11月7日(1) パスポート変更プロセスに青信号
Source :Supreme Court allows Trump to prohibit gender election on passports (NPR)
11月6日、連邦最高裁は、トランプ政権が進めるパスポート制度の変更、具体的には属性のうち"gender"ではなく"sex"を記載するよう変更するためのプロセスを進めていくことを認めた(「Topics2025年1月21日(2) 大統領令で性自認を否定」参照)。連邦地方裁、控訴裁判所では作業停止を命ずる判決が出ていたが、これをひっくり返したことになる。賛成反対は、保守派6が賛成、リベラル派3が反対であった。

"Gender"の記載が様式的にも認められたのは、バイデン政権下の2022年4月であった(「Topics2025年4月12日 Gender'X'」参照)。それまでは、本人からの要望に基づいて、出生証明書に記載された"sex"に代えて性自認を記載することが認められていた。

今回の最高裁判決は最終結審ではなく、引き続き、パスポート制度の変更自体が司法から認められるかどうかは係争中である。これが司法で認められることになると、パスポートの表記は30年以上昔の姿に戻ることになる。

※ 参考テーマ「LGBTQ

11月7日(2) 選挙区割り見直し続く
Source :After California's vote to counter Trump, here's where redistricting stands (NPR)
昨日、CA州の選挙区割り法の成立を紹介したが、他の州でも各党派が有利になるような選挙区割りの見直しが進められている(「Topics2025年11月6日 CA州選挙区割り法成立」参照)。

※ 参考テーマ「政治/外交」、「中間選挙(2026年)

11月7日(3) 保険料補助と中間選挙
Source :Public Weighs in on Health Care Debate and Government Shutdown (KFF Poll)
上記sourceは、Exchange保険料補助金拡充の延長措置について、世論調査を行なった結果である。ポイントは次の通り。
  1. 連邦議会は保険料補助金拡充を延長すべきと考える割合は、大きく過半を上回っているものの、9月の調査よりも低下している。特に、共和党支持者の間で延長論が低下している。
  2. 保険料補助金拡充の延長を含まない予算案を認めるべきではないと考えるのは、民主党支持者では8割、独立派では半数となっている。
  3. 保険料補助金の拡充策が延長されなければ、Exchange加入者の保険料負担は平均$1,000/Y増加する。これを踏まえて、保険料負担が$1,000増加した場合、2026年の中間選挙での投票行動に影響をもたらすか、と問うたところ、民主党支持者、独立派で大きな影響をもたらすとしている。共和党支持者の間でも、まったく影響がないとの回答は45%にとどまる。
来年の中間選挙は、2027年の保険加入シーズンの開始時期に行なわれる。やはり、医療保険に関する政策は、選挙結果に大きな影響をもたらすものと思う。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」、「中間選挙(2026年)

11月6日 CA州選挙区割り法成立
Source :California voters OK new congressional lines, boosting Democrats ahead of midterms (NPR)
11月4日の州民投票で、賛成票が大きく過半を上回り、Proposition 50が成立した(「Topics2025年8月19日 選挙区見直し前倒し」「Topics2025年8月24日 TX州 vs CA州」参照)。
ポイントは次の通り。
  1. CA州知事、州議会の主導による選挙区割が成立。

  2. 次回中間選挙(2026年)の下院議員選挙から適用。

  3. 有効期間は、2030年の選挙まで。

  4. その後は、再び独立委員会(Citizens Redistricting Commission)が選挙区の設定を担う。
これにより、選挙区割りの主導者に関する地図は塗り替えられてしまった。

by LLS
この法案成立により、CA州では民主党の下院議員が5名増えると予想されている。

一方の共和党は、従来の方針通り、着々と州法ベースにより選挙区割を変更している。これまでTexas、Missouri、North Carolinaで変更済みだ。

中間選挙に向けた選挙区割の見直しがどんどん進んでいるが、こうした党派優先の政治活動が、アメリカ社会の分断を深めている。上記CA州の選挙結果では、民主党員の9割以上が賛成し、共和党員の9割以上が反対した、とのことだ。

また、NY市長は極左とも言われる若い民主党のマムダニ氏が当選し、民主党が強いVA州、NJ州の州知事選でも民主党候補が圧勝した。トランプ大統領をはじめ共和党は益々党派色の強い政治活動を展開することになろう。

ところで、上記Citizens Redistricting Commissionは、2008年のProposition 11成立により、設置が決まった。その際、当時州知事であったシュワちゃんも積極的に支持していた。ところが、今回のProposition 50について、シュワちゃんの反対運動は目立つものではなかったという。その真意は分からないが、共和党に対する嫌気の方が独立委員会への想いよりも勝ったのであろう。

※ 参考テーマ「政治/外交」、「中間選挙(2026年)」、「シュワちゃん