上記法案は、2001年、2003年の大減税のうち、期限切れを迎える、または迎えた項目を延長するものである。その中には、私も恩恵を被った(「Topics2003年8月11日 Checkが届いた!」参照)、扶養税額控除拡大の継続が含まれている。と主張していたはずである(THE KERRY-EDWARDS ECONOMIC PLAN)。
また、2004年から所得控除が認められなくなっていた、Archer Medical Savings Accounts (MSAs)への拠出(「Topics2004年1月7日(1) 医療貯蓄勘定」参照)も、2004年から2年間、所得控除が認められることになっている。
9月23日、下院は339対65、上院は92対3で、同法案を可決しており、あとは大統領の署名を待つばかりである。
ここで不思議なのが、両院とも、圧倒的多数、つまり民主党議員も大多数が賛成している、ということである。大統領選の民主党候補であるJ. F. Kerry氏は、
- Bush減税は間違っていた。
- Bush政権は、財政赤字を拡大させ、無責任である。
Kentucky州の世論調査では、同性婚禁止のための州憲法改正に、72%が賛成と出た。同州では、約1ヶ月後の大統領選挙と同時に、同改正案をめぐる州民投票が行われる予定になっており、今回の世論調査と同様の結果が出そうである。もしそうなれば、以前に紹介した、ミズーリ州とほぼ同じ形となる(「Topics2004年8月6日(2) 同性婚:ミズーリ州とワシントン州」参照)。
11月の大統領選と同時に、いくつかの州で同様の州民投票が行われる予定になっているが、10以上の州で、改正案賛成が大きく上回りそうである(New York Times)。
いよいよ、US Airwaysの清算の可能性が高まってきた(「Topics2004年9月15日(1) US Airways清算で得する人は?」参照)。上記sourceによれば、主に2つの理由が挙げられている。
こうした理由を勘案したキャッシュ・フロー予測は、次のようになっている。
- 来年1〜2月にかけて、航空機債務、リースの支払($260M)の期日が来る。仮に不払いとなれば、航空機を失うことになり、営業を継続することができなくなる。
- 冬場で利用客数が少なくなる。最も少なくなるのは来年3月と見込まれる。
この見込みによれば、来年2月初めに、キャッシュ・フローが急速に悪化し、2月末から3月初めにかけて最悪の状況となる。そこまでに残された半年間で、労働コストその他を大幅に削減できなければ、このシナリオが実現してしまうというわけだ。
今秋の大統領選挙をはじめとした一連の選挙で、注目すべきなのが、E-Votingである。簡単に言えば、コンピュータ投票である。2002年の中間選挙でも試験的に導入されていた(「Topics2002年9月10日(1) コンピュータ投票」参照)が、今回はいよいよ本番となる。
上記sourceによれば、Washington DC周辺で予定されているE-Votingの概要は、次の通りである。ご覧の通り、電子投票を導入すると言っても、かなりのばらつきがある。Maryland州は、ボルティモア市を除いて、統一システムを導入している。それでも、州で統一できていないことには違いない。Virginia州に至っては、DC周辺では、機材も、メーカーも、方式もバラバラと言ってよい。
County 機材 メーカー 紙ベースの投票 Write In その他情報 Washington, D.C. AVC Edge Sequoia Voting Systems 可能 keyboardにより記入 D.C. Board of Elections and Ethics Maryland州(除くBaltimore city) AccuVote-TS Diebold Election Systems 不可 keyboardにより記入 Maryland State Board of Elections City of Alexandria(VA) eSlate Hart InterCivic 不可 keyboardにより記入 Alexandriavoter.org City of Falls Church(VA) AccuVote-OS、paper ballot Diebold Election Systems 手書きの投票用紙をスキャン 手書きで可能 city's Web site Fairfax City(VA) WINvote Advanced Voting Solutions 不可 keyboardにより記入 city's voting Web site Cities of Mannassas and Manassas Park(VA) AVC Edge Sequoia Voting Systems 可能 keyboardにより記入 city's Web site or Web site City of Fredericksburg(VA) Optech Eagle IIIP, paper ballot Sequoia Voting Systems 手書きの投票用紙をスキャン 手書きで可能 city's Web site Arlington County(VA) WINvote Advanced Voting Solutions 不可 keyboardにより記入 county's voting Web site Fairfax County(VA) WINvote Advanced