1月20日 労組組織率さらに低下
Source :Union Members Summary (BLS)
1月18日、労働統計局(BLS)から2018年の労働組合組織率に関する調査結果が公表された。経年変化は下図通りで、加入率、組織率とも低下が止まらない(データ)。
調査結果の中で、州別の加入率、組織率が公表されている。加入率が5%以下の州が8つある。

加入率(%)組織率(%)
North Carolina2.74.0
Southth Carolina2.73.6
Utah4.15.7
Texas4.35.4
Virginia4.35.5
Georgia4.55.6
Idaho4.75.6
Arkansas4.85.3


一方で、加入率が20%を超えている州は2つ。

加入率(%)組織率(%)
Hawaii23.124.3
New York22.324.1


労働組合の有無でもアメリカ社会の二分化が進んでいるようだ。

※ 参考テーマ「労働組合

1月16日 国勢調査初判決
Source :Judge Orders Trump Administration To Remove 2020 Census Citizenship Question (NPR)
1月15日、2020年国勢調査に『市民権の有無』を問う項目を入れるかどうかに関する司法判断が初めて示された(「Topics2018年11月5日 センサス訴訟始まる」参照)。NY連邦地方裁は、商務省に対して国勢調査の質問項目から『市民権の有無』を問う項目を削除するよう命じた。

その理由として挙げられているのは、 といった点である。

一方で、原告側の「ロス商務長官がマイノリティに対して差別をしようとしている」との主張の根拠は示されていない、との判断も下した。

おそらく、連邦政府は控訴することになる。他方、本件に対しては他に5件の訴訟が行われている。そのうち、CA州では今月中に、MD州では1月22日から審理が始まる。しばらくは国勢調査の話題が続くことになる。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」、「人口/結婚/家庭/生活」、「政治/外交

1月13日 複数事業主プラン救済法案
Source :Neal Introduces Bipartisan Legislation to Address Multiemployer Pension Crisis (Ways and Means Committee, Democrats)
1月9日、連邦議会下院で、複数事業主プラン緊急救済法案が提出された。超党派提案となっている。

複数事業主プランの財政状況は急速に悪化している(「Topics2018年6月1日 複数事業主プランが急速に悪化」参照)。支払保証制度を実施しているPBGCの複数事業主プラン勘定の基金も大幅に不足しており、このままでは積み立ててきたプランの基金が払底し、退職後の給付ができなくなる可能性が高い。

全米商工会議所は、こうした事態に対し、財政危機に陥っているプランに対する特別融資と、PBGC保険料の引き上げ、Composite Plan制度の導入を提案していたが、今回の法案は、特別融資を行なうスキームの創設を求めている(「Topics2018年6月16日 複数事業主プラン:USCC提案」参照)。

具体的な提案ポイントは、次の通り。
  1. 財務省の内庁として、Pension Rehabilitation Administration (PRA)を創設する。

  2. PRAは、財政状況が危機的な複数事業主プランに対して融資を行なう。

  3. 財源は、PRAが債券を発行することで調達する。

  4. 融資を受けたプランは給付削減を行なえない。
この特別融資によって複数事業主プランの財政状況が改善するわけではなく、一時しのぎを提供するだけだ。根本的な解決策とはなっていない。

※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11

1月12日 CA州:急進的な医療政策提案
Source :Gov. Gavin Newsom proposes healthcare mandate, Medi-Cal expansion to more immigrants without legal status (Los Angeles Times)
1月7日、新しいCalifornia州知事が就任した。その就任日当日、州知事は急進的な医療政策提案を行った。
  1. Medi-Cal対象者に、26歳までの不法移民を含める。

    これまでもCA州では19歳までは不法移民でもMedi-Calに加入できていたが、PPACAにならって26歳まで拡充するとの提案である。不法移民のカバーに要する費用は連邦政府の資金は利用できない。拡充に必要な金額$250M/Yは、CA州が負担、つまりは財源手当てをしなければならない。これが実現すれば、全米初の制度となる。

  2. 州民全員の医療保険加入を義務化する。

    連邦政府が医療保険加入義務に伴うペナルティ課税をゼロにしたことへの反発である(「Topics2017年12月21日 ペナルティ課税ゼロ」参照)。加入義務化とペナルティはセットでなければ実効は上がらず、医療保険プランが安定しない。ただし、義務化を州法化するためには議会の2/3の賛成票が必要で、いくら民主党が強いCA州議会でもハードルは高い。

  3. 中所得層の保険加入補助金を増額する。

    現行制度では年収$72,840世帯が対象となっているが、この上限額を年収$150,600に引き上げるよう提案している。約倍の年収だが、この金額では中所得とは言えないのではないだろうか。むしろ、単一保険制度への布石と見ておく方がよさそうだ。

  4. 州の処方薬購入窓口を一本化する。

    Medi-Calその他の州政府機関がばらばらに処方薬を購入していたのを一本化することにより、交渉力を高め、処方薬価格を抑制しようというもの。しかも、小規模企業や個人もこの窓口一本化に参加することを認めようとしている。これも単一保険制度への布石だろう。
新知事は医療保険改革を公約の最優先課題として位置付けていた。"単一保険制度("single-payer")(「Topics2016年1月28日 「単一保険制度」とは」参照)までには至っていないが、確実にその方向に向けた第一歩となっている。同時に、民主党のトランプ政権に対するメッセージでもある。

※ 参考テーマ「無保険者対策/CA州