Source : | Stockton creditors to challenge CalPERS payments in bankruptcy court (Pensions & Investments) |
いよいよ、Stockton市の再建、債権をめぐって、ガチンコ勝負が始まる。先にChapter 9のもとでの再建が確定した中で、Stockton市に対する債権確保を巡る争いが始まる(「Topics2013年4月3日 Stockton市:Chapter 9を継続」参照)。
関係者のそれぞれの立場をまとめておく。ここでも、連邦法に基づく破産処理、再建と、州法に基づく優先順位という、ねじれの論争が繰り広げられそうである。
- Stockton市:今年の7〜9月期に、再建計画を示す。そこでは、『どの債権者にどれだけ泣いてもらうか』を示すことになる。
- CalPERS:Stockton市が負うべき拠出金は、どんなことがあっても支払うべき。
- 年金債保有者などの債権者:CalPERSも他の債権者と同様に債権放棄すべき。
- 連邦破産裁判所判事:Stockton市の再建計画については、不公平な差別的扱いがないかどうかを中心に据えて判断する。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | Health-Care Costs: A State-by-State Comparison (WSJ.com) |
本当にアメリカの医療事情は、州によって区々である。一人当たり医療費は、総じて北西部の州で高いようだが、入院費、処方薬、診療所と分けてみると、また総額とは異なる傾向が出ている。また、肥満が多いことと医療費は、それほど連関しているようには見えない。 ただ、保険料の傾向は、一人当たり医療費と近いように見える。
(Robert Wood Johnson Foundation "ESI REport")
(Robert Wood Johnson Foundation "ESI REport")
(Robert Wood Johnson Foundation "ESI REport")こうした違いの背景には、人口構成、医療制度、生活習慣などの違いがあることだろう。
(Robert Wood Johnson Foundation "ESI REport")
※ 参考テーマ「州レベル全般」
Source : | TW Pension 100: Year-End 2012 Disclosures of Funding, Discount Rates, Asset Allocations and Contributions (Towers Watson ) |
上記sourceでは、2012年の大手企業のDBプランについて、財政状況をまとめている。ポイントは次の通り。超金融緩和は企業年金に重い圧力を加えている。企業がこの圧力に耐えられるうちに、景気回復、収益改善が進むことを期待するしかない。
- 2012年の積立不足額は拡大しており、積立比率は悪化している。
- その主因は、予定利率の低下である。
- 積立比率の悪化を受けて、企業の拠出金を増額するとともに、ポートフォリオを見直して固定利回り商品、オールタナティブの比率を高めている。
※ 参考テーマ「DB/DCプラン」
Source : | Bankrupt San Bernardino votes to pay Calpers, not bondholders (Reuters) |
22日、San Bernardino市(SB市)の予算案が市議会で承認された(「Topics2013年4月15日 SB市が拠出を再開」参照)。これにより、7月1日からCalPERSへの拠出が再開されることが確定した。
ただし、拠出を停止していた期間に支払われるべき金額($12M程度)の扱いについては何も触れられていない。今後、CalPERSは徐々にこの不払いの分も拠出するよう、じわじわと責めてくるだろう。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | The Impact of a Retirement Savings Account Cap (EBRI) |
先日公表された2014年度予算教書で、税制適格の退職後所得プランについて、上限を設けるとの提案が行われている。上記sourceによれば、提案内容は次の通り。アイディアとしては新しいものの、その影響となるとあまり大きいものではなさそうだ。
- DCプラン、DBプラン、IRAに対する拠出について、所得控除の上限を設ける。
- 62歳から夫婦で年額 $ 205,000(物価連動)を受け取れる分までを上限とする。
- 現時点では、およそ $ 3.4M 相当の積立額が上限となる。
- 適用は2014年からとする。
税収確保のための提案であり、財政健全化に向けた方策としては充分考えられる。年金の世界では相当話題になっているようだが、どれだけ論争が広がるか、だ。それにしても、勘定に300万ドルもたまっていれば、悠々自適の暮らしとなろう。
- IRAの全勘定(2060万口)のうち、この上限によって影響を受けるのは、およそ0.06%しかなく、その9割以上が60歳以上である。
- IRAと401(k)の両方を対象にしてみても、60歳以上のうち0.107%しか影響を受けない。
- 若い層の影響を401(k)プラン加入者について推計してみると、約0.9%が影響を受ける可能性がある。
※ 参考テーマ「企業年金関連法制」
Source : | IMF: U.S. public pension funds increasing risk to dangerous levels in search of yield (Pensions & Investments) |
アメリカの公務員年金のリスクが高まっている、とのレポートがIMFから公表された。ごもっともな話である。『アメリカの公務員年金基金の資産運用はアグレッシブで、日本の年金基金も見習うべきだ』との意見を聞くこともあるが、こうしたIMFの警告にも傾聴すべきであろう。
