6月20日 大卒の就業事情 
Source :Lack of jobs, not lack of skills, explains underemployment rate (EPI)
以前にもアメリカの大卒の就職状況は厳しいことを紹介した(「Topics2011年5月21日 アメリカの大卒も苦しい」参照)。上記sourceも、例の「実感失業率」(「Topics2011年6月4日 失業率と大統領選」参照)で、大卒以上の学位を持つ者の失業率を試算している。
これを見ると、もちろん一般的な実感失業率よりは低いものの、リーマン・ショック以前に較べれば、かなり高い水準で推移していることがわかる。

ただし、足許では好転に向かっているそうだ(Financial Times)。 ※ 参考テーマ「労働市場

6月19日 Medicaid特別支援停止 
Source :States Brace for End of Extra Payments for Medicaid (New York Times)
いよいよ、Medicaidに関する連邦政府の特別支援策は停止を迎える。昨年末に半年間延長したものの、もう間もなくその期限が到来するが、連邦政府は、財政赤字拡大でそれどころではなくなっているからだ。

これにより、全体でMedicaid関連支出比率は、連邦67%/州33%から、連邦57%/州43%に変わってくるとみられている。

財政赤字に苦しんでいるのは、連邦政府ばかりではない。むしろ、財政赤字を禁じられている州政府のほうが厳しい決断を迫られている。上記sourceにもある通り、National Association of State Budget Officers調査によれば、24州がMedicaidの償還額削減を、20州が給付の抑制を行うこととしている。

実は、各州政府はこれまでも同様のMedicaid支出抑制策を継続してきているが、なかなかその効果は現れていない。
失業率の高止まり、自治体職員のレイオフ、住まいの差し押さえの増加などで、苦しい家計が増え続けているためである。

こうした状況の中でMedicaidの支出を抑制しようとすると、2つの負の効果をもたらす。
  1. 充分な医療保険給付を受けられない、またはMedicaid対象から外れた低所得者は、救急医療に頼らざるを得なくなる。これは、アメリカの医療費を押し上げてきた主因の一つである。通常、救急医療は採算が合わず、ここでの赤字を他の診療で穴埋めする、という連鎖が働く。そうなると、他の診療代金が上げられ、結局は保険料引き上げにつながる。

  2. 低所得者層にとってみれば、医療保険改革法が成立したにもかかわらず、相変わらず充分な保険が得られない、いわゆる無保険者が存続することになる。
つまり、医療コストの上昇が継続し、無保険者は存続する、いや、むしろ増えていくことになりかねない。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル

6月16日 団体交渉権制約へ:WI州 
Source :Wisconsin Court Reinstates Law on Union Rights (New York Times)
14日、WI州最高裁は、州政府の公報を差し止めていた下級審の判決を覆す判決を下した。これにより、州政府職員の労組の団体交渉権を制約する法律が、施行に向けてまた一歩動いたことになる。

ちなみに、州最高裁の判決は、党派色の強い4:3という僅差の決定だったそうだ。政治と司法の関係が極めて重要であることを証拠づける事例である。

※ 参考テーマ「労働組合

6月14日 PBGCに保険料決定権(2) 
Source :PBGC premium proposal booed by business groups (Pensions & Investments)
Obama大統領のPBGC保険料改革提案に対し、経済界が強い懸念を表明している(「Topics2011年2月17日(2) PBGCに保険料決定権」参照)。Obama大統領提案はポイントは次の2点。
  1. PBGC保険料を議会による承認から、PBGC自身に決定権を賦与する

  2. スポンサーである企業の財政状況(リスク要素)を保険料に反映させる。
いずれも企業側は反対しており、特に後者はすこぶる評判が悪いようだ。やはり、企業年金の支払保証制度は持たないに限る。

※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11

6月11日 最も厳しい不法移民対策法:AL州 
Source :Alabama enacts anti-illegal-immigration law described as nation's strictest (Los Angeles Times)
これまで最も厳しい不法移民対策法はAZ州のそれと言われてきたが、9日に成立したAL州法(HB 56)はこれを凌ぐ厳しさと評されている。今回の不法移民対策法の概要のうち、当websiteの関心事項は太字下線にしておいた。

これらが本当にきっちりと施行されると、不法移民は、働けないし、病院にはいけないし、子供を学校にやることもできない。

一方、すべての雇用主に"E-Verify"の利用を義務付けている州は、5月13日にGA州知事が法案に署名している(「Topics2011年4月17日 GA州:不法移民対策強化法案可決」参照)ため、AL州で5つとなる。
州 名"E-Verify"利用義務付け対象雇用主
All Employers (public & private) Publice employers State agencies Contractors Sub contractors
Alabama        
Arizona        
Colorado      
(state contractors)
 
Georgia ◎(10人以上)  
Idaho      
Minnesota    
(state contractors)
 
Mississippi        
Missouri    
Nebraska    
(public contractors)
 
North Carolina        
Oklahoma    
Rhode Island    
South Carolina        
Utah    
Virginia        
Pennsylvania 利用を推奨
Tennessee 利用を推奨
Illinois データの正確性が確保されるまで利用を制限


※ 参考テーマ「移民/外国人労働者