Source : | Illinois Pension Fix Fading as Governor Warns of Failure (Bloomberg) |
IL州政府の5大年金プランの財政状況は、ますます悪化している(「Topics2012年10月29日 IL州年金:崩壊の危機」参照)。州議会には、
- 積立不足額:$97B
- 積立比率:39%
- S&Pによる州債格付け:1ヵ月前、A(上から6番目)に引き下げ。先行きネガティブ。これより低い格付けはCA州のみ。
といった内容の年金制度改革法案が提出されており、州知事(D)も支持を表明しているものの、州議会下院は、明確な意思表示をしないまま7日に休会入り。上院は、例え下院が可決したとしても審議入りする意向を持っていない。
- 職員の拠出料の引き上げ(2%ポイント)
- 物価スライドの6年間凍結
- 支給開始年齢の引き上げ(67歳)
IL州議会の両院とも、圧倒的多数で民主党が占めており、その背後には、州憲法を盾に強硬に反対している労組がいるためだ。
理念を貫いて既得権を守ることで、制度の破綻を迎えようとしているのだろうか。他山の石とすべきであろう。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | Growth of Health Spending Stays Low (New York Times) Health Insurers Raise Some Rates by Double Digits (New York Times) |
2011年の国民医療費総額は、$2.7Tとなった。伸び率は3年連続の3.9%と、低水準にとどまった。
Sebelius HHS長官は、PPACAの効果が既に発現している、と誇っているようだが、事務方は冷静に「PPACAは無関係」と分析しているそうだ。伸び率が低水準に収まった理由は次の通りとされている。
New York Timesそうした中でも、Medicareの医療費は大きく伸びているようで、ますますMedicare改革に焦点が当たることになりそうである。
- 失業率が高止まりしていた。
- 民間保険プランの加入者が減少した。
- 所得が伸びなかった。
一方、2013年の保険料の上昇率は、かなりバラつきがあるようだ。特に、個人保険プラン、中小企業向け保険プランでは、2桁の引き上げ率になっているものが多い。上記sourceによれば、保険会社が10%以上の保険料引き上げを申請した結果は、概ね次のような状況となっている。単純に言ってしまえば、36%の保険プランで、保険料が10%以上引き上げられた、ということである。州の保険当局の権限の強弱、MLR規制、保険料申請レビューなど、保険料抑制のために様々な政策手段を講じてきたものの、結局は、診療費、薬剤費が高騰していけば、保険料も引き上げざるを得ないのである。また、大病院同士の経営統合などによる診療側の価格交渉力の向上も、大きな影響を及ぼしている。
- 保険監督当局が合理的と認めた ⇒ 36%
- 保険会社が申請自体を取り下げた ⇒ 12%
- 保険会社が修正申請を行った ⇒ 26%
- 保険監督当局が不合理であると判断した ⇒ 26%
その一方、企業が提供する保険プランでは、概ね保険料の上昇は抑制されている。しかし、これも表面的にそう見えるだけで、近年の企業側負担の定額化、高免責制の導入などにより、保険料の上昇が抑えられているだけで、従業員の医療費負担はそれらを上回る伸びを見せている(「Topics2012年9月29日 企業も従業員も医療負担増」参照)。
やはり、保険料負担を抑制するためには、医療費そのものの抑制策を講じなければならない。
※ 参考テーマ「医療保険プラン」
Source : | Medicaid Expansion, Health Exchanges Continue To Draw Headlines (Kaiser Health News) |
年が明け、州立のExchange創設に向けた動きが急になっている。下表にあるように、州立Exchange創設を希望する州に対する仮認可は概ね終了し、残るはMississippi州のみである。後は、本認可に向けての作業と、連邦・州のパートナーExchangeの認可を進めていく必要がある。もちろん、連邦政府が責任を持たなければならないExchange設立の作業は大きな課題として残されている。
一方、もう一つの課題である「Medicaid拡充」について、州政府の意思決定は進んでいない。昨年暮れとまったく同じ状況である。
State Health Insurance Marketplaces (CMS)
Health Reform's Medicaid Expansion (Center on Budget and Policy Priorities)
上記sourceでは、Obamacare批判の急先鋒であるフロリダ州知事がHHS長官と意見交換をするということだが、フロリダ州知事も大統領選後は舌鋒が鈍っているようだ。それでもなお、Medicaid拡充に慎重な州が多いのは、「本当に連邦政府が財政負担するの?」という疑念が強いからである。
財政の崖が2ヵ月延期されたことを考えれば、Medicaid拡充を州政府が判断できるようになるのは、その後でしかないだろう。今しばらく睨み合い状態が続きそうである。
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル」、「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | Congress passes fiscal cliff act (Journal of Accountancy) |
Obama大統領は、2日、American Taxpayer Relief Act of 2012 (H.R. 8)に署名した。これにより、実質的な財政の崖は2ヵ月先延ばしされた。
そうした中で、社会保障関係の規定について、まとめておく。最後の公的年金保険料の『増税』は、消費にどのような影響をもたらすだろうか。
- 失業保険特別給付の1年延長(「Topics2012年2月18日 協議成立」参照)。
- Medicareにおける"Doc fix"の2ヵ月延長。
- Social Security Taxの本人分2%分の減税措置の廃止。これにより、本人負担分も本則通り、6.2%となる。
※ 参考テーマ「公的年金改革」、「Medicare」、「解雇事情/失業対策」