5月31日 年金改革市民投票:San Jose市 
Source :San Jose pension fight could have nationwide implications (San Jose Mercury News)
6月5日、San Jose市(CA州)で、市職員年金プラン改革に関する市民投票が行われる(Measure B)。提案内容のポイントは次の通り。
  1. 将来の新規採用者については、給付水準を引き下げるとともに、拠出額の半分を負担するよう求める。

  2. 現役職員の過去分については、給付を維持するものの、将来分については
    1. 給付水準を引き下げる
    2. 給付水準を維持するものの本人拠出分を最大16%に引き上げる
    のいずれかを選択する。

  3. 市が財政危機宣言をした場合、年金給付の物価スライドを最大5年間凍結する(現行は最大3年間)。
上記sourceによれば、市の年金に関する負担は、この10年間で$73Mから$245Mと3倍に膨れ上がっている。市の税収増率の20%を大きく上回り、一般会計の4分の1を占めるまでになっている。こうした市の財政状況を背景に出てきた改革案だが、現役職員の将来分についても給付を実質引き下げることを提案している点で、全米の注目を集めている。

※ 参考テーマ「地方政府年金

5月30日 悩ましい披露宴 
Source :Do You Have to Invite Your Co-Workers to Your Wedding (BusinessWeek)
洋の東西を問わず、結婚披露宴に誰を呼ぶのか、悩みは共通のようである。上記sourceでは、職場の同僚や上司を呼ぶべきなのかどうか、を議論している。もちろん、一定の法則や決まりごとがある訳ではなく、結局は、結婚式を挙げる者同士が、どのような形式で披露宴を行うかを考えながら、話し合うしかないようだ。

ところで、上記sourceの中に、"a Southern tea"という言葉が出てくる。
George and his wife weren’t hosting a casual, backyard celebration where guests could come and go. It wasn’t a Southern tea to which the whole town was invited. No, their wedding was a formal ceremony with a sit-down dinner and place cards that marked the assign seats. There were even personalized thank-you gifts for all the guests.
はっきりしないが、くだけた雰囲気で、誰もが気軽に参加できるような形式のお茶会、というものという感じがする。Googleで検索してみても、なかなかマッチするものが出てこないのだが、次の2つは、もしかしたらこれがそうかも、というサイトである。 いずれも写真がふんだんに掲載されており、屋外でのパーティがイメージできるようなものとなっている。

最近、こういうちょっとした言葉に引っ掛かることが多くなってきている(「Topics2012年5月15日 Spaghetti approach:MA州」「Topics2012年5月29日 Jerry-rigged System」参照)。英語の語彙が不足しているとともに、アメリカ人の生活に関する知識も不足していることを痛感する。

※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活

5月29日 Jerry-rigged System 
Source :Even with a High Court win, Obamacare won't work (CNN Money)
"Jerry-rigged"とは、Merriam-Websterによると、
"Organized or constructed in a crude or improvised manner"
ということで、「荒削りで拙速に作った制度」という意味になる。上記sourceは、医療保険改革法を"Jerry-rigged system"と評しているのである。その主張のポイントは次の通り。
  1. 保険加入義務規定が違憲と判断されれば、即刻、医療保険改革法は効能を失う。

  2. 仮に合憲と判断された場合でも、医療保険改革法はその目的を達成することはできない。それは、次の2つの規定が盛り込まれているからだ。
    • 保険会社の加入拒否権の否定(=既往症に伴う加入拒否を禁止)
    • 地域で同一の保険料設定(=年齢や健康状態による保険料の区別を禁止)

  3. そうなると、若くて健康な人たちの保険料が急上昇し、無保険を選択する人たちが増える。その結果、保険料も高止まりとなり、そのせいで無保険状態になる人たちも出てくる。

  4. こうした事象は、1990年代に各州で起きており、2000年代初めまでに各州ともこうした制度を廃止してしまっている。上記sourceで言及しているのは、Kentucky, Maine, Washington, New Hampshire, New Jersey, South Dakota, Iowaなどの州である。

