1月10日 保険の運営コスト
Source :U.S. health system costs four times more to run than Canada’s single-payer system (Los Angeles Times)
上記sourceでは、医療保険の運営コストについてアメリカとカナダの比較を行なった研究成果を紹介している。 ポイントは次の通り。
  1. 医療保険の間接部門で働く人々の人件費は、アメリカ国民一人当たり$2,497に達する。

  2. 一方、カナダの場合は$551である。実にアメリカの1/4にしかならない。

  3. これら間接部門の人件費が国民医療費に占める割合は、アメリカが34%、カナダは17%となっている。
研究者達は、カナダのsingle-payerシステムに短所があるのは認めるが、こうした間接費用を圧縮するだけで、アメリカで今問題になっている無保険者問題、高免責額、保険料の高騰などに対応できるのではないかと主張している。

※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル」、「カナダ事情

1月9日 自殺と最低賃金
Source :Raising The Minimum Wage By $1 May Prevent Thousands Of Suicides, Study Shows (NPR)
最低賃金引き上げと自殺者数の間に相関関係がみられるとの研究結果が公表されたとのこと。キーファクトは次の通り。
  1. 1990年から2015年の間に、仮に各州の最低賃金が$1/h高ければ、自殺者は27,000人減少していた。

  2. 1990年から2015年の間に、仮に

  3. 2008年1月から2009年6月の景気後退期(=失業率が高い時期)に限れば、仮に各州の最低賃金が$2/h高ければ、自殺者は26,000人減少していた。
各州のマクロ数字を利用した分析のため、自殺と最低賃金の間の因果関係にまでは踏み込めてはいない。

ところで、自殺率の日米比較はどうなのか。出所については心許ないが、wikipedeiaによると次のようになっている。
10万人中自殺率
(2016年)  
合 計男 性女 性
日 本18.526.011.4
アメリカ15.323.67.2
※ 参考テーマ「最低賃金」、「人口/結婚/家庭/生活

1月7日 ベネフィット:6大潮流
Source :6 Benefit Trends to Watch in 2020 (SHRM)
上記sourceは、今年注目すべきベネフィット政策の6大潮流について紹介している。
  1. 個人選択型パッケージ

    従業員に一律の形でベネフィットを提供するのではなく、従業員個人のニーズに合わせた選択ができるようなパッケージを用意することがエンゲージメントの向上につながる。

  2. 学生ローン返済支援

    当websiteでも何回か紹介している。

  3. 医療保険プランの従業員負担は限界

    この10年間の物価上昇率は26%なのに対し、平均的な家族プラン保険料の上昇率は54%と大幅に超えている。しかも、その上昇分の71%が従業員負担の増加に回されている。従業員負担の増加はもう限界に来ていると感じている経営者は多い。また、彼らは、採用の面からも、もう少し企業側が負担すべきと考えている。典型例は高免責額を設定した保険プランである(「Topics2019年5月21日 免責額負担増」参照)。

    一方で、医療費抑制策として、医療機関との直接契約、医療機関ネットワークの厳格化を進めようとしている。

  4. 新型HRAの活用「Topics2019年9月10日 2つの新型HRA」参照)

  5. メンタルヘルス対策

  6. 介護・育児への支援
ベネフィットの提供は、人事政策の重要な柱となっている。

※ 参考テーマ「ベネフィット」、「教 育」、「医療保険プラン」、「HSA

1月6日 CA州:AB5への抵抗
Source :As California Tries To Make Contract Workers Employees, Industries Push Back (NPR)
California州(CA)で、AB5が施行となった(「Topics2019年9月19日 CA州"AB5"成立」参照)。死活問題と捉えるUberLyft両社は、3つの方法で徹底抗戦するつもりだ。
  1. 新たな労働者の定義を設けるよう、州議会議員や労働組合に働きかける。新たな労働者の定義は、実質的には「契約者」で、いくつかのベネフィットを賦与することを提案している。

  2. 連邦地方裁に提訴する。

  3. 11月の州民選挙で、契約ドライバーを被用者の分類から除外する賛否を問う。
当事者であるUber等の契約ドライバーの間では、賛成、反対区々の様相だ。

決着には時間がかかりそうだし、その間、州政府がどのようなエンフォースメントを準備するかも注目される。

一方、当方はUber等と契約するドライバーにばかり目を奪われていたが、今回のAB5で影響を受ける職種がいくつも存在するというのが、上記sourceの紹介である。 彼らは基本的にAB5に反対している。しかし、現実には、契約を破棄する企業が出ている。上記sourceで紹介されているウェブジャーナル作成会社は、すべての契約ジャーナリストとの契約を破棄し、今後は正社員が同じ仕事にあたることとしている。しかし、その正社員が何人になるのかといった具体的な対応は公表されていない。

労働者を守ろうとする州法が、雇用を減らす結果をもたらしている。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制