9月7日 雇用指標は緩やかに改善
Source :The latest jobs data provides a really confusing picture. Here are 4 things to know (NPR)
9月6日、雇用統計が公表された(BLS)。6月、7月合わせて8.6万人の下方修正のうえで、8月の雇用増は14.2万人となった。前月比では8.9万人多い(「Topics2024年8月5日 雇用増が鈍化」参照)。
雇用者数は158.8M人となった(Table B-1. Employees on nonfarm payrolls by industry sector and selected industry detail)。業種別増加数は次の通り。相変わらずサービス業での需要が高い。プラスに寄与しているのは、ホテル旅行業、医療関係、建設業。
失業率は再び4.2%に低下した(Table A-1. Employment status of the civilian population by sex and age)。
労働市場参加率は今月62.7%と横ばい。
25~54歳の労働市場参加率は83.9%と、微減となった(BLS)。
労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は、若干増となった。
長期失業者(27週以上)の失業者全体に占める割合は、21.3%と続落した。
今回の雇用統計は、強い面と弱い面が混在する結果となったと報道されている。次のFOMCは9月17~18日である。

※ 参考テーマ「労働市場

9月5日(1) 労働市場は落ち着きへ
Source :Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS)
9月4日、BLSが、7月末の求人数を発表した。7月末の求人数は767.3万人で、前月比-3.0%の減となった(「Topics2024年7月31日(1) 労働市場の過熱感低下」参照)。
労働力人口に占める求人数の割合は4.6%と低下し、全体の低下傾向が続いている。
新規雇用数は552.1万人と、5.2%の大幅増加となった。
失業者数/求人数は、0.9で横ばいであった。
7月の自発的失業(Quits)は327.7万人と微増となったが、減少傾向は続いている。
Quits level, Total nonfarm - 2019~2024年

Quits level, Total nonfarm - 2007~2024年
アトランタ連銀による時間給のデータ公表が再開された。7月の前年比で、全体は4.7%増、勤続組は4.5%増、転職組は5.0%増となった。伸び率自体はリーマンショック前程度に戻ってきている。

Federal Reserve Bank of Atlanta's Wage Growth Tracker
雇用市場の落ち着きを取り戻しつつある。

※ 参考テーマ「労働市場

9月5日(2) ERISA50周年
Source :Cheers to 50 Years of ERISA: A Major Milestone in Employee Protection (Law Offices of Snell & Wilmer)
ERISA(ERISA in the United States Code)は1974年9月2日に成立した(「US Labor Market and Employee Benefit」参照)。今年で50年が経過したことになる。

当初は、企業年金、特に確定給付プラン(DB)に焦点が当てられていたが、やがて確定拠出プラン(DC)、退職者医療給付に関心が移っていった。時代とともに退職者所得の形が変わったり、従業員や企業のニーズも変わってくる。それらに合わせて、ERISAの焦点も変化していくのである。

上記sourceでは、ERISAが対応すべき課題として、次の2点を挙げている。
  1. ESOPにおける受託者責任の厳格化

  2. ESG投資と加入者利益の最大化原則、受託者責任の両立

  3. 医療保険プランにおける透明性の確保
※ 参考テーマ「企業年金関連法制」、「PBGC/Chapter 11」、「DB/DCプラン」、「受託者責任」、「Erie事件」、「VEBA/Legacy Cost

9月5日(3) 離職手当とERISA
Source :Is Your Severance Benefit an ERISA Pension Plan? (Golan Christie Taglia)
アメリカ企業では、離職する際に「離職手当(severance benefit)」を支給する場合がある。その際、「離職手当」が「年金プラン」に相当すると認められた場合には、ERISAの対象となる。

上記sourceでは、離職手当が年金プランに該当しないと認定される条件(労働省規則)について紹介している。
  1. 離職手当の支払いが、従業員の退職を条件としていない。

  2. 離職手当総額が離職直前の年収の2倍を超えない。

  3. 全ての支払いが24ヵ月以内に完了する。
離職手当が退職所得への加算と位置付けないようにすることが大切、ということである。

※ 参考テーマ「解雇事情/失業対策」、「企業年金関連法制