6月29日 州職員にも"rihgt ot work"
Source :Is This Supreme Court Decision The End Of Teachers Unions? (NPR)
6月27日、連邦最高裁は、『公的セクターの労働組合は、組合に加入していない従業員から同意なしに組合費を徴収することはできない』との判決を下した。現在、22州で、公的セクターの労働組合が非加入者からの組合費徴収を認められているが、今後はそれが認められないことになる。

いわば公的セクター版"rihgt ot work"が認められたことになる(「Topics2017年1月13日 KY州:27番目のRight to Work州に」参照)。

これによる影響として、上記sourceは次の6点を挙げている。
1. Lose members

2. Lose money

3. Spend proportionately more money on political lobbying

4. Have less power to oppose school choice and other education reform

5. Work harder to attract more members

6. Go on strike more often
現在、州政府職員では、労組加入率30.3%、組織率33.4%(2017年)となっているが、今後じわじわと低下していくことが予想される。ちなみに、全米の労組加入率は10.7%、組織率は11.9%である。(BLS

※ 参考テーマ「労働組合

6月28日 Kennedy判事退任
Source :Supreme Court To Lose Its Swing Voter: Justice Anthony Kennedy To Retire (NPR)
6月27日、連邦最高裁のKennedy判事が引退を表明した。退任日は今年7月31日だ。

現在の連邦最高裁判事は次の通り。Kennedy判事は来月23日に満82歳となる。最高齢という訳ではないが、就任期間が30年を超え、最も長くなっている。

Current Justices of the US Supreme Court (as of June 28, 2018)

Name Born Appt. by First day
John G. Roberts
(Chief Justice)
01955-01-27 January 27, 1955 George W. Bush 02005-09-29 September 29, 2005
(Anthony Kennedy) 01936-07-23 July 23, 1936 Ronald Reagan 01988-02-18 February 18, 1988
Clarence Thomas 01948-06-23 June 23, 1948 George H. W. Bush 01991-10-23 October 23, 1991
Ruth Bader Ginsburg 01933-03-15 March 15, 1933 Bill Clinton 01993-08-10 August 10, 1993
Stephen Breyer 01938-08-15 August 15, 1938 Bill Clinton 01994-08-03 August 3, 1994
Samuel Alito 01950-04-01 April 1, 1950 George W. Bush 02006-01-31 January 31, 2006
Sonia Sotomayor 01954-06-25 June 25, 1954 Barack Obama 02009-08-08 August 8, 2009
Elena Kagan 01960-04-28 April 28, 1960 Barack Obama 02010-08-07 August 7, 2010
Neil McGill Gorsuch 01967-08-29 August 29, 1967 Donald Trump 02017-04-10 April 10, 2017
色塗りから判る通り、党派的には「中立」と評されていた判事であり、連邦最高裁はまさに"Swing Voter"を失うことになる。

トランプ大統領は、直ちに後任候補者選びに着手すると明言した。おそらく保守色の強い判事が指名され、『保守派5 vs リベラル派4』が固定化されることになろう。

なお、上記sourceで具体的な名前を紹介しているのは次の4人。全員50代前半だそうだ。
  • Judge Brett Kavanaugh, the U.S. Court of Appeals for the D.C. Circuit

  • Former Solicitor General Paul Clement who served in the George W. Bush administration

  • Judge Thomas Hardiman, the 3rd U.S. Circuit Court of Appeals

  • Judge Raymond Kethledge, the 6th U.S. Circuit Court of Appeals
※ 参考テーマ「司 法

6月27日 高免責額プラン見直しへ
Source :Some Big Employers Moving Away from High Deductible Health Plans (Insurance Journal)
上記sourceでは、大企業で高免責額プランを見直す動きが出ていると紹介している。

高免責額プランは、2000年代に入って急速に普及した。最初の切っ掛けは、G.W.Bush大統領と共和党が実施した2003年の税制改正で、企業に高免責額プランを導入するよう奨励した(「Topics2004年9月21日 企業の医療保険プランの実態」参照)。そしてリーマンショックで900万人の雇用を削減した際、企業は医療費負担を削減するために高免責額プランの導入に一気に動いた。それを後押ししたのがObamacareで、HSA付き高免責額プランを奨励した。これで免責額は$1,000以上に設定されるようになった(「Topics2010年8月23日 保険プラン見直しの方向性」参照)。

このような流れの結果、現在、
  • 高免責額プランへの加入者の割合は4割を超えている。
  • 大企業の39%は高免責額プランしか提供していない(2009年:7%)

  • 全従業員のうち約半数が、$1,000以上の免責額が設定されているプランに加入している(2009年:22%)
という状況になっている。

ところが、高免責額プランの弊害も明らかになってきている。
  1. 高免責額プランを導入することにより、企業側の負担削減(12〜14%)は実現できた。しかし、加入者(=従業員)にコスト意識を持ってもらって、効率的な受診をしてもらうという目的はほとんど果たせていない。加入者は、必要な受診の回数を減らしたり、先送りにしたりして、結果的に高コストの医療を受けることになっている(「Topics2015年10月19日 高免責額プラン:理論と現実」参照)。

  2. 免責額の水準が引き上げられ続けていて、個人の家計が破綻する、$400の救急医療費が負担できない、といった状況が発生している。
こうした弊害を目の当たりにして、大企業の中には高免責額プランを見直そうとする動きが出始めている。
  • JPMorgan Chase:年収$60,000以下の従業員については、実質的に免責額を廃止する。

  • 3社連合(「Topics2018年1月31日(2) 3社で医療費抑制」参照):高免責額プランに伴う家計の窮状に理解を示す。

  • CVS:5年前に、20万人の従業員を高免責額プランに移行させた。当初は無料で提供する処方薬を一部のジェネリック薬に限定していたが、次第にその範囲を拡大しており、そこにはいくつかのブランド薬も含まれている。また、2019年からは、大幅な割引で購入したブランド薬についても、無料で提供する計画である。
※ 参考テーマ「医療保険プラン

6月22日 教育・労働力省設置案
Source :White House Proposes Merging Education And Labor Departments (NPR)
6月21日、The White Houseは、現在の教育省と労働省を合併させて、『教育・労働力省』を新設する案を公表した。

大義名分は、@行政のスリム化、重複の排除、A教育政策と労働力のニーズとの間の関係の整理、ということになっている。確かに、育てて労働力にする、というのは大きな国の役割であり、ここを一気通貫にしようという試みも理解できる。

上記sourceを読んでいて初めて知ったことなのだが、連邦政府の教育省とは、1979年にカーター大統領が創設したとのことだ。たった40年しか経っていない役所なのである。日本人にとっては驚きとしかいいようがない。

さらに驚いたことに、保守派の象徴のような存在であったレーガン大統領がこの教育省を潰そうとしていたそうだ。アメリカ社会における教育、教育行政の位置づけをもう一度確認しておく必要がありそうだ。

※ 参考テーマ「教 育」、「労働市場