12月20日 Seattle市:退職貯蓄プラン法成立
Source :Mayor Signs Retirement Savings Plan Into Law (Seattle Weekly)
11月22日、Seattle市長が退職貯蓄プラン法案に署名し、同法は成立した。法案に基づく制度設計のポイントは次の通り。
  1. 制度名は"Seattle Retirement Savings Plan"

  2. 自動加入を基本とするauto-IRA。ただし、脱退は随時、任意により可能。

  3. 運営機関は第3セクター。

  4. 加入者は給与の一定割合を拠出し、投資先を選択する。

  5. 選択肢として用意する金融商品は、今後設置する"Seattle Retirement Savings Plan Board"で決定する。

  6. 施行は2019年または2020年。
この制度に加入可能となる従業員は20万人とみられている。

Center for Retirement Initiatives (Georgetown University)によれば、Seatlle市の退職貯蓄プランは公営年金プランとしては10個目の制度とされている(State Initiatives Transforming the Retirement Savings Landscape)。州レベルでは既に9州で法制化され、OR州、MA州では加入が始まっている。そして、州以外の自治体としては、今回のSeatlle市が初めての法制化ということだ。

Source: Georgetown University’s Center for Retirement Initiatives
※ 参考テーマ「地方政府年金

12月19日 雇用者の定義を再変更
Source :Labor Board Reverses Ruling That Helped Workers Fight Chains (New York Times)
12月14日、NLRBは、2015年9月に自ら変更した雇用者の定義(「Topics2015年9月5日 雇用者の定義変更」参照)を再変更し、2015年以前の定義に戻すことを決定した(NLRB Press Release)。これにより、雇用関連の決定に直接関わらない限り、フランチャイズ本店は共同雇用者とみなされなくなり、労働関係の訴訟リスクは大きく軽減される。また、現場での労働組合結成も難しくなる。

2015年当時はオバマ政権下で、NLRBのメンバー構成は民主党が多数を占めていた。ところが、トランプ政権になってNLRBのメンバー構成は共和党が多数となっていた(「Topics2017年9月30日 NLRB:共和党が多数」参照)。今回の決定時点でのメンバー構成は次の通りである。発足当初と較べると、事務局長も共和党に代わっている。
【2017年12月14日時点】
役 職氏 名政 党指名者任 期
ChairmanPhilip Andrew MiscimarraRPresident Obama2013.8.28〜2017.12.16
MemberMark Gaston PearceDPresident ObamaA2013.8.28〜2018.8.27
MemberLauren McFerranDPresident Obama2014.12.17〜2019.12.16
MemberMarvin E. KaplanRPresident Trump2017.8.10〜2020.8.27
MemberWilliam J. EmanuelRPresident Trump2017.9.26〜2021.8.27
事務局長Peter B. Robb(R)President Trump2017.11.17〜2021.11.16
今回の雇用者の定義が経営者にとって最大の課題だったことは間違いないが、今後も共和党NLRBがオバマ政権下でのNLRB決定事項を覆していくことが見込まれる。 ただし、今この時点では、上記メンバーのうち共和党だった議長が退官し、空席のままとなっている。
【2017年12月19日時点】
役 職氏 名政 党指名者任 期
Chairman
MemberMark Gaston PearceDPresident ObamaA2013.8.28〜2018.8.27
MemberLauren McFerranDPresident Obama2014.12.17〜2019.12.16
MemberMarvin E. KaplanRPresident Trump2017.8.10〜2020.8.27
MemberWilliam J. EmanuelRPresident Trump2017.9.26〜2021.8.27
事務局長Peter B. Robb(R)President Trump2017.11.17〜2021.11.16
この状態では議論が進まない。しかし、トランプ大統領は後任の指名もしておらず、上院での承認までにはかなりの時間を要することになる。

一方、雇用者の定義を変更されることを将来にわたって防ぐため、雇用者の定義を明確に法定化しようとする動きが出ている。既に連邦議会下院では、11月にそうした法案を可決している。ますます企業側に有利な制度へと傾いている。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「労働組合

12月11日 RI州:有給休暇制度義務化
Source :Rhode Island becomes eighth state to enact paid sick leave law (Willis Towers Watson)
Rhode Island州(RI)が、州内企業に有給休暇制度を義務付ける法律を成立させた。ポイントは次の通り。
  1. 施行日は2018年7月1日。

  2. 従業員18人以上の企業は、有給休暇を与えなければならない。

  3. 最大賦与時間数は、2018年24時間、2019年32時間、2020年以降40時間。

  4. 18人未満企業も休暇を与えなえればならないが、有給である必要はない。

  5. 州内の自治体が独自に有給休暇制度を制定することを禁止。


※ 参考テーマ「人事政策/労働法制