Voting Solutions 不可 keyboardにより記入 county's voting Web site Prince William County(VA) AVC Edge Sequoia Voting Systems 可能 keyboardにより記入 county's Web site Loudoun County(VA) AccuVote-OS、paper ballot Diebold Election Systems 手書きの投票用紙をスキャン 手書きで可能 county's Web site Fauquier County(VA) AccuVote-OS、paper ballot Diebold Election Systems 手書きの投票用紙をスキャン 手書きで可能 county's Web site Stafford County(VA) AccuVote-OS、paper ballot Diebold Election Systems 手書きの投票用紙をスキャン 手書きで可能 county's Web site Spotsylvania County(VA) Optech Eagle IIIP, paper ballot Sequoia Voting Systems 手書きの投票用紙をスキャン 手書きで可能 county's Web site
確かに、ラテン系の投票率アップには繋がるし、複雑なパンチ方式からは解放されるものの、これではコンピュータ投票に慣れていない市民も混乱し、集計に混乱が生じる可能性は充分あると思われる。
いつかは踏み出さなければならないにしても、少なくとも州単位では同一のシステムを導入できるように準備を進めておくべきではないだろうか。
Greenspan FRB議長の任期は、2006年1月までである。78歳という高齢を考えれば、続投はまずない。
次期大統領選の勝者、つまり次期大統領の最初で、かつ最重要課題が、Greenspan議長の後任探しということになる。
上記sourceによれば、主な候補者は、次の通り。
共和党系 民主党系 独立系 Martin S. Feldstein(レーガン政権CEA議長) Robert E. Rubin(クリントン政権財務長官) R. Glenn Hubbard(現ブッシュ政権初期CEA議長) Lawrence H. Summers(クリントン政権財務長官) John B. Taylor(元財務次官補) Roger W. Ferguson Jr.(現FRB副議長) Donald L. Kohn(現FRB理事) Ben S. Bernanke(現FRB理事) Stanley Fischer(元IMF理事)
Greenspan議長は、年金問題にも目配りできる識者である。経済理論一辺倒ではないFRB議長を誰がこなすことになるのか、注目していきたい。
連邦議員112人(上院8人、下院104人)の連名で、UALに対して、年金プラン廃止に反対するとのレターを準備しているそうだ。民主党議員が中心のようで、一部共和党議員も参加している。
議員の方からすれば、「年金救済法を通してやった(「Topics2004年4月7日 年金救済法案は最後の山場」参照)のに、その直後に年金プランを廃止しようとするとはなんだ」という怒りがあるのだろうが、Chapter 11に入った企業にそんなことを言っても、「じゃ、再建のためのファイナンスを用意してくれるのか」と切り返されてお終いだ。単なる選挙向けパフォーマンスと見ておくべきだろう。
2度目のChapter 11に入ったUS Airwaysの債権者委員会が設立された。連邦管財人U.S. Trustee W. Clarkson McDow Jr.の指名によるもので、メンバーは次の通り。当websiteでこれまでも指摘している通り、今回のケースでも、債権者委員会にPBGCが参加している。元はと言えば、US Airwaysの最初のChapter 11で懲りたPBGCが、次のUALの際に、債権者会議に参加したのが最初である(「Topics2002年12月17日 いよいよ始まったUAL債権者会議」参照)。PBGCにとってみれば、今回のUS Airways債権者委員会への参加は、文字通りのリターンマッチである。通常以上に厳しい態度で臨むことが予想され、この面からも、US Airwaysの再建は困難になったと言えるだろう。
企業が提供する医療保険プランの実態について、調査レポートが公表された。今回のレポートは、保険料や免責額の実額が掲載されているので、より実感が湧く内容となっている。以下、ポイント。
- 保険料率の高騰は、依然として2桁の高水準となっている。
- 保険料は、様々な保険プランの類型にかかわらず、個人の場合が$3,500〜$4,000、家族の場合は$10,000前後となっている。かつてのように、HMOだからといって格安になっているわけではない。
- 保険料の企業負担については、中小企業の方が、100%負担の割合が高い。しかし、企業負担50%以上となると、大企業の方の割合が大きい。
- 免責額については、保険プランの類型により、大きく異なっている。ただし、各プランとも、その額は年々大きくなってきており、2003年以降は、HMOにも免責額が導入されるようになってきている。
- 今後1年間に採り得る対策として、可能性の高いのは、従業員の負担を増やす措置である。逆に、あまり可能性のないのが、従業員の加入資格を限定する、もしくは、プランの提供をやめる、といった措置である。