までに、アメリカ市場で、調整表なしでIFRSが受け入れられるよう、IASBとFASBが統合プロジェクトを推進することを支援する。"
4月19日から4日間の予定で、McCreevy委員が訪米している。上記sourceは、20日、NYで行われた同委員のスピーチである。同委員にとっての訪米目的は、「アメリカ資本市場における国際会計基準(IFRS)の完全受け入れ」である(「Topics2005年4月16日(1) SECのIFRS受け入れ問題」参照)。
スピーチの最後に、同委員は、次のように述べている。"Our aim should be a completely barrier free transatlantic capital market to unleash great economic potential -higher growth rates, more jobs, safer pensions in both the US and the EU."そして、この最終目標に向けて解決すべき課題を、「アメリカ会計基準と国際会計基準の相互承認("The goal must be mutual recognition of equivalence." )」と位置づけているのである。
McCreevy委員とSECとの会合は、20、21日の2日間で行われる予定である。そこでの両者の合意事項を、このスピーチから想像すると、次のようなものになるのではないだろうか。EUとSECは、5年後の両基準完全相互承認を目指して、コンバージェンス・プロジェクトの推進を加速することで合意した。結果は、明日判明する。