Source : | Obama's immigration move may have political benefit on 2 fronts (Los Angeles Times) |
不法移民対策について、Obama大統領は行政手続きの変更を提案している。具体的には、不法移民が国内居住を継続するための申請手続きについてである。こうした行政手続きの変更提案の背景には、2つの要素があるとみられている。
現 行
- 両親または配偶者とともにアメリカ国内居住する不法移民は、家族の困難を理由にした国外退去免除申請を行うことができる。
- ただし、この申請を行うためには、いったん国外に出なければならない。
- この国外退去免除を得なければ、不法移民は最長10年、再入国を認められない。
- 国外退去免除申請、許可を得るために、不法移民は最短でも数ヶ月、長い場合には数年間、家族と離れなければならなくなる。
- 国外退去免除申請は、毎年約23,000人が行っている。
↓ 変更提案
- 国外退去により、過度な家族の困難を引き起こすような場合には、国内にとどまったまま免除申請手続きを行えるようにする。
- 国外退去免除が認められた場合には、グリーンカードの申請を行えるようにする。
- グリーンカード申請のためには、やはり国外に出なければならないが、国外退去免除を得ていれば再入国を認められる可能性が高まる。
- こうした手続きになれば、10万人以上の不法移民が利用するものとみられる。
実は、こうした大統領の手法、行政手法が最近頻発しているのである。当websiteで紹介しているだけでも、@同性カップルへの連邦政府の対応、ANLRBなどのrecess appointments、B不法移民対策、などが挙げられる。
- Obama大統領の選挙公約であった不法移民対策が目立った進展を見せていない。これに対してヒスパニックが不満を示しており、Obama大統領への不信感を強めている。こうしたヒスパニックに対する懐柔策であり、再選に向けての大統領メッセージでもある。
- 連邦議会のねじれにより、法律改正の議論が進まない。これに対応するため、行政手続きという議会の承認が不要な範囲で対応しようとしている。
こうした行政手法は、何とか課題に対応したいという熱意の表れ、と取ることもできるが、実は、大統領と連邦議会の溝が深まっている証拠、ともいえる。実際、共和党は今回の提案に強く反発している。「一つのアメリカ」を掲げていた大統領としては、もう少し議会との対話が必要なのではないだろうか。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」
Source : | Obama’s recess appointments are unconstitutional (Washington Post) |
やはり、NLRBメンバーの指名について、文句が出ているようだ(「Topics2012年1月6日 ボロボロのNLRB」参照)。上記sourceでは、Obama大統領による"recess appointment"の乱発は、とし、国民の自由を阻害しかねない事態に、議会は正当な権限行使をすべきである、と主張している。
- 憲法違反であり、職権濫用である
- 政府機関の正当性を低下させる
- 連邦議会が権限を行使しないことにより、権力の分立が弱められる
もっとも、このコラムは、Edwin Meese IIIとTodd Gazianoという、Heritage Foundationの関係者によるものである。つまりは共和党右翼の意見なので、その点を留意しておく必要がある。
※ 参考テーマ「労働組合」
Source : | Unemployment rate falls to 8.5%, lowest in nearly 3 years (Los Angeles Times) |
昨年12月の雇用統計が公表された。結果は、下のグラフが物語っている。 製造業の生産もまあまあだし、小売が極めて順調に伸びている。加えて、例年になく暖かかったことも後押ししたようである。ただ、専門家達は、これで一息つけるかというと、そうではないとの見解を示しているようだ。
上記sourceで紹介されている、『まだまだ』の例は次の通り。では、いつもの実感失業率はどうなっているか。 それこそ、『まだまだ』根雪部分が解消されつつあるとは判断できない状況だ。本当に薄日が射すのかどうか判断するには、もう少し時間が必要だ。
- 足許、派遣業、公務員の雇用が減少している。
- 被用者の増加数は、2010年94万人、2011年160万人となり、回復はしている。それでも、被用者総数は、2007年12月と較べると610万人も少ない。
- 依然として1300万人が失業状態にあり、810万人のパートタイマーがフルタイムの職を見つけられていない。
- これから毎月20万人の雇用増が生じたとして、失業率が5%にまで下がるのは2019年になってしまう。
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | California Employer Health Benefits Survey 2011 (California HealthCare Foundation) |
上記sourceは、CA州の企業がどのような医療保険プランを従業員に提供しているかを定点観測している調査である。今回調査結果の主なポイントは次の通り。保険料がかなり高い水準にまで上昇してしまったため、免責額を大幅に引き上げたり、終には保険プランの提供を止めたりしているということなのではないだろうか。医療保険改革法が施行されても、保険料の高騰が収まらず、結局、企業提供医療保険プランが減っていき、無保険者が増える、または個人保険プラン加入者が増えるといった事態が生まれつつある。
