Source : | Pre-emption, Not Profiling, in Challenge to Arizona (New York Times) |
不法移民対策に関するAZ州法について、世間的にはヒスパニックの人権が侵害されるのではないか、という話題で盛り上がっているが、専門家の間では、『それは大した問題ではなく、問題の本質は移民政策が連邦政府の専権事項であるかどうかである』との認識が広まっている。連邦政府による提訴も、そちらの議論が中心に法廷で争われることになる見込みだ(「Topics2010年7月7日 連邦政府がAZ州を提訴」参照)。
通常であれば、連邦政府が提訴したところで、AZ州同様の措置を考えていた州政府は裁判の行方を見守る姿勢に移行するのが普通である。ところが、次の3州は、来年にもAZ州法同様、もしくはそれ以上に厳しい不法移民対策を立法する見込みである(Washington Post)。移民政策が連邦政府の専権事項であるかどうかの神学論争をしている間に、州政府または自治体ベースでの現実の不法移民対策はどんどん進んでいってしまいそうである。
- Oklahoma州(OK)
- 2007年、不法移民の移動や隠匿を重罪にする法律を施行した。
- 同時に、不法移民が運転免許証を取得することと、州内で教育を受けることをを禁じた。
- 来年州議会に提出される法案では、不法移民を承知で雇用した場合に、事業資産を没収する内容を盛り込む見込みである。
- South Carolina州(SC)
- 2008年、全米で最も不法移民に対して厳しい法律を施行した。
- その際、企業に雇用者の入国資格を確認することを義務付けた。
- また、不法移民を匿ったり移動させたりすることを違法とした。
- Utah州(UT)
- 2009年、不法移民を匿ったり、雇用したりすることを違法とする法律を施行した。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」
Source : | The Early Retiree Reinsurance Program: $5 Billion Will Last About Two Years (EBRI) |
州のハイリスク・プール制度では、連邦政府が用意している財源が不足するのではないか、との懸念が表明されている(「Topics2010年6月18日 High-Risk Pool始動間近」参照)。
同様に、退職者医療保険プランについても、連邦政府の財源不足が懸念されている。
医療保険改革法では、2010年6月〜2013年末の間、Medicare加入資格を持たない55〜64歳の退職者に保険プランを提供している企業のために、一時的な再保険制度を設けることとしており、これにより、適格医療費の$15,000〜$90,000の80%を償還する(「Topics2010年3月27日 医療保険改革法:企業への影響」参照)。
同法では、そのために$5Bの財源を用意している。しかし、EBRIの推計では、該当する退職者医療プランがすべて適用を申請すれば、最初の1年間で$2.5Bが使われてしまう。そのペースで支出が続けば、2012年のどこかで財源は枯渇し、その後の手当は不明、という状況になる。
財政赤字を拡大させないとの枠組みをはめたために、財源手当てという面ではあちこちでかなりの無理をしているようである。こうした綻びが中間選挙で注目されるようになると、民主党候補者にとっては辛いことになる。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | Justice Dept. sues, seeks injunction on Ariz. immigration law (Washington Post) |
いよいよ石畳コースの登場で、ツール・ド・フランスは早くも盛り上がってきました。第1ステージに続き、第2、第3ステージでも落車が相次ぎ、波乱含みとなりつつあります。新城選手には、昨年にもまして活躍してもらいたいものです。
さて、6日、連邦政府法務省がAZ州を相手に提訴した。例の不法移民対策法についてである。
連邦政府の主張は次の通り。これで州法賛成派、反対派の間の論戦はヒートアップするであろう。AZ州にしてみれば、『連邦政府の専権事項であるべきことは百も承知だが、では今目の前にある危機はどうしてくれるのか』という主張である。医療保険改革の時と同様、国を二分する論争となろう。
- AZ州法は違憲である。移民対策は連邦政府の専権事項である。
- また、市民権を侵害する恐れがある。
- 従って、州法の施行を停止すべき(州法の施行は7月29日)。
以前から当websiteで指摘している通り、政治的な意味合いとしては、『中間選挙までにObama大統領が手形を落とせるのか』という問題である。独立記念日休暇中の連邦議会にとって、この時点での提訴は、あまり良いタイミングとは思えない。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」
Source : | Employment Situation Summary (BLS) |
厳しい雇用情勢が続いている。6月の雇用統計は、雇用者数が12.5万人減、失業率が9.5%となった。雇用者数の減少は、センサス関係の臨時雇いが22.5万人減少したことが効いている。ただし、民間雇用者数も8.3万人しか増えておらず、新規参入者を吸収するのに必要となる10万人に達していない。民間企業の雇用意欲の低さを示している。
また、以前に照会した、公式失業率と実感失業率は次のような動きとなっている(「Topics2010年4月5日(1) 労働市場に薄日」参照)。失業率自体の一服感はあるものの、(前にも同様の表現をしているが)根雪にのように積もってしまった「不本意ながらもフルタイムではない仕事に就いている」人達が存在する。この人達が消費や住宅購入で消極的になることは致し方ない。こうした重石を引きずりながら、経済を回復していかなければならないのである。
○失業率データ(BLS、数値)
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | FORD TAKES ACTION TO FURTHER STRENGTHEN BALANCE SHEET BY REDUCING DEBT (Ford Press Release) |
VEBAへの拠出に際し、Fordは現金拠出を選択した(「Topics2010年6月30日 VEBA拠出の自社株割合」参照)。上記sourceによれば、VEBAへの拠出に関するこれまでの経緯及び今回の拠出内容は次の通り。
FordがVEBAへの拠出を現金で行なったため、発表のあった6月30日時点のFordの株価は、見事に上昇している(⇒Ford)
- 2008年3月合意
- UAW Retiree Medical Benefits Trust (F-VEBA)を創設する。
- 資産はFordから拠出($13.2B)する。
- 2009年3月修正合意
- Fordからの拠出をスムーズにするため、Note AとNote Bを設ける。
- Note Bに基づく拠出については、自社株による拠出を選択肢として認める。
- 2009年12月31日、FordからNote A, Bを含めた資産の移管を完了し、F-VEBAが退職者医療給付債務を引き継いだ。
- 2010年6月合意
- Fordは、Note A, Bに基づき、総額$860Mを現金で支払う。
- Note Aの残高$2.96Bを2%割り引いて現金($2.9B)で買い取る。
- Note Bの残高$3.6Bについても、予定支払い期日よりも早期に現金で買い取ることができるようにする。
※ 参考テーマ「VEBA/Legacy Cost」
Source : | Jobless claims fuel fear of slowing US recovery (Financial Times) |
アメリカ救済法案(HR 4213)の審議が遅れているため、失業給付やCOBRA保険料補助金を受け取れない人達が大量に発生している。
このような事態を受け、6月29日、Casey上院議員(D)とBrown上院議員(D)は、COBRA保険料補助金の6ヵ月延長(6月1日まで遡及し、11月末まで)を、単独法案で提案している。
- 失業給付
既に130万人が失業給付を打ち切られている。今週末にはこの数字が170万人となり、7月末までに320万人にまで膨れ上がる。
- COBRA保険料補助金
6月1日に失効し、14万家族が補助を打ち切られている(Kaiser Health News)。
※ 参考テーマ「解雇事情/失業対策」