6月20日 年金依存症 
Source :The Average American Retiree’s Dependence on Social Security and Pensions, in One Chart (The Motley Fool)
65歳以上の所得源をみると、所得の低い層ほど公的年金(Social Security)と企業年金(Pensions)のウェイトが高いことがわかる。
昔は、退職後は3本の脚で支えると言われていた。3本とは、公的年金、企業年金、貯蓄その他の自助努力である。その通りになっていれば、赤の部分で2/3以下になっていなければならない。ところが、現実には所得が$40,000〜$50,000以上の所得が高い層でしか実現できていない。

今後、確定給付型の企業年金を受け取る人の割合は大きく減っていくし、下手をすれば、公的年金も基金が枯渇して大幅カットということにもなりかねない(「Topics2015年11月12日 公的年金改革はいつ?」参照)。

アメリカの退職後所得の年金依存は、危機的状況を迎えている。

※ 参考テーマ「公的年金改革」、「DB/DCプラン

6月16日 KS州:連邦行政命令に反発 
Source :Kansas State Board of Education votes to ignore Obama’s transgender bathroom directive (Washington Post)
6月14日、Kansas州(KS州)教育委員会は、『トランスジェンダーの生徒には自ら主張するidentityに合わせてトイレを使用させる』との連邦行政命令(decree)は法に基づいておらず、越権行為であるとの決議を全会一致で採択した(「Topics2016年4月22日 第4控訴裁が学校トイレで判決」参照)。さらに、KS州政府は、連邦裁判所に訴訟を起こすことを検討している。既に同じ主旨で訴訟を起こした11州(含むTX州)に相乗りするのか、単独で訴訟を起こすのかは決めていない。

ただ、KS州教育委員会は、地方政府がこうした問題を総合的に判断して決定すべきとしているだけで、具体的にどのような方針で対処するのかは示していない。

KS州は第10控訴裁判所の管轄であり、既に連邦行政命令を支持する判決を示している第4控訴裁判所の管轄ではない。学校トイレ問題は、全米で訴訟が広がっていきそうである。

※ 参考テーマ「LGBT

6月14日 二重価格の怪 
Source :Even if you have health insurance, you may want to pay cash (LA Times)
同じ病院で血液検査を受けても、保険プランで支払う場合と個人が現金で払う場合とでは請求額が大きく異なることがあるという。

上記sourceで紹介している事例では、5つの簡単な血液検査で、保険プランで支払うことにすると、保険会社への請求額は$408。しかも免責額が限度に達していないために自己負担が$269.42となってしまった。ところが、個人で現金払いすることにすれば、一つひとつの血液検査は$15程度の負担で済んでしまう。

同じ病院なのに請求額が異なるのは、保険プランの支払いは保険会社との契約で償還額が決定されており、個人払いは病院が価格を設定していることによる。

アメリカでは、通常、個人払いは無保険者を対象として想定していることが多く、大抵は保険プランの方が安く設定されているのだが、規制緩和等により、上述のような簡単な検査については価格が低下してきていて、逆転している場合があるようだ。

このような事態が発生する理由としては、@保険会社が価格の低下を見過ごしてしまっている場合のほかに、A近年、医療機関の統合が進み、保険会社に対する交渉力が高まっていることが考えられる。NBERのレポートによれば、医療機関の競争が少ない地域では、保険料が少なくとも15%高くなっているとの分析もある。

上記sourceでは、保険会社が責められるべき、との論調になっているが、平気で二重価格を設定している医療機関側もどうかと思う。それにしても、保険加入者の代理人としての保険会社の機能は何処に行ってしまったのか。

※ 参考テーマ「医療保険プラン

6月11日 PPACA:債務不履行減少 
Source :U.S. States That Embraced Healthcare Reform Are Seeing Less Debt Sent to Collection Agencies (Bloomberg)
アメリカ社会では、医療費が嵩むと借金が膨らみ、破産に陥る傾向があるという(「Topics2013年7月16日 医療費破産」参照)。

NY連銀の分析では、PPACAに基づくMedicaid拡充は、医療費破産の減少に貢献しているのではないか、と結論付けている。具体的には、無保険者割合の高かった州で、Medicaid拡充を行なった州では、債権回収業者に送られた一人当たり債務額が顕著に減少している。
施行後の期間が短く、他の要因を排除しているため、「因果関係がある」とまでは断定できないらしいが、これだけ目に見えて減っていれば、PPACAの政策効果があったと言えよう。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」、「人口/結婚/家庭/生活