今日は、言わずと知れたSeptember 11です。今でも、アメリカのオフィスで見ていたTV中継と、ワシントンDCの街中の交通渋滞が、鮮明に蘇ります。
全く関係ありませんが、アメリカの実質GDP、労働生産性上昇率、失業率の生データを保存しておきました。時折、引っ張り出して眺めてみたいと思っています。
予想通り、FLSA改正案(「Topics2003年4月16日 公正労働基準法改正案」参照)は、上院が禁止する旨決議してしまった。共和党が多数を占める中での、54対45という投票結果である。上院法案の内容は、労働省提案のうち、時間外手当を支払うべき従業員の所得基準を高めることは認めるものの、対象外(exempt)にする措置は認めない、というものである。
民主党は大喜び(「Topics2003年7月9日(2) FLSA改正案への反対意見」参照)であるが、もちろん大統領の拒否権発動という事態も予想されるため、まだまだ予断を許さない状況にある。
ところで、共和党議員のうち、賛成に回った議員6名が、上記sourceに掲載されているが、そのうち、3人が来年の改選を控えているそうだ。ここで、反対票を投じておけば、少なくともマイナスポイントにはならない、ということなのだろう。ここでも、Bush政権と改選議員との間のコンフリクト(「Topics2003年8月28日 Medicare改革法案で共和党内輪もめ」参照)が生じているようだ。
9月10日、FASB会合が開かれ、ストック・オプションに関する会計処理(「Topics2003年7月23日(1) ストックオプションの会計ルール」参照)について、議論が行われた。まだ、FASBから議事概要が公表されていないが、上記sourceによれば、
- ストック・オプションの費用化処理に関する提案は、来年に延期する。
- 処理案の決定も、来年後半になる。
- 費用化する際の計算ルールについても、さらに議論を深める。
ということであったらしい。
また、会合に提出された資料を見ると、費用化する場合に固有の計算式の使用を義務付けるかどうか、についても議論を行うこととなっている。
マイクロソフトが費用化して計上することを決定した(「Topics2003年7月15日(1) マイクロソフトの決断」参照)後も、インテルなどのハイテク産業は、費用化阻止に向けて、活発に活動しているという。FASBの結論が出るまでには、まだ相当の紆余曲折がありそうだ。
憲法では、日本国民の義務として、「教育」「労働」「納税」が挙げられている。先日、職場で、「労働は国民の義務なのだから、就労していない、または就職活動をしていない者への生活保護はやめるべき」と主張したところ、賛否半々くらいであった。日頃感じているのだが、日本では、労働が国民の義務であるということが忘れられているのではないだろうか。働けない人に働けとは言わない。でも、働くことは、権利でもあり、義務でもある。特に、今後、働く世代が少なくなってくる人口減少社会において、現役世代で働ける人が働くという原則は、大変重要になってくるはずである。
そんな思想を若干裏付けてくれるような資料が公表された。上記資料の副題は、「各国の失業保険、公的扶助制度等の概要と受給者の就労促進施策」となっている。関係箇所を引用すると、次のようになる。
日本でも、失業保険、生活保護、基礎年金という、セーフティ・ネットの総合的な見直しが必要な時期に来ていると思う。
- 各種の給付の受給者が経済情勢及び雇用失業情勢の悪化 に従い増大するとともに、就労能力にもかかわらず就労せずに給付の受給を継続する者が増加 し、国民負担の増大につながるとの指摘も出るようになった。このため、各国でこれらの受給 者の就労を促進するという観点からの制度の見直しが行われてきた。こうした改革は、イギリ スなどでは、「福祉から就労へ(Welfare to Work)」を目標とする政策といわれている。
- 各国において高齢化が進展することが予測される中で、働ける人が働かないのは社会的 にも経済的にも損失であるという問題が指摘されるようになってきた。
