Source : | Despite incentives, doctors are wary about switching to electronic health records (Washington Post) |
Obama政権は、当初から医療情報のICT化の推進を謳っており、その具体的な政策も打ち出している。これだけの金銭的インセンティブとペナルティが用意されていても、医師達の中では、ICT化に取り組もうとする医師と二の足を踏む医師とに分かれているという。二の足を踏む医師達の意見は、
- 大統領予算方針(2009年2月)(「Topics2009年2月27日 大統領予算方針」参照)
「5年以内にすべてのアメリカ国民の医療情報を電子化する。」- HHS Press Release(2010年7月)(「Topics2010年7月15日 医療情報電子化策」参照)
(下線部は上記sourceより追加した部分)
- 医師、医療機関のIT機器の購入、医療情報の電子化を促進するため、インセンティブとして今後10年間で最大$27Bの補助を用意する。その際、Medicare契約医師であれば最大$44,000(5年間)、Medicaid契約医師であれば最大$63,750(6年間)を受け取ることができる。また、医療機関であれば、規模により百万ドル単位で受け取る。
- 2015年以降、医療機関、医師が電子化された医療情報を利用しなかった場合、金銭的なペナルティを課す。具体的にはMedicare診療報酬を引き下げる。
- 補助を受けるためには、次のような要件を満たさなければならない。
- 医師:特定の15要件を満たすとともに、その他の10の要件のうち5つを満たす。一つの要件として、小児科医の場合、患者の20%以上がMedicaid加入者でなければならない。
- 医療機関:特定の14要件を満たすとともに、その他の10の要件のうち5つを満たす。
- さらに、医師の場合は処方箋全体の40%、医療機関の場合は75%を電子情報で送付しなければならない。
といったところに集約されるようである。国がかりで医療情報のICT化を進めようとしても、なかなかすべての現場は動かない。
- それでもコストの方が上回るのではないか。手間もかかるし。
- ICTにしてしまうと、間違いがあっても発見できないのではないか。
※ 参考テーマ「ICT」
Source : | The Say on Golden Parachute Pay Shareholder Vote (Wang Kobayashi Austin, LLC) |
Golden Parachuteの詳細開示が必要となったことは既に紹介したが(「Topics2011年2月5日(2) Say-on-Parachutes」参照)、上記sourceは、そのタイミングについて論じている。ポイントは次の通り。上記sourceの結論としては、株主総会時にかけておく方がよいのではないか、ということだと思うが、発動される可能性がわからない時点で株主がまじめに検討するのか、という疑問も残る。
- 買収提案時に、Golden Parachuteの詳細を開示し、株主議決にかけなければならない("Say-on-Parachutes")。
- ただし、年次総会において、経営者報酬("Say-on-Pay")とともに、予め株主議決にかけれられていれば、買収提案時の"Say-on-Parachutes"は免除される。その際、承認が得られたかどうかは問われない。
- 事前にGolden Parachuteの詳細を開示し、年次総会で株主議決にかけることについては、賛否両論ある。
- 賛成論
- 年次総会で、報酬とGolden Parachuteの両方を株主議決にかけておけば、買収提案時に議決の必要がなくなる。
- 買収提案時にGolden Parachuteに関する議決が行われると、それにひきずられて買収提案そのものに影響が及ぶ可能性が出てくる。
- 事前に株主議決を経ていれば、買収そのものも支持されやすくなる。
- Golden Parachuteを支払うことによるネガティブな印象を回避することができる。
- 反対論
- Golden Parachuteまで議決にかけると、株主総会の負担がより重くなる。
- 買収提案時に議決にかければ、株主がGolden Parachuteと買収提案そのものを分けて意思表明できるようになる。
- 株主総会から買収提案時までに報酬の変更があれば、Golden Parachuteに関する議決はやり直さなければならない。
- そもそも、Golden Parachuteの詳細開示、株主議決は、株主にとってどれだけのメリットがあるのだろうか。株主議決そのものは何の拘束力ももたない。
- ただし、株主総会時に議決をしておけば、それを参考にGolden Parachuteを見直すことは可能となる。しかし、買収提案時では株主議決を参考に修正する余裕はなく、そのまま規程通りに支払われる可能性が高い。
※ 参考テーマ「経営者報酬」
Source : | Federal Government Refuses to Defend Defense of Marriage Act - Now What? (McDermott Newsletters) |
上記sourceでは、『今後、司法の場において、DOMA順守の立場で弁護することをやめる』とした司法省発表の意味するところを解説している(「Topics2011年2月24日(1) DOMA順守を放棄」参照)。
つまり、連邦政府(=Obama政権)は、同性婚の是非、婚姻の定義に関する判断を州に委ねた、ということなのかもしれない。
- 政府がこうした立場を表明することにより、連邦最高裁が『DOMAは違憲である』と判断する可能性が高まる。そうなれば、同性カップルも、異性カップルと同様の権利とベネフィットを享受できるようになる。
- 「司法の場で弁護しない」というだけでは、法律自体が変更された訳ではないので、正式に違憲判決が出るまでは現状から何も変わらない。
- 司法省発表は、「セクション3」に限定していることが重要な意味を持つ。「セクション3」は連邦法上の「結婚」を定義している。
一方、「セクション2」では、州政府に対し、他州が認可した同性婚を否認できる権利を賦与している。- Section 3. Definition of marriage
- In determining the meaning of any Act of Congress, or of any ruling, regulation, or interpretation of the various administrative bureaus and agencies of the United States, the word 'marriage' means only a legal union between one man and one woman as husband and wife, and the word 'spouse' refers only to a person of the opposite sex who is a husband or a wife.
従って、仮に「セクション3」が違憲と判断されたとしても、「セクション2」により、州政府が同性婚を否認し続けることが可能となる。- Section 2. Powers reserved to the states
- No State, territory, or possession of the United States, or Indian tribe, shall be required to give effect to any public act, record, or judicial proceeding of any other State, territory, possession, or tribe respecting a relationship between persons of the same sex that is treated as a marriage under the laws of such other State, territory, possession, or tribe, or a right or claim arising from such relationship.
※ 参考テーマ「同性カップル」
Source : | NGA/NCSL Bankruptcy Letter |
旧聞となってしまったが、州政府の破産法制について検討(「Topics2011年1月29日 州政府破産法制」参照)が進んでいることに対し、州知事会、州議会連合が連名で反対のレターを連邦議会に送付した。反対の理由は次の3点。そうしたスタンスなのであれば、州職員年金、退職者医療プランについて、責任ある対応を打ち出さねばなるまい。
- 破産裁判所の方が、州知事や州議会よりも統治能力があるかのような誤解がある。
- 州債は最も安全な資産の一つであり、それは州政府が責任を持って発行、返済しているからである。
- 州政府は財政赤字問題に正面から取り組んでいる。むしろ連邦政府の柔軟な対応を望んでいる。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | Same-Sex Domestic Partners Added To Federal Employees’ Annuitant List (CCH) |
今月3日、連邦政府(OPM)は、連邦政府職員を対象とした年金等のプログラムについて、同性カップルの配偶者に遺族年金の受給権を賦与するとの案を公表した。同提案は4月4日までパブリック・コメントにかけられている。
これは、法廷でDOMAを順守しないという消極的な対応とは異なり、積極的に同性カップルに権利を賦与しようとする提案である。Obama政権は、本気でこの問題に向き合おうとしているようである。
※ 参考テーマ「同性カップル」
Source : | Wisconsin Governor Scott Walker officially cuts collective bargaining (Washington Post) |
11日、WI州知事が法案に署名した。正式に発効するためには、州政府が告知をしなければならず、通常は10営業日かかるという。
※ 参考テーマ「労働組合」
Source : | The Burden of Pensions on States (New York Times) |
WI州議会下院は、10日、上院が可決した法案を再可決した。後はWalker州知事の署名を待つばかりである(New York Times)。しかし、2つの意味で、これで終わるわけではない。一つは、州議会民主党議員や労組は、この法案を何とか阻止できないか、法的措置を検討している。当然、他の州でも同様の動きが起こるであろう。
そしてもう一つは、州職員年金のソルベンシーの問題である。上記sourceでは、主に次の5点を主張している。※ 参考テーマ「地方政府年金」、「労働組合」
- 現職のWalker州知事が選出される以前に、州職員年金の費用推計について見直すよう指示が出されており、その結果が来週にも判明する。その結果によっては、必要な拠出金額が2〜3倍に膨れ上がる可能性がある。
- WI州政府職委員の平均年金額は$26,500/Yとされている。これはそれほど高額という訳ではないが、所得代替率は57%と全米で8番目に高い水準となる。その意味で、かなり恵まれた年金額といえる。
- 上記の表で、Colorado州が最も所得代替率の高い州となっているが、これは、州職員がSocial Securityに加入することを禁じているためである。一方、2位のNY州は、Social Securityにも加入しており、両方を合わせれば所得代替率は100%を超え、最も恵まれた年金制度といえる。
- また、所得代替率とその右にある組織率を比較すると、必ずしも所得代替率の高さと労組の強さとが連動していないことがわかる。
- WI州職員年金は、受給開始年齢が早く、この面でもかなり恵まれた年金といえる。おまけに退職者医療保険プランも充分なものとなっている。やはりコストは高いようだ。
Source : | Maryland House kills same-sex marriage bill for this year (Washington Post) |
MD州議会下院は、11日口頭での採決を行い、同性婚法案を法務委員会に差し戻すことを決した。これにより、事実上、同法案は廃案となった。
※ 参考テーマ「同性カップル」
Source : | Flex in Flux (Human Resource Executive Online) |
フレックスタイムを導入している企業は相当増えてきたけど、ちゃんと明文化している企業は意外に少ないらしい。「文化だ」と納得している部分もあるようだが、やはり労働条件やそのための環境づくりは必要であろう。
それよりももっと重要なのは、従業員がフレックスタイムを活用できるよう、そして管理職が従業員に活用させてやれるよう、しっかりとルールを理解させることであるという。
日本企業でも、少し以前までは、せっかく規程は作っても、「仏作って魂入れず」という状況があったようだが、アメリカでも同様の過程を経ているのであろう。
※ 参考テーマ「Flexible Work」