2月20日 1兆ドルギャップ 
Source :Pew Study Finds States Face $1 Trillion Shortfall in Retiree Benefits (Pew Charitable Trusts)
Pew Charitable Trustsというシンクタンクが、『州政府が抱える退職給付積立不足が1兆ドルに達する』とのレポートを公表した。本文はここ

ポイントをまとめてみると次の通り。

  1. 州政府の退職給付債務と積立資産、積立不足状況の全体像(2008年度)は、次の通り。

    給付債務積立資産積立不足積立比率
    退職給付全体$3.35T$2.35T$1T70%
    年金プラン$2.8T$2.3T$452B84%
    OPEB$587B$32B$555B5%

    ただし、集計は2008年度ベースであり、リーマン・ショックにより積立資産は減価していると思われるため、積立不足、積立比率はさらに悪化している可能性が高い。

  2. こうした状況を受け、州政府では、退職給付プランの見直しを進めている。既に見直しを行った州政府の推移は次の通り。

    • 2007年:11州
    • 2008年:12州
    • 2009年:15州

  3. 見直しの主な手法は次の通り。

    1. 必要額の積立を継続する。
    2. 給付を減額する、または給付開始年齢を引き上げる。
    3. 従業員とのリスクシェアを高める。
    4. 従業員の負担を高める。
    5. プランのガバナンスや投資成果の評価を強化する。

  4. ただし、ほとんどの州で、(受給権を賦与した)給付を削減することは法的に禁じられているため、給付の減額は、新規採用者から適用している。
こうした状況は、CA州でも起こっている。Los Angeles Times紙は、上記レポートを踏まえながら、CA州の状況と、その対策の必要性を次のように報じている。

  1. CalPERS、CalSTRSの積立不足は、2008年6月30日時点で、各$59.5B、$62.5Bで、合計$122Bであった。

  2. その後、資産の目減りが激しく、CalPERS、CalSTRSの積立比率は、2009年6月30日時点で、それぞれ61%、77%まで低下した。

  3. OPEBの給付債務は$62Bにのぼるが、積立資産は1%にも満たない。

  4. 給付開始年齢を現在の60歳から66歳に引き上げれば、今後30年間で$500Bの経費削減が可能となる。

  5. その他、州政府職員、教職員の拠出増、州政府の拠出増などが検討課題となる。
厳しい財政事情の中、各州政府はどのような選択をしていくのだろうか。

※ 参考テーマ「地方政府年金」、「GAS 45

2月19日 高齢就業者の増加 
Source :Older Americans Staying Longer in the Work Force (EBRI)
高齢者(ここでは55歳以上)の就業割合が高まっているという。以下、上記sourceのポイント。
  1. 55歳以上の者で就業している者の割合は、1975年の34.6%から下がり続け、1993年には29.4%となったが、その後上昇し、2008年には39.4%となっている。

  2. 高学歴化も影響している。一般的に、高学歴者は長く就労する傾向がある。

  3. 資金面でも、就業のインセンティブが高まっている。退職後所得のプランは、DCが中心になっているが、リーマン・ショック以降、残高が不足しているとの認識が高まっている。それ以上に必要性があるのが、医療保険である。就業していれば医療保険に加入できる確率は圧倒的に高まる。医療費が急騰している中で、ベネフィットとして医療保険に加入できるメリットは大きい。

  4. 高齢者となっても、働くことそのものに関心が高まっている。
※ 参考テーマ「労働市場

2月18日(1) Obama法案? 
Source :Democrats May Not Have Health Plan Before Obama Summit Meeting (BusinessWeek)
連邦議会民主党は、医療保険改革法案の上下両院協議を進めているとのことだが、今月25日に予定されている『医療保険改革サミット』には間に合わないようである。共和党は一本でまとめて提案を持ってこようとしている(「Topics2010年2月9日 共和党提案の見通し」参照)のに対し、民主党は手ぶらで参加することになりそうだ。

こうした事態を予想してなのか、憂慮してなのか、Obama大統領が自ら改革案を提示する、と述べているそうだ。いずれ、websiteに掲載するとも言っている。

本当なら楽しみにしたいところなのだが、指揮権の発動時期が間違っているのではないだろうか。今までも、大統領のリーダーシップを発揮すべき時期は、昨年夏、下院法案決議後、上院財政委員会法案の審議過程、上院法案可決後と、何度もあったのに、それをせずに逃してきている。しかも、MA州の上院特別選挙で民主党が敗北してからは、一気に機運が下がっており、民主党議員達の士気は低迷している。「何をいまさら」というのが正直なところではないだろうか。

Obama大統領としては、国民の人気に頼りたいというところなのだろうが、大統領の経済政策医療政策に対する支持率は急落している。医療保険改革への支持も同様である。

このような状況を背景に、New York Times紙は、「Obama法案は間に合わなくなりつつある」と評している。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

2月18日(2) CA州:移民救済予算の削減 
Source :Proposed cuts would end California assistance for most new legal immigrants (Los Angeles Tiimes)
州財政が厳しくなっているCA州で、シュワ知事が歳出削減を提案した。そこには、移民を対象とした救貧策、医療保障策などの州政府のプログラムの停止が含まれている。

ちなみに、CA州は、ラテン系の投票者数が最も多い地域であり、ラテン系社会での混乱は社会問題になりやすい。Obama政権の移民法改革も遅々として進んでおらず、ラテン系国民の苛立ちはますます高まりそうである。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者

2月17日 医療機関の不安:Big3-VEBA 
Source :Health of VEBA in question (Crain's Detroit Business)
久々にVEBAの話題である。

上記sourceによれば、今年1月1日、Big3のVEBAが「ひっそりと」開業した。正式名称は、"UAW Retiree Medical Benefits Trust"。当初の約束により、2010年の退職者医療保険プランの給付内容に変更はない。しかし、その財務状況には厳しいものがあり、2011、2012年の給付内容は見直さざるを得ないのではないか、とみられている。

Big3のVEBAは、基金総額$57B、うち現金等が$37B、株式等が$20Bと予定されている。これで80年間もたせなければならない。そうなると、可能な限り、株式等の価値が上昇して基金総額が高まることが必要となる。

しかしながら、この経済情勢の中、自動車メーカーの株式が簡単に上昇すると見込むことは難しい。下手をすれば、$20Bにも達しない可能性すらある。

そうなると、どういう事態が起こるのか。まず、保険会社は、VEBAが支払い不能に陥れば、即座に医療機関との契約を打ち切るという。いくらかは保険会社に支払い義務は残るものの、VEBAが支払うことができない分まで負担することはしない。

医療機関、診療所側からすると、請求書の持って行き先がなくなってしまうことになり、不良債権が累積することになりかねない。医療機関はこうした事態が起きないか、不安を感じているようだ。

なお、上記sourceでは、あたかも一つの"Big3-VEBA"が設立されているかのように記述しているが、実際には、3社毎にVEBAは分立しており、全体の統括はUAWが見ている、という構図である(参考:Indian River UAW Retirees)。

※ 参考テーマ「VEBA/Legacy Cost

2月16日 "Cadillac Plans Tax"に暗雲 
Source :Excise Tax Loses Support Amid White House Push (New York Times)
White Houseと労組の間で鳴り物入りで合意した"Cadillac Plans Tax"に暗雲が漂っているそうだ(「Topics2010年1月15日 "Cadillac Plans"課税で合意」参照)。労組の間で、『譲歩のし過ぎだ』、『財源全体に較べて負担が重過ぎる』といった意見が広まりつつあるためだ。

White Houseは、依然として"Cadillac Plans Tax"を法案に盛り込むよう求めているようだが、連邦議会民主党は消極的になっている。代替財源として、 などが候補としてあがっているが、いずれも合意には至っていない。

一方、医療保険の専門家の間でも、"Cadillac Plans Tax"の評判はよろしくないようだ。EBRIが開催した討論会では、医療保険改革論議について様々な意見が出されたが、次の2点については、ほとんどの参加者が同意したという(EBRI Press Release)。
  1. "Cadillac Plans Tax"は、医療保険プランのベネフィットを縮減する方向に働く

  2. 医療保険改革の議論が『医療の提供とコスト』から『医療保険の財源と加入率』に矮小化されてしまった。これでは医療費自体の高さの解決にならない。
この会合自体は、昨年12月に開催されたものだそうだ。そうだとすれば、医療保険改革法案は、MA州の上院特別選挙を待たずに、定めは決まっていたともいえるかもしれない。

