7月10日 第4の居場所 
Source :Did you buy that latte 2 hours ago? Think about leaving the coffee shop. (Washington Post)
先に、アメリカ人の勤務場所の形態が変化しつつあることを紹介した(「Topics2015年6月22日 職場の姿の変化」参照)。上記sourceによると、1980年代、英米社会における人の居場所は3つあると定義されていたそうだ。
  1. 家庭

  2. 勤務先

  3. 上記2つの居場所から発生する義務から逃れる場所
3番目の典型がカフェ、日本で言えば『喫茶店』であった。つまり、カフェの役割は、家庭における役割分担や、仕事から解放されて(もしくわ逃避して)のんびり過ごす場所を提供する、ということであった。

ところが、勤務形態のFlex化とそれを支えるIT技術の発展に伴い、3つの居場所はどんどん融合しつつある。1.の家庭は、もちろん家族の居場所ではあるものの、職場の要素を排除することはできなくなっている。これは、バケーションでも同じだ。

2.の勤務先は、リラックスした雰囲気と自由な交流を求めてホテル化しつつある。そして、3.のカフェは、PCとwifiにより、仕事を持ち込み、長時間居座る客が増えている。

カフェ側は、ビジネスマンの顧客確保とカフェの雰囲気の維持との間のバランスに苦労しているようだが、PCとwifiを持ち込むな、とは言えなくなりつつあるようだ。

そこで、かつての3.を純化した『第4の居場所』が必要になっているというのだが、それは既に『バー(bar)』があるじゃないか、という落ちになっている。

まあ、第4の居場所がバーなのかどうかは、個人の生活パターンや嗜好に因るところが多いので何とも言えないが、上記の1.〜3.が融合しつつあるあるのは東京でも同じである。自分の生活を振り返ってみても、スマホ、タブレットとPocket wifiを携行していれば、仕事に関する『onとoffの区別』はなくなりつつある。

管理人にとって第4の居場所はサドルの上だけ、ということになるのかな・・・。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「ベネフィット」、「Flexible Work」、「人口/結婚/家庭/生活

7月7日 保険料大幅引き上げか 
Sources : Health Insurance Companies Seek Big Rate Increases for 2016 (New York Times)
Obamacare Is About To Sucker-Punch Ohio Employees (The Federalist)
2016年の保険料は大幅アップとの観測が一般的である(「Topics2015年6月4日 保険料大幅引上げを申請」参照)。上記sourcesでは、個別州の保険会社の申請保険料引き上げ率を紹介している。
保険会社申請引上率
Oregon(承認済)Moda Health Plan25%
Oregon(承認済)LifeWise33%
Oregon(承認済)Health Net34.8%
Oregon(承認済)Oregon's Health Co-op19.9%
IllinoisBlue Cross and Blue Shield23%
KansasBlue Cross and Blue Shield37%
MinnesotaBlue Cross and Blue Shield54%
MissouriCoventry Health Care22%
New MexicoBlue Cross and Blue Shield51%
North CarolinaBlue Cross and Blue Shield25%
OklahomaBlue Cross and Blue Shield31%
PennsylvaniaGeisinger Health Plan40%
TennesseeBlue Cross and Blue Shield36%
TexasScott & White Health Plan32%
UtahArches Health Plan45%
「えっ」と思わず声を上げたくなるくらいの引上げ率である。もちろん、10%以上の引上げ申請は精査することになっているが、上表でわかる通り、既に保険料申請を承認したOregonでも2〜30%の引上げ率になっている。他州においても、相当程度高い引上げ率が認められるのではないだろうか。

大幅引上げとなった背景には、次のような要素が考えられている。
  1. かつて無保険者だった人たちの医療ニーズが大きい。

  2. 特別な処方薬が高コストになっている。

  3. 非適格保険プランの継続加入が認められている。

  4. 健康的な若者の加入が想定よりも少ない。
Exchangeでこうした大幅保険料引上げが見込まれるとなると、小規模企業向けプランでも同様のことが起き得る。Ohio州の小規模企業向けプランでは、来年の保険料は37.9%の上昇が見込まれている。加えて、上述の非適格保険プランへの継続加入が2016年10月1日以降は認められなくなるため、給付水準の高い保険プランに移行せざるを得なくなるという要素も加わる。
そのため、小規模企業にとっての選択肢は次の3つになると説明している。
  1. 保険料の急騰を受け入れる。

  2. 保険プランの給付水準を引き下げるか、給与を削減して保険料増加分に充てる。

  3. 保険プランの提供をやめる。
いずれにしても、加入者=従業員の負担は上昇する。

先月の保険料補助金の合法判決で一山越えたような気分が、保険料急騰という現実で吹き飛んでしまったのではないだろうか。アメリカ医療保険の課題はまだまだ大きい。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般

7月4日 残業代対象者拡大提案 
Source :Obama plans to extend overtime to more salaried workers (Washington Post)
6月29日、Obama大統領は、残業代の対象となる従業員の範囲拡大を提案した。その概要は次の通り。 残業代の対象となる従業員の数は、年々減っていた(「Topics2015年6月15日 残業代対象者が減少」参照)。 今回の提案は、その対象となる年収最高額を倍以上に引き上げることにより、対象者数は350万人から500万人に一気に拡大する。さらに、所得分布の下から40%に固定することにより、これまでのように絶対金額ではなく、相対的な割合を確保することができるようになる。つまり、40%の労働者が常に残業代の対象となるようにして、これまでの制度の弊害を除去しようとしている。

提案の内容はよいとして、問題はまたしても大統領令による制度変更を狙っていることである。連邦議会との対話が減ることで、政治的なレームダックになる時期がどんどん早まっていると感じている。特に、TPP関連法案に代表されるように、最近、民主党指導者とObama大統領との間の確執は目立ってきている。

不法移民保護策に見られるように、大統領令に基づく制度改正は不安定になりやすい(「Topics2015年6月13日(1) 大統領令施行停止」参照)。国民全体の所得に関するものであり、また企業活動全般に影響をもたらす制度改正提案なので、やはり連邦議会でしっかりと議論して制度化すべきであろう。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制