- 公的扶助受給者に対する就労促進施策も積極的に行われている。例えば、アメリカの 貧困家庭一時扶助制度は、生涯の給付期間に上限を設けるとともに、給付開始から24 ヵ 月以内に就労活動(民間での就労、就労体験等)を行うことを受給者に求めている。ド イツの社会扶助においては、就労扶助という形で、就労能力のある受給者に対し、その 就労困難性の度合いに応じて、就労準備活動(就労に慣れるためのプログラムへの参加 等)から助成金付き就職までのいくつかの選択肢を用意し、受給者にいずれかの活動に 参加することを要請し、一定の成果を挙げている。
- いずれの国においても、程度の差こそあれ、人口 の高齢化の進展が予測されている。このような中で、各国が将来においても必要なセーフティ ーネットを維持しつつ、就労可能な者については就労を促進するという方向での改革をいかに して進め、失業給付や公的扶助の受給者の増加に伴う財政負担の増大を防ぐとともに、経済の 発展に必要な労働力を確保していくかが注目される。
- フランス:公的扶助の対象者は、25 歳以上65 歳未満のフランス居住者で、生活に困窮し、かつ就業努力を行っている者
- スウェーデン:公的扶助の対象者は、生活に困窮し、かつ就業努力を行っている者(資力調査による)
HMOというと、医者の選択肢が制限されていたり、治療そのものについて必要ないとの判断を示したり、と評判が悪い。しかし、それでも利用され続けているのは、いったん保険料をはらっておけば、窓口負担などの持ち出しがほとんどないことに加え、保険料そのものの負担が低く抑えられていたためである。しかし、近年、HMOの保険料はPPOその他の医療保険プランとほぼ同じが、それ以上の伸びを見せている。そんな状態では、HMOの加入者は減少一方になってしまう。それでもHMO保険料の伸びが止まらないのは、医療費全体の上昇が止まらないからだろう。
上記sourceは、そうした違いがあることを前提に、実際に提供されているHMOプランとPPOプランを、顧客の満足度を中心に評価したものである。
羨ましいのは、アメリカ国民にとって、医療機関も医療保険プランも、選択肢が用意されており、その事後評価も、様々な機関が行っているために、常に競争が存在している、ということである。上記sourceでも、個別のHMO、PPOプランを、項目ごとに評価し、総合評価をつけている。そして、全米No.1のHMOプランとPPOプランを選出している。そうしたランキングで上位に選出されれば、ますます顧客は増え、利益も稼ぎ出せると言うことだ。
日本の医療は、情報がなさ過ぎる。医者と患者の間でも情報が偏在し、国全体でも、医療に関する情報が乏しい状況にある。どこの医療機関がどのような技術を持っているのか、どの健康保険がどんなサービスを提供しているのか、もっと情報を出し合い、競争することで、国民の満足度を高めてもらいたいものだ。
このwebsiteでも、何度も触れているが、患者の権利法の勢いがまったくなくなってしまっている。2年前の夏休みまでは、大変な勢いで、上下院とも成立させるものと見られていたが、夏休みを終え、September 11の後には、まったく俎上にのぼらなくなってしまった。Bush大統領も、医療過誤保険の方には力を入れてきたが、この患者の権利法については、一般教書で触れたのみである。いや、医療過誤賠償法は、患者の権利法で認められそうになった賠償額を大幅に抑制しようとさえしている(「Topics2003年3月12日(2) 医療過誤賠償法案」参照)。
上記sourceでは、患者の権利法が勢いを失った背景として、次のような事項を挙げている。
こうした論点が挙げられているものの、一般的に、国内問題は、世論の盛り上がりが循環的になるという法則があるという。その盛り上がりに合わせて立法できなければ、その後は他のイッシューに目が移ってしまい、立法の機会が失われてしまうということだ。
- 医療プランの方が、患者のアクセスや治療方法について口を出さなくなってきた。その代わり、保険料その他、プラン加入者に負担増を求めている。
- 裁判所が、医療プランを相手取った訴訟を、従前以上に受け取るようになった。
- 全米病院会(AMA)が、医療保険プランと対抗するために患者の権利法を求めることから、より直接的に自らを防衛する医療過誤訴訟法の方に、重点を移した。
