Source : | Ford May Show Weakness Paying Health Fund With Stock (BusinessWeek) |
久々にVEBAの話題である。
6月30日に、FordからVEBAへの拠出期限がやってくる。拠出額は$859Mとのことである。上記sourceが注目しているのは、拠出の中身である現金と自社株の割合である。自社株の割合が高ければ、Fordの経営陣が自社株の時価を高いとみていることになるからだ。
前回の拠出時(「Topics2009年11月26日 VEBAへの拠出開始」参照)は、自社株の時価が安い ⇒ 現金拠出割合を高めるという判断で、現金拠出割合を高めたとの説明がFord自身からあった。
今回、市場関係者は、この理屈を援用して、というストーリーを描いているという。しかし、自社株の時価が高いという判断が自動車販売の先行き不安から来ているとしたら、上記のようなストーリーは成り立たず、長期にわたって株価は下落していくことになる。そうした事態は、VEBAにとっては忌々しきことになる。
- Fordが株式拠出割合を高める ⇒ 自社株の時価が高い ⇒ 現金を債務返済に充てられる ⇒ B/Sが改善する
- Fordが現金拠出割合を高める ⇒ 自社株の時価が安い ⇒ 株式の希薄化が起きない ⇒ 株価が上昇する
ちなみに、Fordの株価動向は次の通り。 ⇒ Ford
確かに、前回の拠出時以降、株価は上昇しており、経営陣の自社株割安感は当たっていたのである。
※ 参考テーマ「VEBA/Legacy Cost」
Source : | No Glass Ceiling for the Best Job in Whole World (The Wall Street Journal) |
上記sourceでは、ビールのテイスターの世界で、女性の進出が目覚しいことを伝えている。世界のビール消費量の72.8%は男が占めているが、だからといって、ビールといえば男の世界であり、その味は男にしかわからない、などと考えている人は少ないだろう。それでも、これだけ女性のテイスターが増えていることを知ると驚いてしまう。
科学的にみると女性の方に生理学上の優位性があるという説も紹介されている。ここまで来ると、もう労働政策の域は超えてしまう。
要するに、人間の能力は、男女を問わず、何でも挑戦してみないとわからない、ということなのではないだろうか。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」
Source : | Labor’s New Critics: Old Allies in Elected Office (New York Times) |
上記sourceによれば、旧労組幹部で州知事や州議会議員になっている政治家達(民主党)が、自治体職員労組に対して、給与削減、医療・年金の給付削減・保険料負担増を求めている。ご承知の通り、各地で州政府、自治体の財政が極度に悪化していることを受けての要請である。
昨年の実績としては、次のような数字が列記されている。政治家としては、自治体労組に対して厳しい姿勢を示した方が、選挙民に対してアピールできるという計算も働いている。
- 市
- 給与の凍結または削減:51%
- レイオフ:25%
- 医療保険給付の削減:24%
- 給与・ベネフィット削減のための労働協約改定:22%
- 州
- 年金プランの積立不足:$452B
- 退職者医療プランの給付債務:$554B
しかし、自治体労組としては身内から裏切られた形になり、たまったものではない。現職政治家に対するネガティブ・キャンペーンを展開したり、別の民主党候補を擁立するなど、あの手この手で圧力をかけている。
こうした構図は、連邦レベルでの民主党保守派の立場と似ている。今年の秋の中間選挙に向けて、民主党内の政策変更に対して国民がどのように判断するのか、注目していきたい。
※ 参考テーマ「労働組合」、「中間選挙(2010年)」
Source : | House Passes Plan to Stop Medicare Cuts to Doctors (New York Times) |
24日、下院は"Doc Fix"法案(H.R. 3962)を圧倒的多数(417 vs 1)で可決した。同法案はすぐに大統領府に送られ、25日にObama大統領が署名、成立した。
これで、Medicare償還額の21%カットは11月末まで延期された。一旦は激怒したPelosi下院議長も、ここは矛先を収めたようである。上院で失業対策の審議の見通しがつかない状況(「Topics2010年6月25日(1) 再び可決されず - アメリカ救済法案」参照)になってしまい、どうしようもなくなったということだろう。
※ 参考テーマ「Medicare」、「解雇事情/失業対策」
Source : | Gregoire seeks to counter suit challenging health-care (Seattle Times Newspaper) |
医療保険改革法の個人加入義務規定ならびにMedicaid拡充規定は憲法違反であるとの訴訟が行われている(「Topics2010年4月17日 連邦政府 vs 州政府」参照)。20州のAttorney Generalがこの訴訟を起こしているのだが、そのうち4州の知事(いずれも民主党。下の表のグリーン色の州)が連携して、連邦政府を支持する意見書を裁判所に提出しようと動いている。
この4州は、知事とAttorney Generalがねじれている。知事からすれば、AGが州の利益を代表している訳ではない、というわけである。
裁判所はこれを受け取る考えはない、と明確に拒絶しているそうだが、そこを何とか、と知事達は粘っているらしい。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」
Source : | Senate again rejects expanded spending package (Washington Post) |
24日、上院で、アメリカ救済法案(HR 4213)の採決を求める提案が、再び否決された。57 vs 41であった。あのNelson上院議員が、今回も反対に回っている。
いずれにしても、上院審議は完全にパーティ・ラインになってしまっており、今後の審議が前進する道筋が見えなくなっている。民主党のベテラン上院議員も、独立記念日休会以降でなければ進展は見込めない、と述べているようだ。