- アメリカ金融市場で脆弱性が高まっている中で、年金基金、保険会社はよりリスクの高い資産にウェイトを移している。
- アメリカの公務員年金(DB型)は、2001年には積立不足がなかったのに、2012年の積立不足は28%に達している。
- 同じ期間、alternativesの資産構成は、実質ゼロから25%にまで高まっている。
- 低金利の中で、より高いリターンを求めている訳だが、これに伴い、変動リスク、流動性リスクが高まっている。
- 高いリターンを求めてリスクを取り過ぎれば、結局は資産価格バブルに身を置くことになる。
- 積立不足を縮小するには、給付削減、支給開始年齢の引き上げ、拠出額の引き上げなど、負債サイドのマネージメントに取り組むべきである。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
16日、超党派上院議員による移民法改革法案 "THE BORDER SECURITY, ECONOMIC OPPORTUNITY & IMMIGRATION MODERNIZATION ACT OF 2013 (S. 744)" が提出された。案文そのものは、844ページにも及ぶ大作だ。
大事な提案なので、少し丁寧にまとめておこう。
- 最初の10年間で、国土保全省(Department of Homeland Security, DHS)は、国境の機能改善の計画を立て、実行する。
- 法案成立後6ヵ月以内に、DHSは5年間の国境機能改善計画を提示する。
- 法案成立後6ヵ月以内に、DHSは国境フェンス整備計画を提示する。
- 法案成立後5年以内に、DHSは米墨国境において、不法侵入の100%の認識、90%の身柄確保を達成する。
- 5年後に達成できていなければ、DHSに対する諮問委員会を設立し、5年以内に目的達成のための手段を提案する(法案成立後10年以内)。
- 法案成立後10年以内に、"E-Verify"を普及させ、全米の企業に利用を義務付ける。
- 10年以内に、全ての国際空港、国際港における出入国管理業務のIT化を終え、外国人の出国、ビザ切れを監視する。
- DHSによる国境機能改善が行われたことを確認した後、不法移民に対する法的地位の賦与を開始(申請の開始)する。
- 一定の要件を満たした不法移民には仮滞在許可(Registered Provisional Immigrant Status)を与える。グリーンカード申請まで10年間、帰化まで3年の待機期間を経なければならない(「13年プロセス」)。
※一定の要件
- バックグランドチェック
- 指紋提出
- 罰金$2,000の支払い
- 必要な税金の支払い
- 所得を得られる職業(FPL 125%以上)に就いていることの証明
- 2011年12月31日(cutoff date)以前にアメリカに入国している。
- 犯罪歴がないこと
- 仮滞在許可を得た場合、就労、国内移動が認められる。
- グリーンカード申請順は、その時点の最後尾とする。
- 犯罪者、要件を満たさない者は国外退去とする。
- 不法移民にはPPACAに基づく給付を一部制限する。仮滞在許可を得ても、現行通り、5年間は連邦政府からの社会保障給付は受けられない(「Topics2013年2月19日 Emergency Medicaid 」参照)。
- 不法移民の親に連れてこられた若者(Dream Act youth)については、一定の要件を満たせば、5年後に永住申請を可能とし、即座に市民権を賦与する(「5年プロセス」)(「Topics2012年6月17日 若い不法移民を保護」参照)。
- 就労ビザを見直す
- 失業率が8.5%を超える地域が存在する場合には、すべての就労ビザの発給を停止する。
- 高技能就労者用ビザ(H1-B)
- アメリカで高等教育を受けた外国人には、出国は求めず、そのままグリーンカードを提供する。
- 発給上限を現在の年間6.5万人から11万人にまで倍増する。
- 将来的には、上限を18万人にまで引き上げる。
- ゲストワーカー用ビザ(W-visa)の創設
- 2015年から、低技能就労者用ビザを2万人分発給する。
- 2019年までに7.5万人まで増やす。
- 2020年以降、連邦政府が必要なW-visaの上限数を提案する。ただし、年間20万人を上限とする。
- 建設業者には、年間1.5万人を上限とする。
- 人手不足に伴う緊急追加発給を認めるが、その際の賃金は平均よりも高くしなければならない(「Topics2013年4月1日 ゲストワーカー制度で進展」参照)。
- 農業就労者用ビザ(H-2A)
- 3年間で33.7万人を上限とする。
- 家族ビザの制度変更
- 外国人配偶者、アメリカ市民・永住許可者の子どもと親に関するビザ発給の年間上限を撤廃する。
- 法施行から18ヵ月後、アメリカ市民の外国人兄弟に対するビザ枠を廃止し、31歳未満の子供に限定する。
- 2015年から、家族関係、職業能力に基づくポイント制によるビザ発給を行なう(後述)。
- ポイント制のビザ発給制度(永住権を持つグリーンカード)を創設する。
- 法案成立後5年以内に、技能、教育、家族関係、アメリカ国内での在住期間などによるポイント制のビザ制度を開始する。
- 毎年12万人以上の外国出身者がグリーンカードを取得する。
- 現在、ビザ発給の75%が(既に国内にいる)移民の家族に向けたものであるが、このポイント制により、それが50%にまで低下する。代わって、技能に基づくビザ発給が50%に近づいていく。
前にも書いたが、現在いる不法移民にとっては、気の遠くなるような道程である。しかも、要件を満たせなければ国外退去になることが明確になっている。E-Verifyが本格的に普及すれば、職につくことも難しくなる。法的地位を獲得する前に干上がってしまいそうである。
これで、民主党や不法移民の支持者達は納得してくれるのだろうか。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」