Source : | Trump’s victory has enormous consequences for the Supreme Court (Washington Post) |
今回の大統領選も、2014年中間選挙に続いて共和党の勝利である。大統領選で共和党が勝ったことにより、連邦政府は、大統領−上院−下院が共和党ラインとなった。
このことにより、最も大きく、長期的な影響を受けるのが、連邦最高裁の人事であることは間違いない。上記sourceのタイトル通りである。
今年2月、連邦最高裁判事であったAntonin Scalia判事が死亡し、翌月にはObama大統領が穏健リベラルであるMerrick Garland判事を指名した(「Topics2016年2月16日 連邦最高裁判事の指名問題」、「Topics2016年3月17日 最高裁判事指名」参照)。しかし、Charles E. Grassley上院院内総務は、あくまで大統領選で選ばれた次期大統領が指名すべきであると主張し、信任投票のための聴取会合は開催しないと公言していた。実際、Garland判事の指名に関する上院審議は、ずっと行なわれないまま過ぎてきた。
Grassley上院院内総務の作戦は見事に成功した。トランプ氏が大統領に就任することになり、Garland判事の指名を取り下げ、新しい判事を指名することになる。上記sourceによると、トランプ氏は、保守的なシンクタンク、Heritage Foundationの助けを借りて作成したリストから、指名候補者を選定するとしている。そのリストには、20人の判事とMike Lee上院議員(Utah)の名前が載っているそうである。
どのような候補者となるのかは、まだわからないが、保守派が指名されることは間違いない。穏健リベラルが指名されていたのが、保守派に変わって就任することになれば、共和党にとってその意味は大きい。ちなみに、Mike Lee上院議員(Utah)は、昔、Alito判事の部下だったことがあるようで、かなり強い保守派である可能性が高い。 そして、今回の共和党大統領誕生は、空席人事一つにとどまらない。上の表は、いつもの連邦最高裁判事の表を、年齢順に並べてみたものである。Current Justices of the US Supreme Court (as of November 10, 2016)
Name Born Appt. by First day Age (Antonin Scalia) March 11, 1936 Ronald Reagan September 26, 1986 pass away Ruth Bader Ginsburg March 15, 1933 Bill Clinton August 10, 1993 83 Anthony Kennedy July 23, 1936 Ronald Reagan February 18, 1988 80 Stephen Breyer August 15, 1938 Bill Clinton August 3, 1994 78 Clarence Thomas June 23, 1948 George H. W. Bush October 23, 1991 68 Samuel Alito April 1, 1950 George W. Bush January 31, 2006 66 Sonia Sotomayor June 25, 1954 Barack Obama August 8, 2009 62 John G. Roberts
(Chief Justice)January 27, 1955 George W. Bush September 29, 2005 61 Elena Kagan April 28, 1960 Barack Obama August 7, 2010 56
1930年代生まれの後期高齢者が3人もいらっしゃるのである。不謹慎な話ではあるが、この方々は、死亡または任務継続不可能となる可能性が高い。もしも、これからの2年間、そして次回中間選挙でも共和党が上院のマジョリティを握るとすれば4年間、その機会が訪れるのかもしれないのである。その内訳は、リベラル派2名、中道派1名である。リベラル派にとっては圧倒的なマイノリティに陥るかもしれない危機的な状況である。大統領及び共和党が保守系の若手判事を指名し、承認してしまえば、果てしもなく長い期間、保守派が連邦最高裁を牛耳ることになる。
アメリカ社会の価値観や政策論争を左右する重大事態が起きようとしているのである。
※ 参考テーマ「司法」、「大統領選挙(2016年)」
Source : | U.S. employers step up efforts to manage the high cost of prescription drugs (Willis Towers Watson) |
アメリカ企業は、医療コスト抑制のために、処方薬対応に重点をシフトさせている。主な対応は次の通り。処方薬の高騰が著しくなっている中、企業の対応は素早い。
- 医薬品価格の再評価、再交渉
- 処方薬の適正な利用
- 代替薬が存在する場合、特定の処方薬の給付対象制限または除外
- 特定処方薬の取り扱い変更
- 医薬品給付ではなく、医療給付で対応
- 本人負担の見直し、低価格代替薬への誘導
※ 参考テーマ「医療保険プラン」