11月28日 平均余命低下
Sources : Life Expectancy and Mortality Rates in the United States, 1959-2017 (JAMA)
US life expectancy is still on the decline. Here's why (CNN)
アメリカ人の平均余命が低下しているという。上記sourcesで紹介されている事象は次の通り。
  1. 1959年の平均余命は69.9歳。その後延び続けて、2014年には78.9歳となった。

  2. その後の3年間は連続して低下し、2017年は78.6歳となった。

  3. 25歳から64歳の10万人あたり死亡率が、2010年の328.5人から2017年は348.2人まで高まっている。約6%の上昇だ。人種による違いはない。

  4. 25歳から64歳の死亡率が上昇している要因は、
    1. 薬物乱用:386.5%増(1999年から2017年。以下同様)
    2. アルコール依存症:40.6%増
    3. 自殺:38.3%増
    4. 内臓疾患(肥満に起因):114%増

  5. 同じ死亡率を地域的に見ると、
    1. New England (New Hampshire, 23.3%; Maine, 20.7%; Vermont, 19.9%)

    2. Ohio Valley (West Virginia, 23.0%; Ohio, 21.6%; Indiana, 14.8%; Kentucky, 14.7%)

    の両地域の上昇が際立っている。
アメリカ社会は確実に病んでいる。

※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活

11月27日 学生ローン債務免除提案
Source :Forgiving Student Debt Would Boost Economy, Economists Say (NPR)
学生ローン債務残高は$1.5Tに達していると言われていて、アメリカの若者の生活を圧迫していることは当websiteで何度も紹介している(「Topics2015年5月17日 学生ローン残高の実態」「Topics2019年7月31日 学生ローンのインパクト」参照)。

この学生ローン残高をチャラにすると、景気浮揚につながるという。結婚、出産、住宅の購入など、ローン返済で後回しにされていた需要が現実のものとなるからだ。その効果は、実質GDPで$86〜108Bに達すると見込まれている。

一方、学生ローンの債務免除が認められるかどうかの判定に対して不満が募っている(「Topics2017年4月13日 学生ローン負債者がパニック」参照)。10年間公務に就いたにもかかわらず、債務免除が認められなかった例が多数出ており、訴訟が起こされたとの報道もある(NPR)。

こうした課題を解決するとして、民主党大統領選候補者のSanders/Warrenは、学生ローン債務の全額免除を提案している。ポピュリズムもそこまで行くか、という感じだが、それほど深刻な課題であるということでもある。

課題は2つ。
  1. 約$1Tの財源が必要となる。主な財源は富裕層への財産課税ということになる。"Medicare for All"も賄うだけの規模が必要だ(「Topics2019年11月12日 Medicare for All財源案」参照)。

  2. 将来の債務免除を見越して必要以上のローンを借りてしまう、モラルハザードが発生する。
民主党左派の候補たちの提案は面白いが、結局財源問題がネックになりそうだ。

※ 参考テーマ「教 育」、「大統領選(2020年)」、「人口/結婚/家庭/生活

11月26日 複数事業主プラン改革案
Source :Senators Grassley and Alexander Release a Proposal on Multiemployer Pension Plan Reform (Segal)
11月20日、共和党上院のベテラン議員がPBGCの複数事業主プラン支払保証事業に関する改革案を公表した。同事業の財政悪化を踏まえての提案だ(「Topics2019年11月21日 複数事業主プランさらに悪化」参照)。ポイントは次の通り。
  1. 財政状況が特に悪いプランを分離して、PBGCが監督する。

  2. 複数事業主プランのPBGC保険料を引き上げる(「Topics2019年10月25日 2020年PBGC保険料」参照)。
    • Flat rate:$80(←2020年:$30)

    • Variablr rate:1%。加入者一人当たり上限額は$250(新規)

  3. 加入企業、労組に協力金(co-payments)を課す(新規)。

  4. 特定の退職者に強制手数料を求める。

  5. PBGCによる保証額を引き上げる。

  6. 最低積立基準を見直し、給付債務計算上の利率を6%以下にする。

  7. 複数事業主プランの合併を促す。

  8. 一定条件のもと、"Composite plan"への移行を認める(「Topics2016年5月6日 "The Composite Plan"」参照)。
まだまだ"Act"に達しておらず、コメントを求めつつさらに詰めていくとのことで、実際の法案の形になるのは今年末とみられている。それとも、年初同様、改革ポーズだけなのかも(「Topics2019年1月13日 複数事業主プラン救済法案」参照)。

※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11

11月21日 複数事業主プランさらに悪化
Source :PBGC Releases FY 2019 Annual Report (PBGC)
11月18日、PBGCが2019年度年次報告書を公表した。近年の流れは変わらず、単独事業主プランの保証事業では財政が改善し、複数事業主プランの保証事業では赤字が拡大している。昨年度の$53.9Bから$65.2Bへと、$11.3Bも増えている。主な要因は金利の低下だ。
複数事業主プラン保証事業は、2025年度中に破綻するとの見通しだ。どんどんとX dayが近づいている(「Topics2018年6月1日 複数事業主プランが急速に悪化」参照)。

※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11