7月5日 CalSavers始動
Source :Worried about retiring? California will help you save money (Los Angeles Times)
CA州の退職貯蓄プラン、CalSaversが、予定通り7月1日から始動した(「Topics2018年11月6日 CalSavers始動へ」参照)。州立退職貯蓄プランを実施している州としては、オレゴン州、イリノイ州に続いて3番目となる(「Topics2018年3月15日 OR州:州立退職貯蓄プラン開始」「Topics2015年1月7日 IL州:自動加入年金プラン法案成立」参照)。

CA州の民間企業の61%が退職所得プランの提供を受けておらず、この割合は20年前の49%から徐々に高まってきている。州レベルで比較しても、50州中45番目の高さとなっている。

このCalSaversがフル稼働すると、30万企業、750万人の従業員が退職貯蓄プラン加入可能となる。

以下、CalSaversの概要。
  1. 名称:CalSavers

  2. 制度加入期限:
    2019年7月1日:任意加入開始
    従業員100人以上の企業:2020年6月30日までに加入
    従業員55〜99人の企業:2021年6月30日までに加入
    従業員5人以上の企業:2022年6月30日までに加入

    従業員5人未満の企業は加入義務免除。
  3. 登録企業の情報提供義務:企業は登録後30日以内に、従業員の氏名、SSN、誕生年月日、連絡先を提供しなければならない。

  4. 登録企業の責務:従業員の拠出金を給与支払い毎にCalSaversに送金する。登録料は不要で、運用責任も負わない。

  5. 従業員の拠出金:
    1. 企業が登録すると、従業員は自動的にIRAを保有することになる。任意で拒否することもできる。
    2. 毎年の拠出限度額は、50歳未満は$6,000、50歳以上は$7,000。
    3. 拠出率上限:給与の5%から始めて、1年に1%ずつ引き上げ、最大は8%。拠出率は従業員が任意に変更可能。

  6. 運用投資対象:最初の$1,000は、低リスクのMMFに投資。その後はターゲット・デイト・ファンドに投資。ESG投資も可能。運用投資対象の選定は、CalSaversが行なう。

  7. 個人事業主:今年9月から、個人としてCalSaversに加入できる。
※ 参考テーマ「地方政府年金

7月4日 市民権質問断念の背景
Source :Trump Administration To Print 2020 Census Without Citizenship Question (NPR)
7月2日、トランプ政権は、2020年の国勢調査に市民権に関する質問は設定しないことを決定し、国民に配布するための印刷作業を開始した。6月27日の連邦最高裁判決に従った形となった(「Topics2019年6月28日 最高裁:市民権質問停止」参照)。
これで、2020年の国勢調査は問題なく執行されることとなった。

今後の注目点は、国勢調査結果が出た後の連邦議会議席数の割り当てと、各州の選挙区見直しである。選挙区見直しについては、やはり直近の連邦最高裁判決で、 党派的な選挙区割り(ゲリマンダリング)についての司法判断はできないとの見解が示された。この判決により、今まで以上にゲリマンダリングが行われると思われる(「Topics2019年6月29日 最高裁:ゲリマンダリング判断不能」参照)。

上記sourceによると、ロス商務長官は、Census Bureauに対して、市民権を有する者の人数を把握するために、国勢調査での質問以外に既存の連邦政府記録が活用できないかどうか検討を指示していた。その結果、Census Bureauは、SSADepartment of Homeland Security、国務省との間で特別契約を結んで、各省庁が保有する関連データを入手することができるようになっている。Census Bureauの分析官達は、自己申告による国勢調査よりも、こうした連邦政府記録を活用した方が、低コストで正確な市民権情報が得られると提案していた。

Census Bureauはこうした市民権に関する連邦記録をいつでも発行できる状態にあるそうだ。国勢調査結果が公表された後に、市民権に関する連邦記録が公開されれば、それらを利用してゲリマンダリングをより有効にすることができるようになる。

トランプ政権があっさりと矛を収めた背景には、こうした状況があるのかもしれない。

※ 参考テーマ「政治/外交」、「人口/結婚/家庭/生活」、「大統領選(2020年)」、「司 法