2月29日 FASBのメンバー縮小 
Source : The Financial Accounting Foundation Board of Trustees Approves Change to Oversight, Structure and Operations of FAF, FASB and GASB (FAF)

今日は4年に1回の"2月29日"である。ちなみに、前回の2004年2月29日のTopicsは、・・・・・・なかった。

さて、26日、FAFが機構改革を決定した旨、発表した。主な変更点は次の通り。 ここから読み取れることは次の諸点。
  1. IFRSとのコンバージェンス・シフトである。
  2. 財団理事の出身母体を拡大し、会計基準関係者の幅広い関与と支持を得る。
  3. 人数を減らす一方で議長の権限を強化することで、FASBの意思決定を速める。コンバージェンスを加速化するのはもちろんだが、IASBとの共同作業、その先には統合も視野に入っているのではないか。
  4. GASBは、これから重要性が増してくるということで、そのための充分な活動費を確保する。
方向性が定まった時のアメリカ人の行動力はすごい。

2月28日 離職手当の見直し必至 
Source : IRS Ruling Creates Uncertainty Regarding What Constitutes Performance-Based Compensation Under Internal Revenue Code Section 162(m) (McDermott Will & Emery)

IRSPrivate Letter Ruling (PLR)が、大変な騒ぎを引き起こしているそうだ。

上記sourceによれば、IRSは、 との判断を示したようだ。

損金算入限度額の規定(Section 162(m))は、 となっている。

これまで、IRSは一般的な離職手当については、ほぼ全額損金算入を認めてきたが、このように方針転換することになれば、ほとんどが課税対象となってしまう。

実は、このレターは、昨年9月21日に発出されているのだが、公表されたのが、今年に入った1月25日であった。その後、騒ぎは大きくなり、IRSの解釈は妥当なのか、従来の解釈と矛盾するなどの意見が百出した。こうした騒ぎを受けて、IRSは、適用を遅らせることを公表(Rev. Rul. 2008-13)したが、本質的な変更は避けられないようだ。

加えて、連邦議会では、今回のサブプライム問題騒動の中で、メリルリンチのCEOが$161.5Mもの離職手当を手にして退職したことが問題視されている(Financial Week)。SECが経営者報酬の開示強化を求めたこと(「Topics2007年10月10日 SECと企業の対話」参照)と併せて、連邦議会も、報酬の巨額化のための課税強化に強い関心を寄せているそうだ。

これまで、"Golden Parachutes"ともてはやされてきた経営者の離職手当は、大きな変更を余儀なくされることになりそうだ。

2月26日 VEBA設立手続き開始 Source : Legal Move Pushes GM Retiree Plan Ahead (AP Online via NewsEdge Corporation)

21日、連邦地方裁判所に対し、GM-VEBA設立のための法的手続きの申請が行われた(「Topics2007年10月17日 VEBAの概要」参照)。これにより、正式に設立に向けて動き始めたことになる。何の問題もなければ、6月3日に許可が出る予定だ。

2月25日 医療情報とGoogle Source : Cleveland Clinic Collaborates With Google to Enhance Patients' Healthcare Experience (Cleveland Clinic News)

このニュースは、日経の夕刊でも紹介されていたので、目にした方も多いことと思う。

20日、Cleveland Clinicは、Googleと協力して、患者の医療情報をオンライン化するパイロット・プロジェクトを発表した。これによると、Cleveland Clinicでは、既に患者の医療情報をデジタル化しているが、その中で、同意を得た患者の情報を、同病院ネットワークの外部からアクセスできるようにするそうだ。その際のオンライン化技術をGoogleに提供してもらうらしい。

患者側からすれば、24時間いつでもどこからでも、自分の医療情報にアクセスできるようになる。

実は、同様の取り組みは、 などがあるそうだ。

専門家によると、このような第3者による医療情報提供サービスは、医療情報に関する取り扱いを厳しく規定する"Health Insurance Portability and Accountability Act (HIPPA)"の対象外になっており、問題が多いと指摘されている(AP via NPR)。国民にとって利便性の高いサービスと既成の法律の間の齟齬は、ICTの進展にはつきものである。これをどうやって解決していくかが、人間の知恵の出しどころである。

2月22日 業績連動報酬 
Source : CEOs at Best-Performing Companies Receive Long-Term Incentive Payouts Substantially Above Target, Watson Wyatt Analysis Finds

Watson Wyattの分析によれば、企業の業績とCEOの業績連動報酬は、確かに相関が高く、業績連動報酬は有効である、とのことである。

一方で、Watson Wyattは、SEC新開示ルールに基づいて、業績連動報酬で定められている業績目標や、報酬の決め方について、株主に対する説明、透明性の確保に注力すべき、とのアドバイスを行っている(「Topics2007年10月10日 SECと企業の対話」参照)。

SECの新開示ルールは、じわじわと効いてきそうである。

2月21日 IA州の保険改革 Source : Iowa Governor Announces Proposals To Insure More Residents, Lower Costs (Kaisernetwork)

18日、Iowa州(IA)のChet Culver州知事が、医療保険改革として4つの政策提案を行なった。
  1. 本人の病歴に関係なく、保険プランに加入できるようにする
  2. 被保険者の被扶養加入者の年齢制限を25歳に引き上げる
  3. 介護保険料の引き上げ率を年率12%を限度とする
  4. 州政府が保有する医療記録を電子化する
併せて、Culver知事は、『皆保険を達成するために、長期的には州民の保険加入義務を検討してなければいけないと考えているが、当面はできることから徐々に進めていく』との発言を行っている。ちなみに、IA州の無保険者割合は9%と、全米トップクラスの低さであり、MA州にも勝っている。

Culver知事(民主党)は、2期目で、2006年中間選挙で再選されている。また、IA州議会は、上院下院とも民主党が押さえている。

先に紹介したUT州では、知事、両議会ともに共和党であった(「Topics2008年2月15日 UT州の保険改革」参照)。支配政党がまったく異なるIA州とUT州で、『保険加入義務を睨みながらの保険改革』という同じアプローチが取られていることは興味深い。