5月8日 加州経済界が分裂? Source : Healthcare reform's unlikely ally: big business (Los Angeles Times)

皆保険を目指すシュワ知事に対し、経済界から応援団が結成された。団体名は、"Coalition to Advance Healthcare Reform"。スポンサーは、Steve Burd氏(Chairman, President & CEO of the Safeway)である。

上記sourceによれば、Burd氏は、「企業は医療保険プランを提供する責任を負っているものの、医療保険料の高騰は限界に来ており、皆保険に向けて経済界も行動を起こすべき時である」と主張している。新団体には、Safewayの取引先のほか、保険会社、製薬会社なども加入しており、現時点での加入社数は36となっている。また、同団体は、ワシントンDCにおいて、連邦議会に対しても皆保険に向けてロビー活動を行なうとしている。

Burd氏は、シュワ知事とは親しいと言われており、彼の狙いは次の2つであろう。
  1. 中小企業にも保険プラン提供を義務付け、保険料の上昇を抑制する。

  2. SB 840(単一公的保険制度導入法案)を阻止する。
上記1.は表向きのあからさまな目的であり、当然のことながら、中小企業関係者は反対している。その最前線にいるのが、加州商工会議所ならびに加州レストラン協会である。大企業と中小企業の利害の対立が鮮明になったことになる。

また、上記2.は、保険会社、製薬会社も加入していることから見れば、明らかであろう。SB 840のように、単一の公的保険制度が導入されれば、民間保険会社は廃業に追い込まれることになる。また、処方薬の価格も統制価格となるため、製薬会社は反対の立場を明確にしている。SB840については、シュワ知事も拒否権を発動した経緯があり、その意味でもシュワ知事のサポートとなり得る(「Topics2007年3月1日(3) 三たびSB 840(CA州皆保険法案)」参照)。

ポジティブな活動をしているように見せながら、最も回避すべき提案を潰そうとしている訳である。

5月4日 Medical Tourism Source : Employers make a push for 'medical tourism' (CNN Money)

従来は、国内で受けることが難しい手術などの診療行為を求めて海外に出ることはあった。また、より一般的なのは、処方薬を求めて、カナダに出ることであった。しかも、個人のベースで。

ところが、近年、企業や保険会社が、安価な診療を求めて、従業員、被保険者を海外に送り出そうとしているそうだ。上記sourceによれば、今年は100万人以上のアメリカ人が、海外の診療行為を求めて海外に出ると予想されている。

その理由は、医療コストの高騰である。航空運賃を払っても、海外での診療の方がかなり安く済む。行き先は、インド、シンガポール、メキシコ、コスタリカ等々。それほど医療費の高騰、保険料の高騰が深刻に受け止められているのである。

こうした世間の流れを受けて、海外での診療を斡旋する企業も出ている。GlobalChoice healthcareでは、
  1. 自家保険を運営している中小企業との直接契約
  2. 保険会社を通じた間接契約
の2通りでサービスを提供しているそうだ。

こうしたサービスの対象として日本の医療機関が選ばれるようになるようだと、日本の医療も国際水準と言えるのだが・・・。

5月3日 州の医療保険改革比較表 Source : 2007 Comprehensive Health Care Reforms: Side-by-Side Comparisons (NCSL)

各州の活発な改革の動きを比較するため、その改革の内容に関する簡単な比較表が提供された。提供したのは、NCSLである。

この表を見ても、MAの皆保険法は、総合的な改革を目指していることがわかる。これに続くのが、PA州知事の提案である(「Topics2007年1月19日(2) PA州知事も皆保険提案」参照)。CA州と並んで、注目しておく必要があるようだ。

5月2日 採用・引留め・解雇の実務 Source : Employment Guide : Hiring and Retaining Top Performing Employees (Profiles International, Inc.)

上記sourceは、有能な人材の採用、引き留めのための実務手引書である。実際には、これよりも何倍ものチェックリストがあるものと思われるが、プロトタイプを認識するためには、このような簡易版が便利である。

章の構成は次の通り。
  1. 有能な人材の採用
    1. 第一次面接
    2. 採用前の評価
    3. 第二次面接
    4. 履歴確認
    5. 採用の通知、提出書類
    6. 健康診断

  2. 有能な人材の動機付け、引き留め策
    1. オリエンテーション
    2. 業績評価
    3. 人物評価
    4. 解雇の実務
自分の職場で、これだけの手をかけて採用、評価をしているか、と問われると、何とも心許ない気がするのは、あなたの企業だけではあるまい。

5月1日 加州議会に動き Source : Senate Committee Moves Forward on Health Care Reform Proposals - California Healthline

加州議会上院のHealth Committeeは、4月25日、Perata上院議長提案の医療保険改革法案(SB48)を可決した。

ここまでの医療保険改革提案の動きをまとめておくと、次のようになる。
提 案 者
法 案
進捗状況
参 照
シュワ知事
「Topics2007年1月9日 シュワ知事の提案」
Sen. Don PerataSB48上院Health委員会可決(4/25)「Topics2006年12月26日(2) シュワ知事の最優先課題」
Assembly Speaker Fabian NúñezAB 8下院Health委員会可決(4/24)「Topics2006年12月28日 加州議会No.2の提案」
Sen. Sheila KuehlSB840上院Health委員会可決(4/18)「Topics2007年3月1日(3) 三たびSB 840(CA州皆保険法案)」
これで、加州議会の役者およびその提案が出揃ったという感じである。ここまでは、それぞれの主張を認め合うことで、法案審議が進められてきた。

これから、シュワ知事と議会がどのような妥協を見せていくのか、お互いの手腕の見せ所である。もちろん、議論のペースも相当にスローダウンするものと思われる。