  5. そのような事態を回避するために、所得があるのに加入しなかった人にはpenaltyが課されることになっているが、その負担は極めて軽い。ちょっとした計算ができれば、どちらが得なのか、すぐにわかる。仮に無保険を選択した後に重い病気にかかったとしても、いつでも保険加入ができるのだから、それまでは加入しない方が経済的負担が軽い場合が多くなる。
確かに、MA州のpenaltyに較べればはるかに低水準である(「Topics2012年1月22日 MA州ペナルティ引き上げ」参照)。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

5月28日 企業と医療機関の直接契約 
Source :Some large employers look to direct contracting with doctors (American Medical News)
医療保険プランを提供している企業が、医療機関との直接契約により医療提供ネットワークを構築しようとしているそうだ。 通常、保険会社等のネットワークに加入していると、企業との間の直接契約を禁止されるケースが多いようである。医療機関の側も、生き残り、より高いパフォーマンスを求めて選択しなければならなくなる。やはり、こうした競争的要素は常に必要である。

※ 参考テーマ「医療保険プラン

5月27日 医療費負担の実態 
Source :Health Care Cost and Utilization Report: 2010 (Health Care Cost Institute)
アメリカの医療の実態が少しでも実感できるかもしれない。本レポートのポイントだけまとめておく。
  1. 企業が提供する医療保険プランにおいて、65歳未満の加入者一人当たりの医療費は、$4,255(2010年)。

  2. 企業が提供する医療保険プランにおいて、65歳未満の加入者一人当たりの医療費の伸び率は3.3%(2010年)。これは消費者物価上昇率1.6%を上回っている。

  3. 平均入院費は$14,662、その伸び率は5.1%(2010年)。
  4. 平均外来費は$2,224、その伸び率は10.1%(2010年)。

  5. 処方薬に関する費用は、全体の伸び率は3.0%だが、ブランド品13.0%、後発薬△6.3%と大きく異なる(2010年)。
  6. 加入者一人当たり負担額の伸び率は、保険会社側2.6%、加入者側7.1%(2010年)。

アメリカで病気になったときの負担の重さがひしひしと伝わってくる。

※ 参考テーマ「医療保険プラン

5月26日 CB案は両院協議会へ:LA州 
Source :One of Jindal's retirement proposals gets last-minute detour (The Times-Picayune)
LA州知事は、州政府職員の年金プランについて、Cash Balanace Plan("CB")への移行を提唱している。現在審議されている法案(HB 61)のポイントは次の通り。
  1. 2013年7月以降の新規採用者については、CBに加入する。

  2. 拠出率は、従業員が給与の8%、州政府が4%。

  3. 運用損が出た場合には、年金プランまたは州政府が補填する。給付額に損失は生じさせない。

  4. 従業員は、他の退職給付プランに移管できる。
賛否両論逼迫しているようだが、24日、LA州議会下院で投票が行われ、可決に必要な得票数に至らず両院協議会に委託されることとなった。

どうも、決定的な要因は、LA州政府職員が公的年金(Social Security)に加入していないことのようである。Nebraska州政府もCBを採用しているが、同州政府職員はSocial Securityに加入しており、SSとCBの2階建てになっているそうだ(The News Star)。LA州政府の場合、SSに加入していないとなると、CBのみになるということで、不安が強いということらしい。

しかし、SSの持続可能性が疑問視される中、もし本当に上記のようなCBが適用されるなら、退職給付の確実性はより高いと思われる。今後の両院協議会の議論が注目されるところである。

※ 参考テーマ「地方政府年金

5月25日 MA州皆保険の課題 
Source :MASSACHUSETTS HEALTH CARE REFORM: SIX YEARS LATER (Kaiser Family Foundatation)
MA州皆保険制度は、無保険者を大幅に減らすことには成功したとの評価が定着している。
ただし、大きな課題が2つ残されている。
  1. 医療費の抑制が効かない。MA州の一人あたり医療費は、全米平均よりも15%も高く、個人保険市場の保険料は、一人あたり平均$437/Mと、全米一の高負担となっている。これを抑制する方策が必要となっている(「Topics2012年5月15日 Spaghetti approach:MA州」参照)。

    ただし、MA州の5分の1の家庭は、医療関係の職についており、医療費抑制=所得の抑制という構図が色濃くなっているため、そう簡単に合意が得られない。

  2. 2014年から本格施行となるPPACAとMA州皆保険制度の調整問題である。MA州皆保険制度がPPACAの原型であったことは間違いないが、様々な面で差異が生まれている(上記source P.9)。今度は、MA州の方がPPACAに合わせなければならない面が多い。これを短期間にどうやって調整するかが課題となっている。
※ 参考テーマ「無保険者対策/MA州」、「無保険者対策/連邦レベル

5月21日 同性カップルの法的ステータス 
Source :State Domestic Partner and Same-sex Marriage Laws as of May 10, 2012 (Mercer)
従来から、各州における同性カップルの法的ステータスをまとめてきたが、上記sourceを参考に改めてみた。曖昧になっていたところがクリアになって、勉強になった。
同性カップルの法的ステータス
MarriageCivil UnionDomestic Partnership他州の法的ステータスの承認
施行日州 法州最高裁判決
Massachusetts2004.5.17A@Same-sex marriage
Connecticut2008.11.10A@Same-sex marriage
Iowa2009.4.24Same-sex marriage
Vermont2009.9.1Same-sex marriage
New Hampshire2010.1.1Same-sex marriage
Washington, D.C.2010.3.3○ (1992.6.11)Same-sex marriage
New York2011.7.24Same-sex marriage
Washington2012.6.72009.7.26〜2014.6.30:異性間は62歳以上のみ
2014.7.1〜:同性間、異性間とも62歳以上のみ
異性婚配偶者と同等権利賦与
Same-sex marriage
Maryland2013.1.1Same-sex marriage
California2008.6.17〜11.4○→×(→○)*○ (2005.1.1)
異性間は62歳以上のみ
異性婚配偶者と同等権利賦与
Domestic Partnershipとして認知
New Jersey○ (2007.2.19)(同性間のみ)
異性婚配偶者と同等権利賦与
○ (2004.7.10)
同性間、異性間とも62歳以上のみ
同性婚を含めて認知
Illinois○ (2011.6.1)
異性婚配偶者と同等権利賦与
同性婚を含めて認知
Rhode Island○ (2011.7.2)(同性間のみ)
異性婚配偶者と同等権利賦与
同性婚以外は認知
Hawaii○ (2012.1.1)
異性婚配偶者と同等権利賦与
同性婚以外は認知
Delaware○ (2012.1.1)(同性間のみ)
異性婚配偶者と同等権利賦与
同性婚を含めて認知
Maine○→×○ (2004.7.30)-
Oregon○ (2008.2.4)(同性間のみ)
異性婚配偶者と同等権利賦与
-
Wisconsin○ (2009.8.3)(同性間のみ)認知しない
Nevada○ (2009.10.1)
異性婚配偶者と同等権利賦与
同性婚以外は認知

* CA州最高裁判決○ → Proposition 8× → 連邦地方裁判所○ → 連邦第9控訴裁判所小法廷○
今後は、この表をリバイスしていくこととする。今回気付いた点をいくつか。
  1. 一般に、Civil Unionは、Marriageに準じた扱いをする形態と考えられる。一方、Domestic Partnershipは、配偶者としての権利が制限されているが一つの社会単位として認めようとしているようだ。

  2. 62歳以上には自由にDomestic Partnershipを認めようという考え方がいくつかの州で採用されている。


※ 参考テーマ「同性カップル