2月29日 Fordの年金リスク管理 
Source :Ford Announces Strategy to Reduce DB Plan Risk (PLANSPONSOR)
上記sourceによれば、FordのDBプランは、積立不足額が拡大している。2010年末時点での積立不足額は$11.5Bであったものが、2011年末時点では$15.4Bに膨れ上がった。これは金利低下を反映して、割引率が5.24%(2010年末)から4.64%(2011年末)に低下したことに伴うものである。

こうした事態を受けて、Fordは、DBプランのリスクを引き下げる方策を講じるという。 もちろん、こうしたことが可能になるのは、リストラが終了し、市場も回復していることから、業績が急回復しているからである。

※ 参考テーマ「DB/DCプラン

2月28日 Exchangeが進まない背景 
Source :Americans Divided on Repeal of 2010 Healthcare Law (Gallup)
今月24〜27日の日程で、全米知事会のwinter会合がDCで開催された。医療政策のセッションも設けられていたが、そこでは医療費抑制策について議論が行われた模様だ。

また、恒例の大統領との懇談会では、大統領が教育改革を訴えたとのことである。

当websiteとしては、もっと大事な議題があるのではないか、と思う。"Exchange"創設についてである。

しかし、州知事には民主党も共和党もいる中で、医療保険改革法の内容を議論するのは気まずい。また、大統領としても、20州が「個人の保険加入義務は憲法違反」と訴えている中で、真っ向から議論を吹っかける訳にもいかない。

そうしたワシントンでの大人の対応が、今回の全米知事会の物足りなさにつながったものと思われる。

何度も紹介している通り、"exchange"創設に向けての動きは遅々としている。州知事達も"wait-and-see"で対応することを決め込んでいる(New York Times)。連邦最高裁での判決ばかりでなく、大統領選の行方も視野に入れて、である。大統領選は11月なので、そこまで待っていれば、明らかに"exchange"のデッドラインに間に合わない。

そこまで州知事達が煮え切らない背景が、上記sourceの世論調査で少しわかったような気がする。

こうした空気を感じていれば、ここで積極的に動きたくない、との判断になるのも頷ける。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

2月27日 CA州保険料引き上げ申請 
Source :California health insurers to raise average rates 8% to 14% (Los Angeles Times)
CA州の保険会社が再び個人市場の保険料を大幅に引き上げたいと申請している。
保険会社保険料引き上げ率対象者数
Anthem9.6〜13.8%70万人
Kaiser Permanente平均9%30万人
Blue Shield平均7.9%26.5万人
平均8.9%5.6万人
CA州の保険料引き上げについては、医療保険改革法の最後の一押しを決定付けた経緯がある。今後、保険料引き上げ幅を巡って、CA州、HHS、Obama大統領と保険会社の論争が続いていくことであろう。

※ 参考テーマ「無保険者対策/CA州

2月26日 MD州:8番目の同性婚認可州に 
Source :Maryland Senate approves gay marriage bill (Los Angeles Times)
23日、Maryland州(MD)議会上院は、同性婚認可法案(HB 438)を可決した。MD州知事も、上下両院の可決を歓迎する声明名を公表しているため、MD州が8番目の同性婚認可州となるのは時間の問題である。(⇒3月1日に州知事署名、法案成立)

同性婚の法的ステータス
州 法州最高裁判決他州認可同性婚承認認可法案審議中異性婚同等権利賦与
MassachusettsA@
Vermont
ConnecticutA@
Iowa
New Hampshire
Washington, D.C.
New York
Washington
Maryland
California○→×(→○)*
Rhode Island
Illinois
New Jersey
Oregon
Nevada
Hawaii
Wisconsin
Delaware
Maine○→×

* CA州最高裁判決○ → Proposition 8× → 連邦地方裁判所○ → 連邦第9控訴裁判所小法廷○
ここで、州議会の投票結果を見ておく。
下 院(2/17)
賛成反対無投票
民主党7026
共和党241
合 計72672
上 院(2/23)
賛成反対無投票
民主党2410
共和党112
合 計2522
まだまだ民主党内でも反対が相当数いることがわかる。

※ 参考テーマ「同性カップル

2月25日 DOMAに違憲判決 
Source :Defense of Marriage Act ruled unconstitutional by judge (Los Angeles Times)
22日、San Franciscoの連邦地方裁判所で、DOMAは憲法違反、との判決が下された。

2008年に同性婚を認められたカップルが、連邦政府職員(女性)の配偶者(女性)にも、他の連邦政府職員の配偶者と同様のベネフィットを提供すべきと訴えていた。DOMAは、同性婚配偶者に同ベネフィットの提供を禁じている。

この判決が注目されているのは、昨年2月、連邦司法省が『今後、司法の場において、DOMA順守の立場で弁護することをやめる』と公言してから初の判決となったからだ(「Topics2011年2月24日(1) DOMA順守を放棄」参照)。

