2月9日 Gig Worker二極分化
Source :Gig Workers' Pay Varies by Classification and Industry (SHRM)
"Gig worker"というとUberばかりを思い出してしまうが、そんなことはないようだ。上記sourceは、Gig Workerについて、75,000企業、16,800人の労働者(フルタイマー+Gig Worker)を対象に調査した結果をまとめている。ポイントは次の通り。
  1. Gig Workerは税務申告から2つに分類できる。

    1. 1099-MISC (miscellaneous income) independent contractors(=個人事業主)
      多くは高技術者。プロジェクトベースで働く。年齢、学歴ともに高い傾向。

    2. Short-term W-2 employees(=短期被用者)
      多くは1年間に1〜6ヵ月程度働く。若くて低学歴、低所得の傾向。季節ごと、もしくはオンコール。

  2. Gig Workerの割合は、2010年から2019年にかけて15%増となっている。上記2分類は、同程度の伸びを占めている。

  3. 現時点では、全労働力の約16%を占める。

  4. 1099-MISC Workerは、概ね一般的なフルタイマーよりも所得が高い。一方、金融、教育、情報、不動産では、一般的なフルタイマーの方が高い。
  5. 1099-MISC Workerの70%以上が、自らの選択で個人事業主になっていて、フルタイマー職が見つからなかったことを理由にするのは10%しかいない。

  6. ただし、35歳未満の1099-MISC Workerの50%以上が、フルタイマー職が見つからなかったのでやむなく個人事業主になったと回答している。

  7. 1099-MISC Workerの30%が55歳以上。

  8. Gig Workerの90%以上は、医療保険に加入している。
※ 参考テーマ「労働市場」、「人事政策/労働法制

2月8日 移動率の低下
Source :Let's Help Americans Move to Where the Jobs Are (Real Clear Policy)
アメリカ国民の移動率が低下し続けている。
上記sourceは、
  1. かつては高い賃金を求めてアメリカ国民は移動していた。

  2. 移動率が低下していることで、所得格差、地域格差が拡大している。

  3. 労働市場が逼迫している今こそ、移動を促進する制度、具体的には移動費用に対する補助金等を導入すべき。
と主張している。

当websiteが注目するのは、移動率が低下している原因である。上記sourceは、次の2点を挙げている。
  1. 共稼ぎ世帯が増えている。

  2. 住居費が高騰している。
共稼ぎ世帯の場合、片方が失業しても片方の就業が継続できるので、そのまま同じ地域を離れずにいてしまう。転居してしまうと、両方が職を見つけられないというリスクがあるからだ。何だかゲーム理論で出てきそうな例だ。

※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活」、「労働市場

2月7日 処方薬価格抑制法案を督促
Source :Remarks by President Trump in State of the Union Address (The White House)
2月4日、大統領一般教書演説が行われた。相変わらず、実績の誇示と民主党叩きのオンパレードで、政策的なインプリケーションはほとんどなかった。その中で、唯一、具体的な政策提案を行なったのが、処方薬価格抑制であった。

関連法案は、既に昨年12月、下院で可決されている。その時点では、大統領府は法案内容に反対しており、拒否権発動を明言していた(「Topics2019年12月15日 Medicare処方薬価格抑制法案」参照)。

ところが、一般教書演説で、大統領は、「早く自分の机に法案を持って来い、すぐさま署名する」と督促しているのである。

法案の動向を確認すると、下院可決後に上院に送付され、その後一切のアクションがとられていない。想像するに、上院で多数を握る共和党議員と大統領府の間で法案修正が進んでいて、これに民主党も賛成しろということなのだろう。そうであれば、再度、下院で可決しなければならず、ハードルは高い。

※ 参考テーマ「医薬品」、「一般教書演説

2月4日 NJ州:離職手当義務化
Source :New Jersey to require employers to provide severance pay (Buck)
1月21日、New Jersey州知事(NJ)は、解雇規制強化法案SB 3170に署名し、同法案は成立した(「Topics2009年3月1日(2) WARN」参照)。法案の概要は次の通り。
  1. 州の解雇規制対象となる企業規模を、「フルタイマー100人以上」から「フルタイマーとパートタイマー合わせて100人以上」とする。

  2. 規制対象となる大量レイオフの規模を、「フルタイマー50人以上」から「フルタイマーとパートタイマー合わせて50人以上」とする。

  3. 大量レイオフ、事業所の移転・閉鎖に関する事前通知を、「60日前」から「90日前」とする。

  4. 大量レイオフ等の対象となる従業員に、離職手当を支給する。金額は、「1週間分の給与」×「継続勤務期間(年単位)」。

  5. 90日前の事前通知がなかった場合には、罰則として離職手当を4週間分上乗せする。

  6. 施行日は、2020年7月19日。
離職手当を義務化するのは、NJ州が初となる。

※ 参考テーマ「解雇事情/失業対策