6月7日 見放されるCash Balance Source : In Just a Year, Cash-Balance Plans Go From Panacea to Pariah (Workforce)

上記sourceによれば、典型的な確定給付型(DBプラン)からCash Balance(CBプラン)へ、という流れは止まってしまっているそうだ。

DBからCBへという流れが止まってしまったのは、年齢差別禁止法違反で集団訴訟が起きたことによる。さらに、昨年8月に、IBM事件について、連邦地方審判決(「Topics2003年8月2日 IBM敗訴」参照)が出たことにより、決定的となってしまった。

加えて、IBM事件同様の訴訟が他にも多数あり、事業主側が和解するケースも目立っており、現行のままでは完全に白とはならない可能性が高い。

このような状況を受けて、財務省は、新たなDBからCBへの移行ルール案を公表している(「Topics2004年2月9日 CBに関する財務省新提案」参照)ものの、その立法化は遅々として進んでいない状況にある。

つまり、企業側は、ルールが定まらずに訴訟リスクが高いために、DBからCBに移るに移れない状態にある。そこで、現在、企業側としては、DBまたはCB(既に移行してしまった場合)への拠出を停止してしまい、その分を新たにDCプランに拠出するという措置をとっている。つまり、CBに移ることもできないし、仮にCBに移っていたとしても訴訟リスクがあるために、制度を停止してしまっているという訳だ。

さらに、会計基準の変更により、DBプラン、CBプランの管理コストはますます高まっている(「Topics2003年11月19日(3) FASBの最終合意(DB情報開示)」および「Topics2004年5月7日 Cash Balanceの会計基準」参照)。

月内の金利上昇見通しが報じられており、一筋の光明とはなるものの、DB、CBプランにとってはまだまだ冬の時代が続きそうだ。

6月4日 A Baker's Dozen Source : Address by Howard H. Baker, Jr., July 14, 1998

現在、ある財界人のお伴でNYに来ている。この財界人のお話の中で、ベーカー駐日米国大使ご夫妻と深いご縁があることを知り、久々にこの講演のことを思い出しました。「ベーカーの13か条」のお話を申し上げたところ、「信条を持って生きている人は立派だ」と仰っていました。

組織で生きていく身であれば、この13か条に思い当たることは多い。

6月1日 DBプランの消滅(UK) Source : Nearly half UK companies to change pension plans in next three years (Towers Perrin)

上記sourceでは、イギリスの企業年金が、急速に変質していることを伝えている。その特徴は、次の3点。

  1. DBからDCへの移行。

  2. 確定拠出における事業主拠出割合の増加(特に、経営者幹部について)。

  3. 現金給付の選択制の普及または現金給付への転換。
背景には、リスクを従業員に転嫁する傾向が強まっていることがあり、それは間違いなく会計制度の影響であろう。イギリスの会計は、IAS、アメリカ基準、日本基準と異なり、退職給付債務の変化を一気に認識することを求めている。例えば利子率の見込みが変化した場合、その変化に伴う債務を、当該会計年度ですべて認識することとしている。そうなれば、企業側としては、退職給付債務の変化がとても大きなものとなり、とてもリスクをプールしきれない、ということになる。企業側としては当然の対応だろう。

さらに、DCプランへの移行だけでなく、現金給付との選択制をとることにより、退職後の所得確保は、すべて個人ならびに公的年金に任せようという流れができつつあるわけである。

こうした企業の対応が、将来的にイギリスの社会にどのような影響を与えるだろうか。おそらく、国民生活に大きな影響を与えるだろうということが充分予想される。