もう一つ、当websiteとして注目したい点がある。それは、同性婚を巡る動きの中で第9控訴裁判所が果たしている役割についてである。

実は、今回の事件を提訴している女性は、第9控訴裁判所の判事、Karen Golinski氏である。そして、判決が行われた地方裁判所はSFで、第9控訴裁判所の管轄内である。したがって、本件が仮に控訴されたとすると、第9控訴裁判所で判断することとなる。

これでは、保守の代表を自認するSantorum氏が、『第9控訴裁判所を廃止する』とキャンペーンを張るのも無理からぬ所がある(「Topics2012年2月9日 Santorumの政権公約」参照)


※ 参考テーマ「同性カップル

2月24日 PTOプログラム 
Sources :PTO vs. Traditional: Plusses and Pitfalls
The 4 Questions to Ask Before Changing to PTO (HR Daily Advisor)
"PTO"といっても、馴染みがない。英語名は、"Paid Time Off"で、アメリカ企業における休暇制度"体系"の一つである。

一般的にいって、アメリカ企業における休暇制度は、次のように分類できるそうだ。 日本の職場の休暇制度でも同じだが、こうした休暇制度はそれぞれで『年○日取得可能』となっていることが多い。これらを英語では"leave bank"と呼んでいる。

一方、冒頭のPTOプログラムは、こうした個別休暇制度を統合して、一つの休暇制度としてしまったものを指している。これにより、経営者は、 といったメリットを享受できる。

ただし、一つ問題が発生する。休暇を使い残して退職する場合、その分を現金で給付することを求めている州法が存在する。そうなると、多少退職時のコストが発生することにはなる。

もう一つ、既存の旧式の休暇制度からPTOプログラムに移行する際の注意事項が述べられている。
  1. 使い残している休暇日数に影響を与えないか?
  2. 従業員が労組との間の労働協約の対象になっているか?
  3. 休暇制度が就業規則(Handbook)にどのように記載されているか?
  4. 休暇制度がERISAの対象になるか?
まとめていて感じたのは、このPTOプログラムはWLBのための一つのツールなのかもしれない。

※ 参考テーマ「ベネフィット」、「Flexible Work

2月23日 医療費の急騰 
Source :US Healthcare Costs Grew 5.28% in 2011 (HealthLeaders Media)
一人あたり診療費の急騰が続いている。上記sourceで示された調査結果は次の通り。
S & PB L S
総  合民間保険プランMedicareCPI (コアコア)
2011年11月
(前年同月比)
4.85%6.63%2.15%2.2%
2011年12月
(前年同月比)
5.28%7.11%2.51%2.2%
明らかに物価上昇率を超えた伸びを示している。また、調査者は、決して保険会社のせいで上昇しているのではなく、診療機関に支払う診療費そのものが上昇しているということを断言している。

一体、アメリカ国民はどこまでこの医療費高騰に耐えられるのだろうか。

※ 参考テーマ「医療保険プラン

2月21日 MLR特例審査終了 
Source :Medical Loss Ratio (CCIIO)
2月16日、HHSは、North Carolina州、Wisconsin州から出ていたMLR特例申請について、判定を下した。NC州について、2011年については75%を認めたものの、2012年以降は80%の適用を決定。Wisconsin州については、特例申請を却下した。
州・地域申請内容HHS決定
2011年2012年2013年2011年2012年2013年
Maine 65%65%65%65%65%65%
New Hampshire 70%70%70%72%75%80%
Nevada 72%--75%--
Kentucky 65%70%75%75%80%
Florida 保険会社65%
HMO 70%
保険会社65%
HMO 70%
保険会社65%
HMO 70%
80%(特例申請却下)
Georgia 65%70%75%80%(特例申請却下)
North Dakota 65%70%75%80%(特例申請却下)
Iowa 60%70%75%67%75%80%
Louisiana 70%75%-80%(特例申請却下)
Guam 65%65%65%80%(特例申請却下)
Kansas 70%73%76%80%(特例申請却下)
Delaware 65%70%75%80%(特例申請却下)
Indiana 65%68.75%72.5%80%(特例申請却下)
2014年:76.25% 2015年:80%-
Michigan 65%70%75%80%(特例申請却下)
Texas 71%74%77%80%(特例申請却下)
Oklahoma 65%70%75%80%(特例申請却下)
North Carolina 72%74%76%75%80%
Wisconsin 71%74%77%80%(特例申請却下)
結局、18州・地域が特例申請を行い、何らかの特例が認められたのは6州、最終的に特例の継続が認められているのは2州だけである。その他は、すべて2013年までに通常の80%に引き上げることを求められることになる。

これが、医療保険改革法の施行、無保険者対策にどのような影響をもたらすのか、充分に注意して見守っていきたい。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル