Source : | Federal court blocks parts of Alabama immigration law (Los Angeles Times) |
AL州移民法に関し、連邦司法省が第11控訴裁判所に対し、最終判決が出るまで執行停止を求めていた。この提訴に対し、第11控訴裁判所は、AL州移民法の一部執行停止を命じた。
一部執行停止といっても、不法移民にとっての厳しさはあまり変わらない。
- 執行停止を命じられた事項
- 公立学校で不法移民ではないかどうか、法的地位を確認する
- 執行停止を命じられなかった事項
- 警察官が職務質問で法的地位の確認を求めることができる
- 不法移民が州政府と業務契約しようとした不法移民を重罪に処することができる。そこには運転免許、事業免許の申請も含まれる
- 不法移民との契約は全て無効にできる
風説では、AL州から13万人が脱出したと言われている。果たして彼らはどこに向かったのか。まさか故郷の中南米ではあるまい。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」
Source : | How Competitive Are State Health Insurance Markets? (Kaiser Family Foundation) |
上記sourceは、2010年における各州の個人・小規模グループの保険市場の自由度を調査したものである。オリジナルはここ。
概要は次の通り。
- 個人保険市場
- 一社で50%以上のシェアを保有している ⇒ 30州+D.C.
- 各州で最大シェアを保有する保険会社のシェア中位数 ⇒ 54%
- 最大シェアが比較的小さい州 ⇒ Wisconsin, Colorado, Missouri, Pennsylvania, New York(21〜34%)
- 最大シェアが大きな州(独占的) ⇒ Alabama (86%), Indiana (84%)
- 5%以上のシェアを有する保険会社の数
⇒ 7社:Colorado, Georgia, Oregon
2社:11州
1社:North Carolina- 小規模グループ保険市場
- 一社で50%以上のシェアを保有している ⇒ 26州+D.C.
- 各州で最大シェアを保有する保険会社のシェア中位数 ⇒ 51%
- 最大シェアが比較的小さい州 ⇒ Oregon, Pennsylvania, Arizona(30%未満)
- 最大シェアが大きな州(独占的) ⇒ Mississippi, North Dakota, Louisiana, Alabama(80%以上)
ざっとみたところ、競争的な州の代表はPennsylvania、独占的な州の代表はAlabamaということになりそうだ。両州の医療保険関係のデータをここで見てみるとこんな具合になる。不思議なことに、両州の間で保険料に大きな差がみられない。むしろ、独占的とみられるAlabama州の方が若干安いのである。市場の自由度と保険料にはあまり相関関係はないのだろうか。もう少し詳しい分析が必要かもしれない。
項 目 Pennsylvania Alabama 無保険者割合 11% 17% 全米順位 10位 37位 Medicaid加入者一人当たり支出 10位 49位 民間保険加入率 12位 35位 小規模グループ保険料(個人) $4,596 $4,236 小規模グループ保険料(家族) $12,060 $11,136
※ 参考テーマ「医療保険プラン」
11日、Obama大統領の雇用拡大戦略と財源確保・財政赤字削減策について、連邦議会上院で審議を進めるかどうかの投票を行う予定という。上記sourceでは、仮に上院民主党議員が全員審議進行に賛成投票をしたとしても、法案内容そのものに全員が賛成することにはならないだろうとの見通しを示している。
民主党議員にとっては、賛成するのも地獄、反対するのも地獄、という構図らしい。賛成しても、下院で否決される可能性が高く、人気が低迷しているObama大統領に味方しているというレッテルを貼られてしまう(世論調査)。反対すれば、Obama大統領に弓を引くことになる。
そうした中で、上院民主党は、Obama大統領提案に修正を加えた。財源確保策の一部として、大統領は、を提案していた。上院民主党は、これらの項目を下ろして、代わりに富裕層に対して5.6%の付加税(surtax)を課すという項目を入れた。
- 石油・天然ガス産業に対する補助金の廃止
- 年間所得$250,000以上の層に対する所得控除の制限
これにより、一部の民主党上院議員は賛成に回る意向を示しているようだが、それでも全員が参加することにはなりそうもない。反対している民主党上院議員達は、といった政策的な疑問が解決されていないことを理由に挙げている。
- 年金保険税の一部免除は公的年金制度の持続可能性を阻害する
- 長期失業者の雇用へのインセンティブ(税額控除)は役に立たない
(どこかの国と同じく)まずは民主党内での一致結束が得られるかどうかが最大の課題となっている。
☆ ☆ ☆
ここまで書いたところで、11日、連邦議会上院で、American Jobs Act of 2011(S.1660)の議事進行動議に対する投票が行われ、結局、支持は得られなかった。問題は、上院民主党の中での一致結束が得られていないことである()。
賛成 反対 無投票 民主党 48 3 - 共和党 0 46 1 独 立 2 - - 合 計 50 49 1 こうした事態を受け、White House、議会民主党は、法案から個別事項を一つ一つ抜き出して法案化することを検討している。その際、トップバッターになりそうなのが、
- 反対票を投じた民主党上院議員
- Jon Tester:法案は財政規模が大き過ぎる。もっと長期的な解決策が必要。公的年金財政が悪化する。雇用促進税制は効果が薄い。
- Ben Nelson:(彼は何かとReid院内総務に反抗。選挙基盤も弱い。)
- Harry Reid:(法案の提案者であり、当初は賛成票を投じたが、将来、再審議を可能とするために、反対にスイッチ。)
- 賛成票を投じたが内容には反対している民主党上院議員
- Jim Webb:通常の勤労所得への課税強化をすべきではない。キャピタルゲイン課税強化や補助金削減で対応すべき。
- Joe Manchin V:もっと雇用創出に焦点を当て、財政責任を明確にするような修正がない限り、最終的に反対する。
- Joe Lieberman (I):共和党議員の賛成が不可欠。
と報じられている。共和党も反対しにくいだろうから、という理由である。
- 特別失業給付の延長
- 公的年金保険料従業員負担分の一部免除の継続
現在、Social Security Taxの従業員負担分は、6.2%から2%ポイント引き下げられ、4.2%となっている。これは今年12月で期限切れとなる。Obama大統領提案では、2012年にこれをさらに引き下げて、3.1%とすることを提案していた。
雇用課税という側面は弱まり、雇用促進の効果はあるとは思われるが、一方で、年金財政のさらなる悪化、給付と負担のバランスの悪化が懸念される。その場合、将来の給付は確実に低下することになり、この点を民主党はどう説明するのか、興味深いところである。
※ 参考テーマ「労働市場」、「公的年金改革」
Source : | Alabama's immigration law prompts alarm (Los Angeles Times) A tough new Alabama law targets illegal immigrants and sends families fleeing (Washington Post) |
連邦地方裁で合法との判決が出て、いよいよ全米中で最も厳しい不法移民対策法が執行されることとなり、AL州のヒスパニック社会、企業はパニックに近い状況となっている模様だ(「Topics2011年9月30日 AL州移民法:連邦地裁でも勝訴」参照)。
これに対し、10月7日、連邦司法省は、AL州の不法移民対策法について、第11控訴裁判所で判決を下すまで法の執行を停止するよう控訴を起こした。
結論が出るまで混乱は続きそうである。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」