※ 参考テーマ「Medicare」、「解雇事情/失業対策」
Source : | Lawmakers across country taking immigration policy into own hands (Washington Post) |
上記sourceによれば、連邦政府によるAZ州政府に対する訴訟は、まだ検討中ということらしい(「Topics2010年6月23日 不法移民締め出し政策」参照)。
そうした連邦政府のもたつき(移民制度改革には着手しないし、AZ州政府に対する毅然とした態度もとらない)を尻目に、地方政府レベルでは、Fremont市のように、不法移民対策に関連する規制が次々と審議されているそうだ。NCSLの集計によれば、2010年1〜3月期で、45の州で1,180本もの移民関係の法案が提出された。それら法案の内容を分類してみると、雇用関係、身分証明書関係、現行制度の執行強化、という順になっている。こうした分野の法案提出が多いということは、不法移民に対して厳しい内容が多いものと想像できる。
もちろん全ての法案が不法移民締め出しを目的にしているわけではなく、両サイドからの法案が出ているわけだし、そのうち成立した法案の数は限られる。しかし、連邦政府が対応しないのなら自治体で対応するさ、というアメリカ社会の気質がよく理解できる事象であり、こうした社会事象が連邦政府の行動を促しているとも言える。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」
Source : | Democrats Stymied On Medicare Physician Pay 'Fix' (Kaiser Health News) |
AMAやAARPの怒りの矛先が、今度はPelosi下院議長に向かっている。"Doc Fix"法案の早期成立を阻んでいる、と受け止めているからだ(「Topics2010年6月22日 Pelosi下院議長の怒り」参照)。こうした動きを踏まえ、下院民主党の中でも、そこまで強硬にならなくてもいいのではないか、との意見も出ているようである。
もう独立記念日休会が迫っている。正式な休会期間は7月4〜9日だが、曜日の関係から、実質的な休会期間は3日(金)〜11日(日)となり、その後はもう夏休みモードである。その前に決着をつけねばならないというのが、連邦議会内のスケジュール感であり、実質的にはあと1週間しかないことになる。今年も綱渡りの議会運営となりそうである。
※ 参考テーマ「Medicare」、「解雇事情/失業対策」
Source : | Nebraskan law fuels immigration debate (Financial Times) |
不法移民政策を巡る論議はますますヒートアップしている。
例のAZ州法に対して、アメリカ連邦政府は『移民問題は憲法上連邦政府の責任となっている』との考えに基づき、来週にも訴訟を起こす予定である。また、メキシコ政府は、人権団体がAZ州政府に対して起こしている訴訟(州裁判所)を支持する意見書を提出した。
まったく別の動きとして、Nebraska州のFremont市は、住民投票の信認を受けて次のような条例を制定した。これらの条例が徹底されれば、Fremont市に不法移民の居場所はなくなる。
- 不動産賃貸に関して、賃貸契約前に賃貸資格申請を必要とする。資格審査の際、合法的な居住者であることを証明する書類の提出を義務付ける。
- 労働者が労働資格を有しているのかどうかを、連邦政府の"E-Verify"により確認することを、事業主に義務付ける。
不動産賃貸資格はともかく、労働資格を有するかどうかを確認することは当然のように思う。しかし、"E-Verify"の利用を義務付けて徹底するとなると、アメリカ国内でもまだ少数派のようである。ちなみに、話題となっているAZ州では、"E-Verify"の利用を義務付けているようだ。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」
Source : | U.S. House Won’t Pass Medicare Bill Without Larger Jobs Plan (BusinessWeek) |
"Doc Fix"法案(「Topics2010年6月20日 "Doc Fix"法案」参照)に関して、AMAやAARPは連邦議会に怒っている。Medicare償還額の大幅削減規定の発動停止期限を過ぎてしまったからである。6月18日がそのタイムリミットであり、法律上は削減規定発動となってしまった。これを受けて、CMSは、削減された償還レートによる支払い手続きに入った。
同様に同法案に関して怒っているのが、Pelosi下院議長である。上院が"Doc Fix"だけ抜き出してきて、失業給付やCOBRA保険料補助など大事な失業対策を置き去りにしてきたことを、無責任だと非難している。このまま"Doc Fix"法案を可決させるわけにはいかない、と息巻いているのである。
この構図は、昨年秋から冬にかけて、下院が医療保険改革法案を早々と成立させていたのに、上院がいつまでも態度をはっきりさせずにずるずると時間が過ぎていった時と似ている。
中間選挙が目前に迫る中、失業者の反乱を懸念するPelosi議長の苛立ちが伝わってくる。
※ 参考テーマ「Medicare」、「解雇事情/失業対策」
Source : | Medical Tourism: Prepped for take-off but still grounded (Employee Benefit News) |
上記sourceで示されている、最近のMedical Tourismに関する動きをまとめておく。
こうした中、アメリカ国内で適正な医療費を求めて移動するケースが増えているそうだ。国内であってもアレンジの仕方では、海外に出かけて診療を受けるのと同等のコストで済ませることができるようになっている。
- Medical Tourimの推進力
- 海外の医療が安いだけでなく、技術水準が高く、経験も豊富
- 待ち時間が少ない(←アメリカ人らしい !!)
- 移民系の人達にとっては馴染みがある
- 地域の医療機関に対する交渉力を高め、全体のコストを抑制する
- Medical Tourismの抑制力
- 診療を海外で受ける気持ちになる人の割合が少ない
- 海外の医療に対する偏見が根強い
- 労働組合が反対している
- 医療過誤に対する補償など患者の権利に関する懸念が強い
※ 参考テーマ「Medical Tourism」