10月9日 Exchange保険料は上昇か 
Source :Analysis of 2016 Premium Changes and Insurer Participation in the Affordable Care Act’s Health Insurance Marketplaces (The Henry J. Kaiser Family Foundation)
全米各州のExchage保険プランの保険料は、申請ベースでは10%を超えるものしか公表されない(「Topics2015年6月4日 保険料大幅引上げを申請」参照)。これでは、 EXchangeで提供されている保険プランの全体像は見えてこない。

上記sourceでは、Exchange全プランの申請データが公表されている都市について、ベンチマークとなる保険プラン(=保険料が2番目に安いsilver plan)の保険料の伸び率を示している。
  • 6月末時点
  • 10月1日時点
平均(average)をみると、両時点とも2016年の上昇率は4.4%となっている。都市部ではこの辺が相場なのかもしれない。確かに伸び率としては落ち着いているが、昨年のマイナスの伸び率から見れば大幅上昇だし、賃金や物価の上昇率をも上回っている。Exchange加入者にとっては、かなりがっかりな数値ではないだろうか。

それにしても、Oregon州(OR)のExchageはひどい状況だ。初年度はwebsiteがダウンしたままだったし、ようやく順調に稼動し始めたと思ったら、来年の保険料は大幅アップを余儀なくされそうだ。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/OR州

10月1日 PPACA負担増の回避策 
Sources : House votes unanimously to repeal ACA small group market expansion (Employee Benefit News)
Hillary Clinton to Propose Scrapping Health Law’s ‘Cadillac Tax’ (New York Times)
PPACAに既に組み込まれていて負担増となるプログラムを回避しようとする動きが強まっている。
  1. 小規模企業の定義拡大

    PPACAでは、小規模企業について、次のように規定している。
    (現在)従業員1〜50人 ⇒ (2016.1.1〜)1〜100人
    このように小規模企業の範囲を拡大することで、


    ことを目的としていた。

    ところが、9月28日、連邦議会下院は、全会一致で、小規模企業の定義を現行通りで継続する法案(The Protecting Affordable Coverage for Employees Act (PACE), HR 1624)を可決してしまった。現在、上院に送付されている。

    なぜ、両党全会一致でPPACAの規定を変えてしまったのか。それは、51〜100人規模の企業の負担が増える可能性があるからだ。推計では、同規模企業の従業員のうち、約2/3の保険料負担が増えるという。また、保険料も平均で18%も上昇するとの予測も示されている。このように大きな負担増となるのは、小規模企業を対象とした保険プランとそれ以外の保険プランの保険料決定方法に違いがあるためだ。
    小規模企業保険プランそれ以外の保険プラン
    保険料決定要素 ・年齢
    ・家族人数
    ・地域
    ・喫煙の有無
    左の要素に加えて
    ・診療歴
    ・業種
    ・勤務地 等々
    これまで健康管理指導などにより診療を少なくしてきた努力が無に帰すのだから、やってられないという気持ちになるのは理解できる。しかし、そのために、さらに小規模企業のグループの保険料抑制は実現できなくなってしまう。

  2. Cadillac Tax

    クリントン氏が、近日中にCadillac Taxの廃止を提案するという。労組からの支援を確実にすることが目的である。無論、企業経営者も喜ぶので、民主党候補者としては是非とも主張したいところであろう(「Topics2015年8月30日 Cadillac Taxの影響」参照)。肝心の代替財源についてもクリントン氏は提案する意向のようなので、楽しみに待っていよう。
いずれにしても、選挙年が近づくにつれ、PPACAのような民主党の看板政策についても、人気取り策が浮上してきている。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「医療保険プラン