Topics 2003年11月21日〜30日      前へ     次へ


11月21日 「日米欧会計基準の相互承認」
11月22日 Medicare改革法案 両院協議会提案
11月23日 Medicare改革法案が下院通過
11月25日(1) Medicare改革法案 最終局面
11月25日(2) 公約としての雇用創出
11月26日 Medicare改革法案成立
11月27日 Medicare改革法概要


11月21日 「日米欧会計基準の相互承認」 

会計は企業年金プランに大きな影響を及ぼします。最近の国際的な会計基準の動きについて、主張をまとめたものです。ある雑誌に掲載される予定のものを抜粋、書き直しました。一緒に内容を検討してくださった同僚の皆様に感謝します。

日米労働市場に関する考察・コメント」に掲載しました。

11月22日 Medicare改革法案 両院協議会提案 Source : AMENDMENTS TO SOCIAL SE- 1 CURITY ACT

上記sourceは、両院協議会が提案するMedicare改革法案である。修正なしの可決か否決かしかない法案の行方はどうなるでしょうか。

11月23日 Medicare改革法案が下院通過 Source : House Passes Medicare Bill (Washington Post)

凄まじい多数は工作の末に、下院はMedicare改革法案を可決した。投票結果は、220対215。前回の1票差よりはましだったが、それでも僅差での可決だった。共和党からの反対票は25票、民主党からの賛成票は16票であった。

あとは、上院の行方だが、上院民主党は、filibusterを使えないと見ている。民主党内で、賛成反対が別れているからということだ。もちろん、共和党内にも、反対派があり、またまた厳しい票読みの世界となりそうだ。

11月25日(1) Medicare改革法案 最終局面 Source : Republicans Confident of Senate Win on Medicare (Reuters)

Medicare改革法案は、先週土曜日未明、わずか5票差で下院を通過した(「Topics2003年11月23日 Medicare改革法案が下院通過」参照)。今週に入り、上院は急ピッチでその審議を進めている。

24日、上院では、Medicare改革法案に関連して、2つの投票が行われた。

  1. 審議時間を制限する法案 → 70 vs 29 で可決

  2. Budget Point of Order → 39 vs 61 で否決
    (翌年度の歳出が法案可決時よりも増加する可能性がある場合に、さらなる審議が必要となる)
どちらの投票でも、法案支持側が60票以上を集めており、最終決戦投票で、60票以上の賛成多数で可決される可能性が出てきたわけだ。ちなみに、大統領候補者選に名乗りをあげている上院民主党議員3人(John Edwards of North Carolina, John Kerry of Massachusetts and Joseph Lieberman of Connecticut)は、いずれも法案反対側に回っている。

上院共和党は、法案成立に自信を見せ始めており、24日中、もしかすると25日中には、大統領府に回付できるとの見通しを披露している。

なぜ、民主党は一枚岩になり切れないのか。それは、以前にも記した通り、来年11月の選挙を睨んで、『処方薬をカバーすると言う最大のメリットを捨ててまで、競争原理導入を阻止しようという行動を議員が支持する可能性は低い』と考える議員が多いためと思われる。その証左とも言うべき発言も報道されている。
"I will vote for it not because it's perfect, but because I believe it will bring needed help to my state" by Sen. Dianne Feinstein, D-CA (quoted by CNN)
また、民主党議員の中には、「2006年からの給付開始なのだから、そんなに急いで中身を決めてしまわなくてもよいのではないか」と篭城作戦を主張する向きもあるようだが、まさにそれこそWhite Houseが狙っているところである。つまり、法案内容が完全実施となるのは、まさに2006年からだが、法案成立後6ヶ月以内に、最高25%の割引が可能となる「処方薬割引カード」が導入されるのである。この割引カードの導入は、従前からBush政権が提案してきたものであり(「Topics2002年2月11日 大統領医療改革提案」参照)、仮に、今月法案が成立したとして、6ヶ月後といえば、2004年5月である。その半年後には大統領選挙が控えている。まさに、「内政のBush」を国民に認知させる、最高のプレゼントとなる訳である。White Houseは、はっきり言って、急いでいるのである。

その大統領府のロビーの成果が、早ければ24日中(アメリカ東部時間)にも実ることになる。最終局面は大きな山場を迎えている。

と、ここまで書いたところでCNNを確認したところ、上院での投票は、アメリカ東部時間で、25日午前9時15分頃(日本時間で25日23時15分頃)に予定されているそうだ。

11月25日(2) 公約としての雇用創出 Source : JobWatch

上記sourceは、民主党系のシンクタンク"Economic Policy Institute"が運営する、労働市場の状況をレポートするサイトである。民主党系なので、当然、Bush政権の政策に文句を言うことが中心になるのだが、今回の内容は、Bush政権の公約であった、雇用の創出が充分にできていない、という主張になっている。特に、雇用創出のためと銘打ったBush大減税が効果を発揮していない、という点に重点を置いている。その内容は、以前紹介した、議会民主党の主張(「Topics2003年10月24日(1) Jobless Recovery」参照)とほぼ同じなので、ここでは省略する。

このサイトを読んでいて感じたことは、日米とも、雇用創出を政策公約に掲げることが難しくなっている、という点である。昔は、公共事業などで、直接雇用を創出することが可能であった。しかし、現在では、財政事情や政業癒着への批判から、そうした直接的な手法が難しくなっている。政策としてできることといえば、企業減税や規制緩和でビジネスチャンスを増やすことぐらいである。しかも、企業側は、労働コストを変動費として取り扱おうという意識が強まっているために、需要増が実現したうえでさらに供給力が不足することが判明してからでなければ、なかなか雇用増には向かない。

日本でも、「530万人雇用創出計画」なるものがたてられているが、その実現には程遠いものとなっている。明らかに公約は守られていない。

日米の労働市場とも、雇用は政策目標とはなりにくくなっている。これを裏返せば、雇用は企業の業績見通しでしか動かなくなりつつあるといえる。日本でも、「雇用は企業の社会的責任」とは言ってはいられなくなっているのではないだろうか。

11月26日 Medicare改革法案成立 Source : Senate Passes Medicare Bill (Washington Post)

11月25日午前中の上院本会議で、Medicare改革法案が可決された。54 vs 44 という結果であった。その内訳を見ると、次の通りであった。

 合 計共和党民主党無派閥
賛 成5442111
反 対44935 

もちろん、Bush大統領は署名することになる。アメリカの社会保障制度が大きな変革を遂げた瞬間であった。

11月27日 Medicare改革法概要 

Medicare改革法案の行方ばかりを追っていて、中身を整理していなかったので、ここで、まとめておきたい。

「Medicare改革法 概要」

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