6月20日 "Doc Fix"法案 
Source :Senate Makes Medicare Fix for Doctors - The Caucus Blog (New York Times)
Medicare償還額の維持(通称"Doc Fix")が、単独法案として上院で可決されたようだ。償還額削減規定の発動停止期間は6ヵ月間。財源はいろいろなところからかき集めて、財政赤字は拡大しないようになっているようだ。とはいっても、$2B程度の財源が必要であろうことから、財源手当の犠牲となった項目にとっては大迷惑な話だ。

"Doc Fix"法案は下院で審議されることになるが、アメリカ救済法案(HR 4213)の中で最も重要視されていた"Doc Fix"が抜き出され、残りの政策課題の推進力が失われてしまうものと思われる。

※ 参考テーマ「Medicare

6月19日 「適用除外」の要件 
Source :Fact Sheet: Keeping the Health Plan You Have: The Affordable Care Act and “Grandfathered” Health Plans (HHS)
医療保険改革法の大前提は、『現時点で加入している保険プランは継続できる』ということであった。この約束を担保するとともに、2014年から設立される"Exchange"へのスムーズな移行を促すため、HHSDOLDOTが共管する新ルールが公布された。

※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル

6月18日 High-Risk Pool始動間近 
Source :Coverage of High-Risk Uninsurables: State and Federal High-Risk Pools (NCSL)
いよいよ、医療保険改革法に基づく"High-Risk Pool"制度(全国版)が始動する。7月1日に加入開始、8月1日から保険給付開始となる。その概要、法制、各州の対応などは、上記sourceに詳しく説明されているが、各州の準備状況を簡単にまとめると次のようになっている。

  1. 35の州では、医療保険改革法成立以前から"High-Risk Pool"制度を運営していた。

  2. 今回の医療保険改革法に基づき、連邦政府の要請に基づく"High-Risk Pool"制度を実施する予定の州が28。これにD.C.も加わる。

  3. HHSにその運営を委任する予定の州が19。

  4. 未決定が3州。

未決定を含む3州の姿勢は次の通り。 実は、『50億ドルでは財源不足』との指摘は、UAWが設立している研究所からもなされている(Kaiser Health News)。連邦議会は、中間選挙を控え、財政赤字拡大に対してかなり厳しい姿勢を取り始めている。そうした中、財源不足に基づく新制度への不信感には根強いものがあるものと思われる。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル

6月15日 救済法案の中身は? 
Source :Senate Wrangling Over Bill With 'Doc Fix,' Medicaid Payments, Possible COBRA Subsidy (Kaiser Health News)
上院で審議が続いているアメリカ救済法案(HR 4213)だが、その中身はなかなか詰まらない。上記sourceによれば、注目の各事項の星取表は次のようなところか。
Medicare償還額の維持・微増 ⇒ ○

Medicaid連邦政府特別負担の維持 ⇒ △

COBRA保険料補助の継続 ⇒ ×
上院でも、両党の財政保守派が財政赤字拡大を懸念しているようだ。

※ 参考テーマ「解雇事情/失業対策

6月14日 地方政府年金の基金枯渇 
Source :Pension Plans Go Broke as Public Payrolls Expand (BusinessWeek)
2018年:Illinois州
2019年:Connecticut州、Indiana州、New Jersey州
2020年:Hawaii州、Louisiana州、Oklahoma州

ノースウェスタン大学のJoshua D. Rauh准教授の試算によれば、上記のような順番で、州政府・自治体の年金基金は枯渇していく。

その一方で、これら7州は、2007年12月から今年4月の間に、9,700人もの公務員を新たに採用している。

地方政府年金の基金が枯渇しようとしている時に、一方で新規採用を増やしている。何とも危機感のない状況である。おそらく、職員労組が強いために、政治家や政府職員の間でそうした危機感も共有されないのであろう。

※ 参考テーマ「地方政府年金

6月12日(1) COBRA補助継続案 
Source :Senate Amendment Would Extend COBRA Subsidy (Workforce Management)
上院に送付されているアメリカ救済法案(HR 4213)に対し、9日、COBRA保険料補助を継続する旨の修正案が提出された(「Topics2010年5月29日(1) アメリカ救済法案」参照)。提案者は、Robert Casey上院議員(D-PA)である。

失業率が9%台後半で高止まりしている中で、さすがにCOBRA保険料補助の延長を一顧だにしない、という訳にはいくまい。これが上院でどのように扱われるかは注目しておきたい。

※ 参考テーマ「解雇事情/失業対策

6月12日(2) 医療保険改革法の意図せざる結果 
Source :Health Care Reform Could Result in Unintended Consequences (PLANSPONSOR)
上記sourceによると、医療保険改革法により、意図せざる影響がもたらされる可能性があるという。そのポイントは次の通り。
  1. 医療費について、短期的には、本来の上昇トレンドに加え、4〜6%ポイントの押し上げ要因となる。

  2. Medicare診療報酬は大幅な抑制が予定されているが、もしこれが充分に実施されなければ、財源不足となり、財政赤字拡大、増税という形で企業、個人の負担が増える。

  3. 反対に、予定通りに厳しく削減されることになると、医療機関の採算が合わなくなり、民間保険対応の診療報酬引き上げを強く求めてくる可能性がある。つまり、どちらに転んでも、医療費はさらにコストアップする可能性がある。

  4. 無保険者が減少することは、論理的には社会全体のコスト減少につながるが、個人加入者に対する補助が充分でなければ、加入のインセンティブとはならない。

  5. 既往症等による保険加入拒否ができなくなるために、一時的には保険料全体を引き上げざるを得ない。

  6. また、保険不加入に対するペナルティが軽ければ、やはり逆選択のリスクは高まる。
こうした分析を踏まえ、医療保険プランの提供を取りやめること(「Topics2010年5月8日 "Play"より"Pay"」参照)や、雇用関係を変更することで医療保険プランの加入対象を絞るということも企業の選択肢に含まれている。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

6月12日(3) 診療価格.COM 
Source :Bringing Comparison Shopping to the Doctor’s Office (New York Times)
診療費用の比較が難しいことは何処も同じであり、アメリカでもまだまだ一般的ではないらしい。通常、医療機関も保険会社も、競争政策上、診療報酬を明らかにしないのが普通だからだ。

しかし、この難しい課題にビジネスとしてチャレンジしている企業がある。Castlight Health社は、Safewayと契約して、約20万人の従業員に医療機関で診療を受けた場合の費用比較を提供している。

Safewayの医療保険プランでは、いくつかの診療行為については定額しか支払わないことにしており、それ以上の費用は従業員が自己負担しなければならない。従って、従業員は、負担が少なくて済むように、Castlight Healthを使って診療費用の安い医療機関を探す、という仕組みである。

もちろん、救急医療などにはこうした仕組みは使えない。また、費用比較だけでは、提供する情報としては問題だ。同社はこの点も充分理解していて、将来的には医療の質に関する情報も併せて提供しようと検討しているそうだ。

※ 参考テーマ「ICT