Obama大統領は、2月25日の医療保険改革サミットに向けて、両院民主党議員に統一した提案を作成するよう要請しているそうだが、カードが一枚一枚抜き取られている状況で、新たな家を作り上げることは容易ではなさそうだ。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

2月15日 保険料引き上げを猶予:CA州 
Source :Anthem Blue Cross to delay rate increases (Los Angeles Times)
CA州政府の要請に基づき、Anthemは保険料引き上げを2ヵ月遅らせ、5月1日からとすることに合意した(「Topics2010年2月13日 CA州で保険料急騰のおそれ」参照)。

この間、CA州保険委員会は、保険料収入の70%を保険給付費用に当てているかどうかを審査する。逆に言えば、これさえ遵守されていれば、州政府としては何も手出しできない。Anthem側も、ルールは守っていると、自信を持ってコメントしている。

他方、政治の側は、委員会で公聴会を開いて、何とか引き上げを食い止めようとしている。 25日(金)には、例の医療保険改革サミットが予定されている。来週後半の3日間は、一つの政治的山場を迎えそうである。

※ 参考テーマ「無保険者対策/CA州」、「無保険者対策/連邦レベル

2月14日(1) MA州知事が医療費抑制権限を求める 
Source :Patrick wants health cost veto (The Boston Globe)
MA州のPatrick州知事が、医療費抑制を目的に、新たな権限を求める提案を行なった。その概要は次の通り。
  1. 医療費の増加を抑制させる権限を保険委員長(insurance commissioner)に与える。医療費には、診療費、検査費、保険料などを含む。

  2. 判断基準は、医療関係の物価上昇率である。これを超えた診療機関から保険会社への請求額の上昇率は否認される。

  3. 同様に、従業員50人未満の企業が購入する保険の場合、保険料上昇率が医療関係物価上昇率の1.5倍を超える場合は否認され、抑制される。

  4. 保険プランに盛り込むよう法定されたベネフィットについては、2年間の猶予を設ける。これにより、保険料の上昇を抑制する。

  5. 中小企業向けに、診療機関のネットワークを限定して保険料を10%以上引き下げた保険プランを最低一つは提供するよう、保険会社に義務付ける。
州議会でも反対は予想されるが、最も強く反対に出ると見られているのは医療機関である。また、保険会社も厳しい反応を示すものと思われる。

昨日紹介したCA州と同様、MA州でも、保険料率が40%も引き上げられた例が見られているそうだ(「Topics2010年2月13日 CA州で保険料急騰のおそれ」参照)。この経済情勢が厳しい中で、保険料率の引き上げが全米に広がって、社会問題になりかねない状況となっている。

※ 参考テーマ「無保険者対策/MA州

2月14日(2) HIRE法案を巡り共和党反発 
Source :Senate Democrats race to regain bipartisan coalition on jobs bill (Washington Post)
Reid上院院内総務がHIRE法案を大幅に縮小しようとしていることに、上院共和党が強く反発している(「Topics2010年2月12日 HIRE法案」参照)。財政委員会で超党派で作成したHIRE法案を否定されたからである。

これにより、来週22日に予定されている、雇用創出関連法案(Reid法案)は、党派別投票により否決される可能性が高まっている。こうした事態を憂慮した民主党の上院議員達は、何とか超党派による法案にならないか、方策を検討しているという。

これでは、何のための『院内総務』なのかわからない。

※ 参考テーマ「労働市場」、「解雇事情/失業対策

2月14日(3) 州立大学の苦境 
Source :State Universities Brace for Another Brutal Year (BusinessWeek)
経済危機、税収不足から、州財政が厳しい状況に陥っていることは、当websiteでも何度か紹介してきている。上記sourceでは、州立大学が苦境にい陥っている状況を報告している。ルイジアナ州立大学を例にとると、 などの措置が取られている。

こうした例は、全米に広がっている。フロリダ州では授業料を15%、ニューヨーク、ワシントン州では14%引き上げる、とも紹介されている。

上記sourceでは、州立大学に焦点を当てているが、おそらく最も大きな影響を被っているのがcommunity collegeであろう。加えて、community collegeは、失業者の職業訓練という機能を担っていることから、失業対策としても大きな打撃となる。