- 2002年からの10年間で、家族向けプランの保険料は153%値上がりしている。これは通常のCA州インフレ率の5倍にあたる。
- 従業員に医療保険プランを提供している企業の割合は、この2年間で、73%から63%に低下した。
- CA州企業が提供する医療保険プランの保険料は、全米平均より高くなっている。
保険タイプ 個人向けプラン 家族向けプラン CA州 $ 5,970/Y $ 15,724/Y 全 米 $ 5,429/Y $ 15,073/Y - にもかかわらず、企業側の保険料負担は、全米よりも大幅に高いものとなっている(個人向け:$5,213、家族向け:$11,921)。
- 中小企業が提供する保険プランの中で、免責額が$1,000以上のプランに参加している従業員の割合は、2006年の7%から27%に大幅アップしている。
Exchangeの創設が先か、国民の不満の爆発が先か、時間を争う政策課題となりそうである。
※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/CA州」
Source : | Secretary of Labor Hilda L. Solis applauds appointment of Sharon Block to National Labor Relations Board (DOL) |
上記sourceは、Sharon Block氏のNLRBメンバー指名を歓迎する、とのSolis労働長官のコメントである。では、これにより、National Labor Relations Board (NLRB)の構成はどうなったのか。正式メンバーは2人しかおらず、大統領によるrecess appointmentという便宜的な措置によりつないでいるメンバーが過半数の3人となっているのである。上院での承認が得られないということなのだが、これで本当に組織機能を果たしていることになるのか、疑問である。
役 職 氏 名 政 党 指名者 任 期 上院承認 Chairman Mark Gaston Pearce D President Obama 2010.4.7〜2013.8.27 ○ member Brian Hayes R President Obama 2010.6.29〜2012.12.16 ○ 指名のみ Terence F. Flynn (R) President Obama 2012.1.4〜 × 指名のみ Sharon Block (D) President Obama 2012.1.4〜 × 指名のみ Richard Griffin (D) President Obama 2012.1.4〜 × 事務局長 Lafe Solomon - President Obama 2011.1.27〜 ×
※ 指名のみの3氏は、いずれも大統領による"recess appointment"であり、今年中に上院の承認が得られなければ、空席扱いとなる。しかも、Flynn氏は、前年に続いて2回目。
※ 参考テーマ「労働組合」
Source : | 6 Perks That Do More Harm Than Good (Inc.com) |
上記sourceは、効果よりも害があると思われるperksについて、例示している。例示されているのは次の6つ。いずれも、場合によっては構わない、との注釈がついているが、要するに、他の従業員や部下からみて『特権を有している』と見られないようにすべきだ、ということだ。
- 取引業者による招待旅行(スポーツ観戦)
- 特別な駐車スペースの確保
- ランチや休憩のための特別な個室
- (常時閉鎖している)オフィスのドア
- 会議に提供される軽食・飲料
- 勤務時間の変更
逆に言えば、チーム意識を大事にしろ、ということで、チーム意識を低下させるようなperksは有害だ、と述べているのである。
最近のアメリカ企業の職場には、こうした考え方が強まっているように感じる(「Topics2008年3月30日 忠誠心からコラボへ」参照)。極々わずかな例示ではあるが、最近のNHKのラジオ英会話で、『従業員をパートナーと考え、彼らの勤労意欲を高く維持することがビジネスの成功の秘訣』と述べる経営者の言葉があった。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」
Source : | Retirees Accept Pension Cuts in Rhode Island Town's Bankruptcy (Bankruptcy News) |
RI州のCentral Falls市は、退職した警察官、消防士との間で、年金給付額を削減することで合意に至ったという。
同市は、昨年8月1日に、Chapter 9による再建を申請した。財政の悪化の主な原因は、市職員の退職年金と退職者医療保険プランであった。財政破綻の主因であった市職員の退職年金について、「自主的な」削減合意に至ったことで、同市の再建は大きく一歩前進する。後は、破産管財人の承認を得るばかりである。
今回、Chapter 9による再建の中で、「自主的」とはいえ、年金給付の削減が実現するとなると、他のChapter 9再建中の自治体、またはその予備軍にもたらす影響は大きい。これまで、Chapter 9の中で、年金給付は聖域と見做されてきたからだ(「Topics2011年11月13日 Chapter 9の効能」参照)。
※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11」、「地方政府年金」