5月20日 州レベルの個人保険加入義務 
Source :State-by-State Estimated Premium Increases due to Individual Mandate Repeal and Short-Term Plan Rule (Center for American Progress)
先に、MD、VA両州の来年の個人保険料申請情報が公開された(「Topics2018年5月12日 個人保険料大幅アップ予想」参照)。上記sourceは、全州について、個人加入義務に伴うペナルティ課税0と短期保険の解禁の影響をもとに、来年のベンチマーク個人保険料を推計したものである。
全州平均で16.4%の上昇である。個別州で見ると、最高がAlabama州の21.6%、最低でもAlaska州の8.5%となっている。ちなみにMD州は10%、VA州は19.1%となっている。やはり大きな上昇は避けられない見通しだ。

このような懸念に対して、9州(MD, DC, NJ, CT, HI, VT, RI, MN, WA)が独自に個人加入義務を課すことを検討しているという(HCW)。ただし、今からでは2019年には間に合わない。

※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「無保険者対策/州レベル全般

5月19日 処方薬価格抑制策を提案
Source :6 Takeaways From Trump’s Plans to Try to Lower Drug Prices (New York Times)
5月11日、トランプ政権は処方薬価格抑制策の青写真を公表した。上記sourceは、そのうちの主な6項目について紹介している。
  1. Medicareの処方薬価格の見直し

    一部処方薬の買取価格の見直しや、効果に基づいた支払価格の検討を行なう。処方薬の効用が所期の通り得られなければ一部を返金するなどが考えられている。しかし、これまで提唱してきたMedicareプランそのものの価格交渉力を強化するような方策は盛り込まれていない(「Topics2017年1月10日 処方薬の高騰が続く」参照)。

  2. 医薬品価格を引き上げるよう他国に要請する

    米国製薬会社の医薬品価格が他国で政策的に抑制されているのは、研究開発費を負担しないフリーライダー的行為だとして、価格の引き上げを要請する。しかし、仮に他国が引き上げたとして、アメリカの消費者の購入価格が下がるかどうかは不明。

  3. 処方薬価格の開示を義務付ける

    処方薬のコマーシャルにその価格情報を盛り込むことを義務付けることを検討する。しかし、価格情報の定義までは示されていない。また、消費者が実際に窓口で負担する価額は、処方薬の価格よりもうんと低いことが一般的であり、価格引き下げのインパクトとなり得るかどうか疑問がが示されている。

  4. 価格比較情報の開示

    現在、製薬会社と処方薬管理会社との間の契約では、処方薬を現金で購入する方が保険給付で購入するよりも負担が少ない場合、薬剤師はその事実を購入者に伝えてはならないことになっている("gag clauses")。しかし、こうした民間同士の契約に連邦政府が立ち入って禁止することができるのかどうかは不明だ。

  5. 特許保護の見直し

    最近、ブランド新薬メーカーは、特許医薬品のサンプルをジェネリックメーカーに渡すことを拒否することで、特許を守ろうとしている。この手法を規制しようということを主張している。

  6. リベートの規制

    処方薬管理会社へのリベートや値引きを違法化する、または処方薬価格に反映させる手法を検討する。
これまで言われていたような、Medicare制度自体に処方薬価格交渉を認めたり、処方薬の個人輸入を認めるなどの過激な手法については言及されていないそうだ。

※ 参考テーマ「医薬品

5月15日 中間選挙:保険料上昇の影響
Source :Kaiser Health Tracking Poll: Preview of the Role of Health Care in the 2018 Midterm Campaigns (The Henry J. Kaiser Family Foundation)
2019年の保険料が大幅上昇する見込みの中、中間選挙への影響はどうなるのかが気になっていたところ、ちょうど世論調査が公表された(「Topics2018年5月12日 個人保険料大幅アップ予想」参照)。

ポイントは次の3点。
  1. 有権者の最大関心事項は、「経済・雇用」、「医療」、「銃規制」である。
  2. 特に、民主党支持者の間では、「医療」に対する関心が高い。
  3. 「医療」に関心を持つ有権者の間では、医療費負担が最重要課題となっている。
保険料高騰は中間選挙結果に少なからず影響をもたらしそうだ。

※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「中間選挙(2018年)

5月13日 NH州:Medicaidに就労義務
Source :New Hampshire becomes fourth state to impose Medicaid work rules (Modern Healthcare)
5月7日、CMSは、New Hampshire州(NH)に対してMedicaid加入者に就労義務を課すことを認めた。これで、Medicaid加入者に就労義務を課しているのは、Arkansas, Indiana, Kentuckyに続いて4州目となる。上記sourceによれば、さらに6州が申請中とのこと。

具体的な要件は次の通り。 ※ 参考テーマ「無保険者対策/NH州

5月12日 個人保険料大幅アップ予想
Source :Health insurers seek big rate hikes for 2019 (Modern Healthcare)
MD, VA両州が、保険会社の2019年保険料申請額を公表した。具体的には、Exchangeにおける個人保険プランに関する保険料申請額である。

MD州の保険料申請額は前年比約30%増となっているが、これはあくまでも平均で、90%を超える増額申請を行ったプランもある。一方、VA州は、増加率の幅が広く、低いところは2%程度から、高いところは60%を超えている。

これほどに大幅な上昇率となった理由は、
  1. 無保険者に対するペナルティ課税が0%となった(「Topics2017年12月21日 ペナルティ課税ゼロ 」参照)

  2. 短期保険の延長が認められた(「Topics2017年10月13日 オバマケア破壊大統領令」参照)
ことである。これらの措置により、若者、健康な

CBOの予測によれば、Exchangeにおける人気silver plan保険料の上昇率は34%となっている。また、Urban Instituteの試算では、短期保険を規制していない州では、上記の理由1+2に起因する保険料上昇率は18.2%となっている。

今年11月には中間選挙が行われる。2019年の保険料大幅上昇がどのような影響をもたらすことになるだろうか。

※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/MD州」、「中間選挙(2018年)

5月11日 Sotomayor判事ピンチ
Source :SCOTUS Justice Sotomayor to undergo shoulder surgery following fall (CNN)
5月1日、Sotomayor判事が左肩の手術を受けた。4月16日に自宅で転倒して痛めたそうだ。ただし、この手術は応急措置的なもので、6月末以降、左肩の移植手術を施す予定だ。

6月末までは事案の意見聴取、判決を行なわなければならないのだが、同判事は活動を縮小せざるを得ない。また移植手術の後も、リハビリ等を行わざるを得ず、連邦最高裁判事としての活動は制約されることになる。

同判事の負傷が、微妙なバランスの上に立つ連邦最高裁のこれからの判決にどのような影響をもたらすのか(「Topics2017年4月10日 連邦最高裁判事就任」参照)。

※ 参考テーマ「司 法