- 民主党内には、訴訟専門の弁護士達の要請を受けた議員が、賠償額を制限しようとする患者の権利法に批判的である。
そう言われてみれば、このwebsiteを立ち上げてから1年9ヶ月ほどたつが、その間に、医療の分野だけでも、
と、めまぐるしく争点が移っている。
- 患者の権利法
- 処方薬の割引カード
- 処方薬のカナダからの輸入
- 医療過誤訴訟法
- Medicare改革
しかし、どれ一つとして、法案が成立したものはないのである。
民主党は、次の大統領選の最大の争点として医療を取り上げることを決めているが、医療のどこに焦点をあてるかが問題になってきそうだ。今のところ、各候補とも、無保険者の撲滅に力点を置いているが、この争点こそ、最も具体的な政策論議になりにくいものでもある。いずれにしても、@今のシステムを大きく変えることになる、A多額の予算を伴う、Bクリントン政権で失敗した経験がある、ということだ。
他方、Bush政権は、同じ医療でも、個別具体的な課題をターゲットに挙げている。こうした戦法の違いが、最終的にどう影響するのか、注目していきたい。
先に、Liebermanが医療改革提案を公表し、民主党の候補者選びが本格化したことを伝えた(「Topics2003年9月4日(2) Liebermanの医療改革提案」参照)。
上記sourceによれば、各候補者は、連邦議会の民主党議員の推薦獲得に力を入れているとのことだ。既に、Gephardtは31人、Kerryは15人の推薦を獲得したそうだ。連邦議員の推薦獲得が重要となる理由は、民主党大会で連邦議員は自動的に投票代表人になるほか、選出選挙区での票、資金の取りまとめに力を振るってくれるからである。
しかし、どの候補者に乗るのか、連邦議員が真剣に考えるのはこれかららしい。連邦議員にとって、州知事はあまり身近な存在ではない。従って、州知事出身の候補者はどんな人物なのか、どんな政策を持っているのか、どれほど国民に人気があるのか、を見極める必要がある。他方、州知事出身の大統領候補者は、有望であることも、歴史的経験からもわかっている。
そうした中で、Dean候補が、インターネットを活用した資金集め、集会での人集めに成功していることは、議員の間でも注目されている。結局は、本番の大統領選で勝てる候補、特に改選を迎える議員(上院の3分の1と下院)にとっては、自らの選挙に有利な大統領候補、という観点が最も重要となる。
こうした連邦議会の民主党議員の空気を察してか、Gephardt、LiebermanのDean攻撃が激しさを増しているとの報道がある。Deanにとっては、民主党左派と右派の挟み撃ちにあったような状況だ。特に、左派代表であるGephardtは、これまで攻撃対象をBush大統領に絞っていたのを、完全にDeanに変更したようだ。
GephardtのDean批判は徹底していて、「Deanは、州知事時代に、共和党のNewt Gingrich (R-Ga.)の提唱に賛同して、Social SecurityやMedicareを縮小、ならびに民営化しようとしていた」、と痛烈な批判をしている。民主党にとって最大の政策課題である医療や社会保障の面で、Deanは民主党候補として相応しくない、と批判しているのだ。
こうした戦略の変更は、Gephardtの危機感を表しており、それだけDeanの存在感が増していると言えるだろう。しかし、民主党内の亀裂がさらに鮮明になることも事実であり、それが共和党を利することにならないのか、多少懸念を持つところである。
ちょっと気が早いですが、CNNのサイトが充実してきたので、今後の大統領選をウォッチするためのwebsiteをリストアップしておきます。
そんな中、『Deanが候補者に選ばれれば、共和党の楽勝ではないか』との観測が、New York Timesのコラムに掲載された。このコラムの概要は、次の通り。
こうしたところが、リベラル派の弱点(「Topics2003年8月5日(2) 民主党候補者の本命」参照)なのだろう。
- 選挙民が二極化していると見るか、中間層が増えていると見るかによって、判断が異なってくる。
- 高学歴化を背景に二極が進んでいる、つまり政治思想を追求する選挙民が多くなっているとすれば、Deanは理想的な候補となろう。
