6月29日 『次は単一保険プラン』 
Source :Warren: ‘The Next Step is Single-Payer’ (Roll Call)
最近、台頭著しいElizabeth Warren 上院議員(D-MA)が、次に民主党が主張すべきは『単一保険プラン』であると強調した((「Topics2016年1月28日 「単一保険制度」とは」」参照))。昨年の大統領選で、民主党候補者を争ったBernie Sanders上院議員の強力な後継者が誕生した訳だ。

下院のMinority Leader Nancy Pelosi (D-CA)下院議員は、『PPACAを守り切る』というのが主張であり、両者の主張の間に明確な違いが表面化した形だ。ちなみに、クリントン女史は、「単一保険プランなどあり得ない」というのが主張で、90年代の大統領夫人であった頃の経験が忘れられない。

Warren上院議員がこれだけ明確に単一保険プランを主張するのは、国民の間に根強い期待感があるからだ。
そして、Sanders上院議員が大統領選で粘れた理由の一つが単一保険プランであったと見ているのである。

Warren上院議員は、次のステップを狙っているのかも知れない。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「医療保険プラン」、「政治/外交

6月27日 埋まらない積立不足 
Source :Public pension liabilities vastly outpacing contributions despite higher payments (Pensions & Investments)
州、大都市合わせて160の年金プランについて長期トレンドを分析したところ、積立不足は拡大している(Society of Acctuaries)。
  1. 州政府、自治体の拠出金、従業員の拠出金ともに2006年から2014年の間に増え続けている。
  2. ところが、積立不足額は、2006年から2014年で150%増大している。このため、積立不足割合も84%から73%に低下している。
つまり、拠出金を増やしていても、低金利による給付債務の増大を賄い切れていないというのが実態である。ようやく超緩和政策の出口論が議論され始めたばかりである。年金プランにとって厳しい時期は続く。

※ 参考テーマ「地方政府年金

6月26日 上院案公表 
Source : Senate Health Care Bill Would End Employer Mandate Penalty, Keep Cadillac Tax (SHRM)
Senate Health Care Bill Includes Deep Cuts to Medicaid (New York Times)
6月22日、上院共和党幹部がBetter Care Reconciliation Act (BCRA)を公表した。

そして、注目されいているのが、上院案に盛り込まれているMedicaid連邦支出の大幅削減である(CBPP)。下院案では、PPACAに基づくMedicaid拡充を認めないとなっていたが(「Topics2017年3月23日 AHCA修正案」参照)、上院案では、PPACA施行後のMedicaid拡充分に関する連邦負担を段階的に引き下げていく。 つまり、PPACAに基づくMedicaid拡充分は、全額州政府の負担に戻すのである。CBPPの推計によると、これまでMedicaidを拡充してきた31州+D.C.の2024年の負担増は$42.9Bにものぼることになる。

上記sourceによると、上院共和党の4人の議員が、「これではPPACA廃止の公約を実現したことにはならない」と反対を表明している。一方、穏健派の議員達も、低所得者の無保険者が増えること、保険プラン給付内容に関する規制がなくなることに懸念を表明している。

共和党上院幹部は、今週にも本会議投票に持ち込みたいと考えているようだが、かなり厳しい道のりとなる。

(7月12日追記)
上院案と下院案の比較 ⇒ Congressional Research Service: Comparison of the American Health Care Act (AHCA) and the Better Care Reconciliation Act (BCRA)

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般

6月25日 ゲリマンダリングの合憲性 
Source :Justices to Hear Major Challenge to Partisan Gerrymandering (New York Times)
6月19日、連邦最高裁は、党派的な「ゲリマンダー(Gerrymandering)」の合憲性について審理すると発表した。これまで連邦最高裁は、人種差別的なゲリマンダリングについては違憲判決を下しているが、党派的なゲリマンダリングに関する判決は下したことがない。

審理の対象となっているのは、2010年にWisconsin州(WI)議会下院が決めた選挙区見直しである。
  1. 2010年の選挙で勝利した共和党が、選挙区見直しを行った。

  2. 2012年の州議会下院選挙で、共和党は48.6%しか得票していないのに、60議席(下院は99議席)を獲得した。

  3. 2014年の州議会下院選挙では、共和党は52%を得票し、63議席を獲得した。
確かに、共和党に有利に働いていると思われる。同じ共和党員でも、シュワルツェネッガー氏などは「議会などの政治家によるものではなく、独立した機関が選挙区見直しを行うべき」と主張している人たちもいる。

今回の事件で、原告側は、党派による影響度合いを計測する手法を提案している。
  1. この手法では、「無駄票(wasted votes)」に注目する。

  2. 例えば、多くの民主党支持者を一つの選挙区にまとめてしまう("Packing")。これにより、一人の民主党議員を選出するのに必要な票数を大きく上回る投票が民主党候補に入れられる。不必要な投票分が無駄票となる。

  3. または、共和党がわずかに多数を占める選挙区に民主党支持者を分散させてしまう("Cracking" or "Spreading")。そこで共和党が議席を獲得すれば、民主党への投票はすべて無駄票になる。

  4. 二大政党の無駄票の差を、全投票数で割った値を「効率性ギャップ(efficiency gap)」とする。

  5. 2012年のWI州選挙の効率性ギャップは13.3%、2014年のそれは9.6%であった。

  6. 原告側は、この効率性ギャップが7%を超えると憲法違反であると主張している。
この手法を全米に適用してみると、43年間で41州が実施した選挙区見直しの約1/3が7%基準を満たしていないという。また、Florida, Indiana, Kansas, Michigan, Missouri, North Carolina, New York, Ohio, Rhode Island, Virginia, Wisconsin, Wyomingで行われた2012年、2014年の選挙では、効率性ギャップが10%を超えている。

いずれにしても、連邦最高裁の判決は、今後の連邦議会、各州議会の勢力図に大きな影響をもたらす可能性がある。ここでもKennedy判事がキャスティングボートを握ることになる。

※ 参考テーマ「政治/外交」、「司 法

6月22日 夏服規定 
Source :Tell Employees What Not to Wear This Summer (SHRM)
上記sourceは、職場における夏服の規定を人事部がしっかりと定めるべきだとアドバイスしている。

そこで、どんなアドバイスをしているかというと、 といった具合である。

さらに、服飾規定違反と思われる従業員に対しては、できれば同性の上司が「ネックラインは首から1/2インチ以内」とか「スカートはひざ上1インチ以下」というように、明確に指針を示した方がよいと書かれている。

服飾規定に関する表現については性に中立的な表現とすべきとしているのに、実際の対面での注意については同性が望ましいとしているのは少し矛盾を感じる。

同じT-shirtsでも、落ち着いた無地のものならいいが、ロゴが入っているのは砕け過ぎ、ということなのだろう。こうした規定は内勤オフィスワーカーの場合で、接客や製造現場ではこうはいくまい。

先週、パリのOECDカンファレンスセンターを訪問したのだが、そこのオフィス棟のスタッフの中には、半そで短パンビーサンの男性や、タンクトップの女性がいて、完全にサマーモードだなと感じたのだが、上記のような服飾規定からすると"規定違反"ということになる。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制