8月29日 CBO年金財政長期見通し
Source :CBO’s 2024 Long-Term Projections for Social Security (CBO)
8月28日、CBOが、公的年金財政に関する長期見通し(75年間)を公表した。ポイントは次の通り。
  1. 現行法制通りに年金給付を継続すると仮定した場合、給付額のGDP比率は、2024年5.1%から2098年6.7%に上昇する。これは、65歳以上人口の割合が高まるからである。

  2. 一方、税収は75年間ほぼ変わらずにGDP比4.5%で推移する。

  3. OASI(年金給付)基金は、2033年度に枯渇する。障がい者年金基金を統合しても、2034年度に枯渇する。
  4. 給付額を年金税収の範囲内に抑えるとすると、基金枯渇後の2035年の給付額は23%程度削減されることになる。
連邦政府の見立てよりは、少しだけ厳しい見通しとなっている(「Topics2024年5月7日(1) 2033年公的年金基金枯渇」参照)。

※ 参考テーマ「公的年金改革

8月27日 大学プレーヤー労組が訴訟
Source :Dartmouth basketball players union accuses school of unfair labor practices over refusal to bargain (AP News)
8月21日、Dartmouth大学バスケットボール部組合が、部員との交渉を拒否しているとして同大学を司法に訴えた。これまでの経緯は次の通り。 この間、Dartmouth大学側は、プレーヤーによる労組結成に反対している。 今回のプレーヤー労組による訴訟は、大学側としては想定内であり、むしろ司法の場でプレーヤー労組の可否自体を争いたいという意向である。

※ 参考テーマ「労働組合

8月26日(1) 積極的転職から防衛的転職へ
Source :Job seeking jumps in July as more people anticipate losing their jobs (HR Dive)
8月19日、NY連銀が求職者の意識調査(2024年7月時点)を公表した(PRESS RELEASE)。そこでは、過去4週間で求職活動を行なった者の割合が急上昇した(2023年7月:19.4%⇒2024年7月:28.4%)。これは2014年3月(31.7%)以来の高水準である。
また、今後4週間以内に解雇される可能性については、4.4%がそのように感じており、これも2014年7月(3.7%)以来の高さである。
4ヵ月前から勤務先が変わっていない者の割合は、2023年7月91.4%から2024年7月88.0%に低下した。
転職先で最低限確保したい年収期待値(中位数)は$81,147と、2023年7月($78,645)よりは上昇したものの、2024年3月($81,822)からは低下した。頭打ち傾向が見られる。
高収入を狙った積極的・自発的転職は収束し、防衛的な転職が増えてきているようだ。現在の労働市場を反映しているものと思われる(「Topics2024年8月5日 雇用増が鈍化」参照)。

※ 参考テーマ「労働市場

8月26日(2) Amazonは共同経営者と認定
Source :NLRB says Amazon is a joint employer of some 3rd-party delivery drivers in California (NPR)
CA州PalmdaleにあるAmazon配送センターでの労使関係について、NLRBが審議している。 今回の支部見解はPalmdaleのみに適用されるものであり、かつ、NLRB本体の判決ではない。それでも、これまでBTS労組を支援してきたTeamstersは、『全米の配送ドライバーについてAmazonが共同経営者と認定するための第一歩』と評価している(Press Release)。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

8月22日(1) 雇用者数大幅下方修正へ
Source :U.S. added fewer jobs in the past year than initially reported (NPR)
8月21日、BLSは、2023年4月~2024年3月までの雇用統計について精査し、その暫定結果を公表した(CES Preliminary Benchmark Announcement)。精査には様々な統計を利用するそうだが、主に州政府の失業保険料納付記録が活用されている。
  1. 2024年3月の総雇用者数(除く農業)は、当初の雇用者数推計よりも81.8万人少ない(「Topics2024年4月6日 足許雇用増上昇続く」参照)。

  2. 2023年4月~2024年3月までの1年間の雇用増は210万人。当初の推計では290万人であった。

    New York Times
最終推計値は、2025年2月に公表する予定である。このような動きを見ていると、
速報値を可能な限り速く公表する ⇒ 足許の経済政策に反映 ⇒ その後に取得できる数値により速報値を見直し、迅速に公表する ⇒ 国民への相場観を伝達 ⇒ 最終推計値を精査、公表する ⇒ 正確性を期すとともに、政策の見直しの機会を提供する
という風に、数値に基づく政策が実践されていると確認できる。

※ 参考テーマ「労働市場

8月22日(2) TX州地方裁:FTC規定差し止め
Sources : Federal judge throws out U.S. ban on noncompetes (NPR)
Judge strikes down FTC noncompete ban nationwide (HR Dive)
8月20日、TX州連邦地方裁は、Federal Trade Commission(FTC)が定めた競業転職禁止規定廃止は、FTCの越権行為であり、無効であるとの本判決を下した(「Topics2024年7月4日(1) FTC競業転職禁止規定廃止に差し止め判決」参照)。今回の判決の効果は、全米に及ぶ。原告の一人となっている全米商工会議所(USCC)は今回の判決を『大勝利』と賞賛している(USCC Newsroom)。

これで、PA州連邦地方裁の判決と対立する構図が明確となった(「Topics2024年7月26日(1) PA州連邦地方裁はFTCを支持」参照)。FTCは控訴を検討しているというが、執行予定日は9月4日に迫っている(FTC)。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制