Obama大統領は、大学教育費用への支援策を提案しているが、このような状況では、大学教育を受けようとする人達への実質的な救済にはならないような気がする(「Topics2010年1月30日 中間所得層への支援」参照)。特に、community collegeを利用するような低学歴、低所得者層には、より一層の支援が必要ではないかと思われる。

参考:American Association of Community College (AACC)

※ 参考テーマ「教育

2月13日 CA州で保険料急騰のおそれ 
Source :Lawmakers seek probes of Anthem Blue Cross (San Francisco Chronicle)
カリフォルニア州で保険料が急騰するおそれが出ている。ことの発端は次の通り。
  1. Anthem Blue Crossが、保険加入者に対し、3月1日より保険料を引き上げる旨を通知した。

  2. 対象者は、個人保険プラン加入者(企業提供プラン加入者ではない)。

  3. 引き上げ幅は30〜39%。

保険料引き上げ幅が半端じゃないために、加入者は驚き、政治家は怒っている。

Anthemは、保険料引き上げの理由を明確にはしていないようだが、医療費の見通しと、保険計算、州法に基づいて算出したとしている。また、保険業界団体のAmerica's Health Insurance Plansは、保険料急騰の背景には、 などの高騰があると説明している(Los Angeles Times)。

実際のところ、CA州政府は、保険料をコントロールする権限は有していないものの、州政府が保険料引き上げを5月1日まで待つように要請したり、州議会が公聴会を開催したりすることで、何とか社会問題化することを防ごうとしている。

一方、連邦議会もすばやく対応しようとしている。特に、CA選出の上院議員達は、次のような行動をとっている(Los Angeles Times/New York Times)。 そして、最も厳しい対応振りを示しているのが、HHSKathleen Sebelius長官である。『2009年の第4四半期だけで$2.7Bもの収益を上げている保険会社が、どうしてこれだけ保険料を引き上げなければならないのか。到底理解できない』としている(New York Times)。

同じNew York Timesの記事では、Health Care for America Nowという医療改革推進団体のレポートを紹介している。このレポートは、SECへの提出資料を基に作成しており、次のような概要となっている。
  1. 保険会社上位5社の2009年の利益総額は、$12.2B。2008年の利益総額から、$4.4B、56%の増益となった。

  2. 一方で、5社の保険加入者数は、1年間で270万人減少している。

  3. 上位5社とは次の各社:WellPoint, Cigna, UnitedHealth Group Inc., Aetna Inc., Humana Inc.
WellPointは、問題のAnthemの親会社である。

今月25日に予定されている、医療保険改革サミット(「Topics2010年2月8日 共和党も招待」参照)は思わぬところから盛り上がりを見せ始め、保険会社に対する規制が焦点となりそうである。

※ 参考テーマ「無保険者対策/CA州」、「無保険者対策/連邦レベル

2月12日 HIRE法案 
Source :Baucus, Grassley release draft Hiring Incentives to Restore Employment (HIRE) Act (News Release of Senate Finance Committee)
11日、連邦議会上院のFinance Committeeが、雇用促進法案の概要を公表した。法案名は、"Hiring Incentives to Restore Employment (HIRE) Act"である。本文はこちら

主なポイントは次の通り。
  1. 雇用創出

    1. 失業期間が60日間以上あって、2010年に雇用した従業員の社会保障税(social security payroll tax)(企業負担分?)を免除する。上限は、FICA上限である$106,800の6.2%。さらに、新規雇用者を52週間継続して雇用した場合、2011年法人所得税から$1,000の税額控除を認める。必要財源は、$13B/10Y。

    2. 設備投資減税の延長。必要財源は、$35M/10Y。

    3. 現行では、一定の要件を備えた学校建設やエネルギー開発プロジェクトについては、免税債("tax credit bonds")の発行を認めている。免税債の保有者は、利子所得を非課税にできる。これに加えて、適格プロジェクトについて、新たな仕組みである"Build America Bonds"の発行を認める。"Build America Bonds"の利子の一定部分は、財務省が直接支払う。財務省負担割合は45%、小規模プロジェクトの場合には65%。必要財源は、$2B/10Y。

