Topics 2003年12月21日〜31日
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12月22日 アメリカ医療10大ニュース
12月22日 アメリカ医療10大ニュース Source : Top 10 Health Policy Stories/Issues of 2003 (The Commonwealth Fund)
今年のアメリカ医療の世界では、実にいろいろな動きがあったように思う。上記sourceでは、アメリカ医療界で今年起きた10大ニュースをまとめたものである。解説記事へのリンクも張られているので、関心をお持ちの方は、sourceの方に入っていっていただきたい。以下、10大ニュースのポイント。
- Medicare改革法が成立
Medicare改革法が成立し、1965年制度創設以来の最大の改革が行われた。その最大のポイントは、処方薬がMedicareの対象に含まれたことである(「Topics2003年12月9日 Medicare改革法に大統領署名」参照)。
- 無保険者の増加
2002年の無保険者が4360万人に増加した。失業者が増えていること、保険料が高騰していることなどが、原因として指摘されている(「Topics2003年10月2日 無保険者問題がさらに深刻化」参照)。
- 医療費コストの増大
医療費コストの2桁増はおさまったものの、依然として高水準の増加傾向が続いている(「Topics2003年12月18日 医療費増加率は依然高水準」参照)。
- 民主党候補者が無保険者問題に焦点
2004年の大統領選挙に向けて、民主党候補者達は、無保険者問題の解決を最重要課題の一つとして挙げている。その多くは、企業、公的制度を通じての被保険者拡大を主張している。皆保険制度を提唱しているのは、Kucinichだけである。また、無保険者解決策の財源は、Bush減税を廃止することで確保しようとしている(「Topics2003年9月18日 大統領選候補者達の医療改革提案比較」参照)。
- Maine州とCalifornia州の補助政策拡張
Maine州では、小規模企業従業員や個人を一つのグループにして、保険を設けるプランを設けた。また、貧困レベル300%以下の労働者には保険料の補助を行う制度を創設した。
また、California州では、200人以上の従業員を有する企業には、保険料の補助を行うこととした。
- 処方薬の共同購入
24の州政府が、処方薬の購入価格を下げるために、共同購入に踏み切った。こうすることで、価格交渉力を高めようとする試みである。
- わずか55%しか適切な処置を施されていない
Rand研究所の調査によれば、実証に基づいて適切とされた処方が施されたのは、わずか55%にすぎない。せっかくのガイドラインが示されていても、医者がこれにしたがっているとは限らない。
- 医療情報のIT化推進
政府機関であるHHSの指導により、医療情報のIT化が飛躍的に進展した。
- 医療の質の向上
医療情報誌やNPO団体による医療機関の質の調査、ランキングの公表が盛んになり、医療の質への関心が高まり、向上が期待されるようになった。
- 医療現場における差別の拡大
受ける医療の質について、差別が起きている可能性が指摘された。それは、貧富の格差に基づくものではなく、肌の色に基づくものの可能性がある。
以上がTop 10とされているが、個人的には、医療過誤訴訟に関する法案をめぐる議論が、大変興味深かった(「Topics2003年4月23日(2) 医療過誤賠償法案の行方」参照)。それは、医療過誤保険と損害賠償の関係に関する認識の違いを浮かび上がらせるとともに、医療と政治がいかに密接に結びついているかということを、端的に教えてくれた課題であったからだ。
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