- しかし、中間層が増えているとすれば、彼らは具体的な課題の解決を求めるのであり、Deanは最悪の候補となる。
- コラムニストは、中間層が増えていると見ている。そして、彼らは、めったに予備選には参加しないで、本選で登場してくる。
- Bush大統領は、民主党のリベラル派は一蹴することができても、この中間層をないがしろにはできない。
- 民主党は、ある意味で自殺的な行動を取っている。Deanに熱狂すればするほど、中間層は民主党から逃げていく。
- だから、共和党は、Dean人気の加熱振りにほくそえんでいるのである。
今日、アメリカ社会保障制度に関するファクト集が紹介されているのを見つけたので、それぞれここにリンクを置いておく。
実は、これらのリンクは、元の職場であるEBRIのサイトで紹介されていた。このEBRI、今月で創立25周年を迎える。19日にはNYで、創立記念パーティが開かれる。そのEBRIの活動が、年金の世界では有名な、「Pensoin & Investment」で紹介された。知人からその翻訳をいただいたので、ご参考までに、ここに掲載しておく。
- Social Security (公的年金)
The 2003 edition of Fast Facts & Figures About Social Security (the Social Security Administration)
公的年金制度に関連する統計資料集。- Medicaid (貧困者向け医療保障)
The 2003 State-by-State Medicaid Fact Sheets (the National Association of Children's Hospitals and Related Institutions and the American Academy of Pediatrics )
各州別のMedicaid制度の概要を紹介。
なお、以前経緯を説明した財務省check(「Topics2003年8月26日 Checkが届いた−その2 」参照)は、本日付けで、日本の銀行口座に入金されました。
以前、同様のテーマでの比較を紹介した(「Topics2003年7月24日(2) 候補者達の医療政策提言を評価する」参照)が、今回のsourceは、もう少し、オーソドックスでわかりやすい比較を行っている。以下、その概要。
- 1992年の大統領選でも医療改革が一つのテーマになった。今の状況は、その頃によく似てきている。無保険者は増加し、医療費の伸びは依然として高水準である。その結果、医療保険料は上昇し、労働市場が軟調であることを受けて、企業はコスト分担、ベネフィットの制限を、これまで以上に従業員に求めている。
- 4,100万人もの無保険者を放置することは、年間$65B〜$130Bのコスト増をもたらすとの試算もある。
- このような背景から、2004年の大統領選では、再び医療保険改革が一つの争点となりそうである。
- 具体的な提案内容を見ると、無保険者の減少のための施策として、一人を除いて、医療費の税額控除を提案している。
- 皆保険制度を提案しているKucinich以外は、現在ある企業の医療保険プランを活用しようとしている。また、民主党候補者達は全員、低所得者対策として、現行の公的医療保障制度の拡充を提案している。
- 無保険者のうち、どの層に焦点を当てているか、また、それにかかるコストの推計は、次の表のようになっている。
- 各候補者の提案の特徴は、次の通り。
Bush 全体的なアプローチ 税額控除により、低所得者の無保険者に医療保険の購入を促す。 提案の特徴 保険プランの選択肢の確保、市場原理の活用 Dean 全体的なアプローチ 公的医療制度の拡充、民間プランの活用、税額控除の提供、児童の強制加入 提案の特徴 保険プランの購入を容易にする Edwards 全体的なアプローチ 特定層に対する税額控除の提供、公的医療制度の拡充、児童の強制加入 提案の特徴 無保険の子供をなくす Gephardt 全体的なアプローチ 企業医療保険の強制、企業・個人を対象とした税額控除、公的医療制度の拡充 提案の特徴 経済刺激効果 Kerry 全体的なアプローチ 企業・個人を対象とした税額控除、公的医療制度の拡充 提案の特徴 医療費総額の抑制 Kucinich 全体的なアプローチ Medicareを拡充して、全国単一の医療保険制度を創設 提案の特徴 簡素な制度 Lieberman 全体的なアプローチ 中小企業・個人を対象とした税額控除、公的医療制度の拡充 提案の特徴 無保険の子供をなくす
こうして見ると、確かに税額控除の活用を主張する候補者が多い。医療に要した負担をそのまま税金で面倒見ようということだから、確かにわかりやすいし、効果も大きいだろう。ただし、これは税金を払って入れば、という条件付きとなる。 また、無保険の子供に照準を合わせた提案をしている候補者が3人もいる。この提案は、確かにわかりやすいし、琴線にもふれるのだろうが、バランスを欠くものとなりかねない。その点、Kerryが、民主党候補でありながら、総額抑制をうたっているところに、安定感を感じることができる。
医療保険プランに関しては、企業頼みのところが依然として大きい。企業への依存を高めることを続ければ、医療費高騰への対策として、企業側は、従業員個人に限定する、確定拠出型のプランに移行する、自己負担・窓口負担を高める、などの手段を講じざるを得なくなる。それは、めぐりめぐって無保険者の温存につながりかねないと思われる。企業側へのメリットをより高める、または被扶養者に対する医療保障制度を拡充することを考えざるをえないのではないかと思われる。
低金利、企業業績の悪化等の影響から、確定給付型の企業年金プラン(DB)の財政状況が厳しくなっている。現時点での積立不足は全部で$396B、今年企業が負担すべき拠出額は$65.5Bに達すると見られている。何も手当てが行われなければ、今後この積立不足はさらに拡大し、来年の企業拠出額は$125.3Bに膨らむものと見られている。
こうした状況を受け、上院、下院とも、年金救済法案を審議しており、17日、両院の委員会で同法案が可決された。今後、それぞれの本会議での可決、両院協議会による成案、両院可決、大統領署名と進めば、来年より実施されることになる。
両院の委員会で可決された法案内容は、次の通り。
上院案 下院案 救済策 @負債計算に使用する割引率の見直し
A特例掛金の拠出停止負債計算に使用する割引率の見直し 適用年数 3年間 2年間 企業拠出削減効果 $60B (3年間で) (@A各$30B) $25.5B (2年間で) 来年の企業拠出額 $103.5B - 積立不足額 $328.5B (3年後) - (参考) 法案が通らなければ、積立不足額は、現在の$396Bから、3年後には$267Bに縮小する。
これらの法案に対し、企業側は、相当な不満を表明しているそうだ。上の表を見てもわかるように、それほど大きな負担軽減策とはならないからだ。
議会としては苦しいところだ。企業側の負担を軽減しなければ、DBプランを廃止する企業が続出するだろうとは思っている。ところが、ここで企業負担軽減策を大幅に講じれば、DBプランの財政の健全性は大きく傷つくことになり、ERISAで規定されるといわれる受給権の確保は覚束ないこととなる。この点を、PBGCは議会で強く主張しており、労働組合や多くの民主党議員なども、反対に回ると思われる。
忘れてならないのは、『経済状況が良い(金利が高い)時に企業負担が軽くなり、経済状況が悪化(金利が低い)すれば企業負担が重くなるというのは、DBプランの本源的な性質である』ということだ。90年代、高金利、株高の間、DBプランを持つ企業は、年金ファンドの運用益だけで拠出金を賄えた。つまり、拠出負担がほとんどなかったのである。そうしたメリットを思いっきり享受しながら、低金利になると積立や拠出のルールを変えるというのは、余りにも規律を失った行動と考える。そもそも、低金利の時代を想定した積立金、給付水準、給付額の決定方式を用意していないのが悪いのではないか。そういう工夫を重ねるのが、民間の年金の責任なのではないのか。
日米ともに、企業、行政当局、議会が、規律を失いつつあると懸念している。(「Topics2003年9月5日(2) 厚生労働省の規律なき対応」参照)