    4. 高速道路建設プログラムの延長

  2. 期限切れ税制の延長

    研究開発税制、エネルギー関連税制、災害救済・復興関係税制、等々。必要財源は、$31B/10Y。

  3. 年金プラン救済策

    2008年の金融危機で大きな損失を被った年金基金への救済策を講じる。必要財源は、$6B/10Y。

  4. 経済的セーフティネットの拡充

    1. 失業保険給付などの現行制度を、2010年5月31日まで延長する。
      現行法26週の給付州財源
      上記給付終了後追加的に34週の給付連邦財源
      失業率6%超の州さらに13週の給付追加連邦財源
      失業率8.5%超の州さらに6週の給付追加連邦財源
      さらに、州政府が独自に失業給付を延長する場合でも、その追加的コストは連邦負担とする。全体での必要財源は、$22B/10Y。

    2. COBRA保険料補助(65%)を2010年5月31日まで延長(「Topics2009年2月17日(1) COBRA-65%補助」参照)。必要財源は、$3B/10Y。

  5. 期限切れ医療関係規定の延長

    1. Medicare診療報酬削減(▲21.3%)の一時停止

    2. 2009年のPGを維持する。

    3. 還付された税額控除等を12ヵ月間所得として認識しない。

  6. Medicare改善基金の取り崩し($8B)

  7. 対策全体で必要となる財源は、$85B/10Y
当websiteとしてのコメントは、次の通り。
  1. Obama大統領の提案と較べると、「中小企業に恩恵を重点化する」という考え方は後退している(「Topics2010年1月31日 雇用増への支援策」参照)。

  2. 上院財政委員会の提案ということで、超党派の提案が実現したことになる。主役は、お馴染みのBaucus上院議員(D)Grassley上院議員(R)である。この二人は、昨年夏まで、医療保険改革法案の超党派作成に汗を流したコンビである。このコンビが雇用創出法案を提示したことが、吉と出るか凶と出るか。
と、ここまで書いたところで、米紙各紙が一斉に、『Reid上院院内総務は、雇用創出法案の規模を縮小する考え』と報じた(New York Times)。Reid院内総務は、「早急にメッセージが必要だ」ということで、上記法案のうち、雇用創出の部分に絞ったものにすべき、と述べているそうだ。そうなると、対策に必要となる総額は、わずか$15B/10Yとなる。

これでは、医療保険改革法案の時と同じ構図である。上院財政委員会で超党派の議論を重ね、最後にReid院内総務が独自案をまとめる。Reid院内総務が我が儘なのか、Baucus委員長に信頼がないのか。なんだかまた民主党内の内輪もめが始まりそうである。

※ 参考テーマ「労働市場」、「解雇事情/失業対策

2月11日 国民医療費の将来推計 
Source :National Health Expenditure Projections 2009-2019 (CMS)
4日、CMSが国民医療費の現状ならびに将来推計を公表した。

ポイントをまとめてみると、次のようになるか。

項 目2008年2009年2010年2009〜2019年
国民医療費$2.3B$2.5B$2.6B$4.5B (2019年)
(伸び率)4.4%5.7%3.9%6.1%
(備 考)-新型インフル、COBRAが寄与Medicare診療報酬の21.3%削減が前提。
仮に2009年水準を維持すれば、4.7%
-
国民医療費/GDP16.2%17.3%17.3%19.3%(2019年)
公的医療支出伸び率---7.0%
民間医療支出伸び率---5.2%
公的医療支出割合47%-50%(2012年)52%
民間医療支出割合53%-50%(2012年)48%
Medicare支出$469B$507B$515B$978
(伸び率)8.6%8.1%1.5%6.9%
Medicaid支出$344B$378B$412B$794
(伸び率)4.7%9.9%8.9%7.9%
保険料伸び率3.1%3.3%2.5%5.4%(2019年)
処方薬支出伸び率3.2%5.2%2.5%7.7%(2019年)
やはりすごい伸び率が待っている。失業率が高止まりしていることを考えれば、少しでも医療費抑制策を講じていく必要があることは、誰の目にも明らかだろう。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル