Source : | Delta Labor Votes Buck Nonunion Culture Dating to Crop-Dusters (BusinessWeek) |
今年5月に、航空・鉄道会社における労組結成に関する規制緩和が決定された(「Topics2010年5月12日 航空労組結成が容易に」参照)。それから初めての労組結成を問う投票が行われている。
舞台は、Delta航空。労組結成が問われている職種は、フライト・アテンダントと貨物作業員。
元々Delta航空は労組結成を忌避する社内文化であったが、2008年に買収したNorthwestには労組が結成されていた。これを引き継いでいることに加え、5月の規制緩和があったことから結成に向かった動きが活発化したそうだ。
規制緩和により、労組結成は間違いないと見られており、低コスト・キャリアとしての特徴は少し薄まる可能性がある。
Obama政権としては、小さな手形は落とせた、ということになる。
※ 参考テーマ「労働組合」
Source : | How to Tilt an Election Through Redistricting(New York Times) |
本当はあまりのめり込みたくないのだが、やはりアメリカ政治の基本なので、興味が湧く。先日、当websiteで、今後10年間の政治を左右する州議会選挙の意義を紹介した(「Topics2010年9月11日 州議会の戦い」参照)。上記sourceでは、10年前の2000年の国勢調査に基づいて、「ゲリマンダー(Gerrymandering)」を行った6つの事例を紹介している。上記sourceの地図をみると、語源に相応しい、いかにもいびつな形の選挙区になってしまっている。
- Pennsylvania州
連邦下院議員数が2議席減となったため、同州共和党は選挙区の見直しを行い、共和党支持者が各選挙区に配分されるようにした。2002年の選挙では、この見直しが成功し、連邦下院の共和党議員数は大幅に増加した。しかし、いずれも僅差で勝っていたため、2006年の選挙では、裏目に出て再度逆転されてしまった。
- Arizona州
人種差別により発言権を低下させることを目的とした"Redistricting"は違法だが、少数民族同士の対立を回避するために選挙区の見直しが行われることはある。同州では、Hopi族とNavajo族の居留地を別の選挙区に分けるために、Colorado Riverを介して飛び地を結び付けている。
- Ohio州
Franklin Countyの人口が増加し、民主党支持者が増えたため、共和党は同countyを3分割し、別の選挙区に併合した。その結果、共和党が優勢の選挙区となっている。
- New York州
州全体で2議席を失ったため、2人の共和党現職議員の選挙区を一つにし、2人の民主党現職議員の選挙区を一つにし、両党1議席ずつ減らすように見直した。
- Illinois州
現職議員が同じ党内のライバルの力を弱めるために、選挙区の見直しを行った。2000年の選挙で州議会上院議員であったObama氏は、現職連邦下院議員(民主党)にチャレンジしたが、大敗した。それでも、現職議員を守るため、当該選挙区からObama氏の居住区域をはずした。この選挙区割りを見て、Obama氏は再チャレンジを諦めた。
また、別の選挙区では、民主党の現職議員の再選確立を高めるため、共和党が優勢な地域をはずし、民主党が優勢な地域をくっつけるという見直しを行った。同時に、共和党の現職議員に有利になるような見直しも行った。
※ 参考テーマ「中間選挙(2010年)」、「政治/外交」
Source : | Bill on overseas jobs raises hopes and fears (Financial Times) |
民主党が提案した『"Make It in America" - アメリカ製造業の復活』に盛り込まれていた税制案が、具体的な法案として上院で審議されようとしている(「Topics2010年8月6日(1) 民主党の新雇用創出戦略」参照)。"Creating American Jobs and Ending Offshoring Act"(S.3816)である。
柱は次の3点。おそらく中間選挙前の政策論争としては最後の項目の一つとなるため、民主党、共和党ともに、選挙民へのアピールを意識して議論をすると思われる。
- 海外から国内に雇用を移した企業に対し、payroll taxesを免除する。
- 生産拠点を海外に移している企業について、海外所得に対する課税の繰り延べを認めない。
- 一定の条件のもとに、国内工場の閉鎖に伴うコストの損金算入を認めない。
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | More Wives Head for Work (BusinessWeek) |
それまで夫が稼ぎ、妻は家で介護や子育て、という家庭で、夫の失業を契機に働きに出る専業主婦が多くなっているとのことである。上記sourceで紹介されているポイントは次の通り。※ 参考テーマ「労働市場」
- 2007年5月から2008年5月の間に失業した夫に代わって、就業した、または働く時間を増やした主婦の割合は、それ以前の好景気の4年間よりも高くなっている。
- 女性が参入しやすいサービス産業の報酬は、依然として低い水準にある。
- ワーク・ライフ・バランスに悩んでいるのは、男性45%、女性39%と、男性の方が多くなっている。
- 経済が改善したとしても、このような主婦たちが労働市場から退出するとの見込みは低い。ダブルインカムがある意味で最低保証になっているからだ。
Source : | 2010 Health Confidence Survey: Health Reform Does Not Increase Confidence in the Health Care System (EBRI) |
医療保険改革法が成立した2ヵ月後に実施された調査の結果が公表された。同法成立後にもかかわらず、医療に対する信頼感が回復していないことが伺われる。当websiteにとっての関心項目は次の通り。これでは、中間選挙で民主党がいくら宣伝してみても、国民には響かない。
- アメリカの医療制度に対する不満が強い。6割近くが不満を抱いている。
- 雇い主、労組が将来にわたって医療保険プランを提供してくれるとの信頼感が低下している。
- 医療機関の格付けを利用するアメリカ人はそれほど多くない。
- 医療保険改革法が完全実施となる期日を正確に知っている人は1%しかいない(つまりは広報不足)。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | Legal Challenge to Healthcare Reform to Move Forward (Medscape Medical News) |
20州が起こしていた訴訟(「Topics2010年6月26日 州知事達が反発」参照)は、連邦地方裁判所の担当裁判官が、「訴訟事項の全部ではないが、一部については審議をする」との意向を表明したそうだ。もしそうなれば、12月16日までに公判が開かれることになる。
一方、原告団の州側では、Alaska州が追加で加わり、全部で21州が関わっていることになった。なんだかだんだん輪が広がっているという印象である。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」
Source : | Health provisions begin phasing in Thursday (USA TODAY) |
23日、医療保険改革法の施行が始まった。上記sourceで紹介されている主な事項は次の通り。Keeping young adults covered
Teens and young adults can stay on or be added to their parents' health insurance plan until age 26. They don't need to live with their parents or be financially dependent on them. They can even be married.
Free preventive care
Insurers must completely cover a wide range of recommended preventive services -- such as immunizations, mammograms and colonoscopies -- and can no longer charge co-payments, co-insurance or deductibles for them.
Coverage for sick children
New rules prevent insurers from denying coverage to children under age 19 with pre-existing medical conditions, such as asthma or cancer.
Protection against canceled coverage
Insurers no longer can use a mistake or technical error in a consumer's application to cut off their coverage after they get sick.
No lifetime coverage limits
The amount a plan will pay in a person's lifetime cannot be capped.
Restrictions on annual coverage limits
Insurance companies with annual limits on essential health benefits must provide an increasing amount of coverage. Initially, their annual limit can be no less than $750,000, rising to $1.25 million in September 2011 and $2 million in 2012. Annual limits are prohibited in 2014.
Greater consumer appeals rights
Consumers have the right to appeal insurers' decisions through their plans' internal review processes, as well as to an independent, third-party reviewer. ただし、これらの制度変更は、9月23日以降に契約される保険プランから適用される。したがって、大半のアメリカ人にとっては、新しい保険プランが始まる来年1月1日以降に反映されることになる。
一方、保険会社は、こうした規制強化により保険料は上昇せざるを得ない、としている。これに対してHHS長官は、『保険料上昇は医療保険改革法のせいのように説明するのは誤解を招く』との公開レターを、America’s Health Insurance Plansの会長宛に送付している。しかし、そのHHSも、医療保険改革法の施行開始により、保険料は1〜2%押し上げられる、と認めている。
景気の動向に関して不透明感が増し、雇用環境が厳しい中で、保険料引き上げとなる事業主、個人はどのように感じるのであろうか。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
9月23日 高齢者失業の長期化
Source : Older Unemployed Struggle to Rejoin the Work Force (New York Times) 55歳以上の年齢層の失業率は7.6%となっており、労働市場全体に較べればまだ低い。しかし、などの特徴がみられており、この年齢層の失業者は、二度と就職できないのではないかと恐怖心を抱いているそうだ。 上記sourceでは、そうした高齢者の実例を紹介しているのだが、その中でびっくりしたことがあった。それは、件の彼女は401(k)プランに$180,000も持っていたのに、ペナルティと税を合わせて$80,000を支払って引き出したというのだ。半分近くを無駄にしても引き出したかったようだ。こうした事例を見ると、引き出し要件を厳しくしておく方がよいのかな、とも思えてくる。
- 80年代以降、最悪の水準になっている
- 半分近くが6ヵ月以上失業状態にある
- 特に、55〜64歳の層の失業期間が長期化している
※ 参考テーマ「労働市場」、「DB/DCプラン」
9月22日 Medicare Advantage保険料引き下げ
Source : Medicare Advantage Premiums to Fall Slightly in 2011 (New York Times) 21日、CMSは、「2011年のMedicare Advantageの保険料は平均1%引き下げられる」との公表を行った。
Medicare Advantageとは、Medicareの給付に上乗せ給付を付けて民間保険会社が提供している医療保険プランで、Medicare加入者4,600万人のうち、約4分の1にあたる1,130万人が加入している。
これは、今年3月に成立した医療保険改革法により、CMSが保険会社との間で保険料引き上げの交渉を行い、場合によっては引き上げ申請を拒否できる権限を与えられたことによる。実際、上記sourceによれば、としている。いよいよアメリカでも社会主義的手法が導入されつつあるようだ。
- 300ほどのプランについて、保険会社の利益に較べて加入者の自己負担増が大き過ぎるのではないかと精査している。
- 交渉を行っても、3保険会社が提供する7つのプランについて申請内容が変更されないため、CMSはこれらの申請を却下した。
一方、CMSのスタッフによれば、Medicare償還額については2010年水準と同様になろう、と推測している。やはり、Medicare償還額の大幅削減は現実的ではないと見切られているようだ。しかし、それでは、10年間で黒字が出るとの財政見通しが成り立たなくなってしまう。
※ 参考テーマ「Medicare」