3月7日(1) GAS 45への対応 Source : GASB 45 Survey of NCPERS Members (NCPERS)

上記sourceは、NCPERSが、自治体、公立学校等を対象に、GAS 45への対応についてアンケート調査を行った結果である(「Topics2005年12月13日 時限爆弾-GAS45」参照)。その中から、気付いた点についてコメントする。
  1. Phase 1の大規模自治体で、GAS 45対応の給付債務の見積もり作業を、まったく始めていないところが7つもある。他の中、小規模の自治体でまったく開始していないところは皆無であることからみて、この7つの自治体は確信犯的に作業を行っていないと思われる。おそらくは、GAS 45を無視することに決めているのだろう。

  2. 給付債務に対応する資産を積み立てていく手法は、自治体によって様々なのだが、当websiteでも取り上げたVEBAを利用しているところが10%近くある(「Topics2007年10月12日 VEBAとGAS45」参照)。

  3. GAS 45に対応して、退職者医療プランの制度設計の見直しを検討しているところがかなりある。
    1. 加入資格の見直し → 68%
    2. 退職者負担の見直し → 55%
    3. 制度全体の見直し → 50%
ここでも会計基準が制度設計に影響を及ぼしているようだ。

3月7日(2) Howard Countyの無保険者対策 Source : Maryland County Brings Health Care to Thousands of Uninsured (Medscape)

連邦政府もMD州政府も頼りにならん、ということで、MD州のHoward Countyが独自の無保険者対策を公表した。"Healthy Howard Access Plan"といって、2008年10月に始動とのことである。

このプランの特徴は、次の通り。
  1. 2万人の無保険者への公的医療提供サービスである。
  2. 保険プランではない。
  3. 加入費用は月$50〜85。
  4. 加入資格は次の通り。
    1. PL300%以下
    2. Howard Countyに1年以上居住
    3. 1年以上無保険状態
  5. プラン参加医療機関はcounty内の医療機関で、ポータブルではない。
  6. 加入者は、健康増進計画と健康指導を受けなければならない。
  7. 健康指導を受けるために障害がある場合は、countyが障害を除くためのサービス(例:ベビーシッティング)を提供する。
  8. これらの指導通りにしなければ、基礎的な医療以外は提供されなくなる。
まさに、保険プランではなく、countyによる医療措置制度である。保険ではないという点ではSF市の無保険者対策(「Topics2007年8月17日 SF市の無保険者対策」参照)と共通しているが、ここまでの健康指導は組み込まれていない。また、SF市の"Pay or Play"ルールもないようだ。

3月6日(1) McCainの医療政策 Source : McCain on Health Care (as of 03/06/08)

共和党の大統領候補者選挙で、John McCain上院議員が勝利した。5日にはBush大統領から祝福を受け、本格的に大統領選本番に向けた活動を開始した。

実は、当websiteでは、McCain上院議員の医療政策に関する言及は、これまで2回しかない。しかも、最初の方は、医療政策に関する提言はない、という紹介であった。
2007年6月7日(1) 共和党候補者の医療政策

2008年1月8日 医療保険改革の対立軸
民主党候補者選でObama上院議員とClinton上院議員が争っている今の状況では、いつもの比較表はこの3人で作成すべきだろう。

これから8ヶ月近くMcCain候補の言動をWatchすることになるので、ここで彼の医療政策の概要をまとめておくことにする。
  1. 基本方針
    1. 医療コストを抑制することが、無保険者対策のすべてである。
    2. 家族が健康に対して責任を持つ。
    3. 医療制度の中で競争原理を強める。
    4. 医療の選択に関する情報提供を強化する。
    5. 診療の評価基準を開発する。
    6. 21世紀に相応しい医療情報のITC化を図る。
    7. 過度な医療訴訟を抑制し、医師にセーフハーバーを与える。

  2. 医療保険改革
    1. 企業提供医療保険プラン優遇税制を改め、すべての個人に医療保険税額控除(個人$2,500、家族$5,000)を認める。
    2. 国民の選択肢を広め、競争原理を高めるために、全米中どこからでも(州際を越えて)、誰からでも保険購入できるようにする。
    3. 医療保険プランは複数年契約とし、ポータブルになるようにする。
    4. (ここには記載されていないが、保険加入義務化には反対している)

  3. 個人の責任
    1. 慢性病の予防に注意を払う。
    2. 子ども達に医療、栄養、運動に関する教育を徹底する。

  4. 自閉症対策の強化
共和党保守派からは、「中道派」と称されているが、医療政策については、見事に保守派のストライク・ゾーンである。

3月6日(2) GM-VEBAの司法手続き Source : Federal Judge Grants Preliminary Approval of Agreement by GM, UAW To Establish Health Benefit Trust (Kaisernetwork)

4日の法廷で、連邦地方裁判所は、GMのVEBA設立に関する仮承認を行った(「Topics2008年2月26日 VEBA設立手続き開始」参照)。その際の概要および今後の日程は次の通り。
  1. GMの拠出額は、$33〜36.5B
  2. GMからVEBAに移行される給付債務は、$46.7B
  3. VEBAの始動は2010年1月1日以降
  4. VEBAの対象者数は、約50万人
  5. VEBAの運営理事会は11人で構成。うち5人はUAWが指名し、残り6人は裁判所が任命。
  6. 退職者医療給付は2011年までは変更しない。その後はVEBAが決定する。
  7. GMの退職者等の関係者は、VEBAに関する情報を3月28日までに受け取る。
  8. 6月3日に裁判所でヒアリングを開催する。
最後にいつもの株価動向。 ⇒ GM