11月10日 医療保険改革法施行への影響 
Source :New GOP governors will affect health law (Washington Post)
やはり、地方選における共和党の圧勝は、医療保険改革法の施行に影響を及ぼしそうである。もちろん、完全に施行を止められる訳ではないが、改革法の執行は、州政府に依存する部分が多いためである。上記sourceでは、影響を受けそうな事項について、説明している。 当websiteではお馴染みの項目が並んでいる。おそらく、Obama大統領、HHS長官にとっては、連邦議会での法案審議以上に神経を使う2年間が続くものと思われる。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

11月9日 Full-time vs. Part-time 
Source :Shifting Full-time Employees to Part-time (National Federation of Independent Business)
アメリカでは、フルタイマーからパートタイマーへのシフトがちょくちょく行われているらしい。上記sourceでは、その際のメリットとリスクを紹介している。 眺めていて気付いたのだけれど、本人の同意は不要なのかしら?

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

11月8日 州政府財政赤字削減策のオプション 
Source :State Republicans, Facing Deficits, Promise Big Cuts (New York Times)
州知事・州議会の選挙においても共和党が圧勝したことは紹介した(「Topics2010年11月5日(1) 地方選も共和党圧勝」参照)。これが、今後の州政府の赤字削減に向けてどのような政策を打ってくるのか。上記sourceは、そのオプションについて報じている。

基本は、税率引き上げは行わず、小さな政府を目指す、というものである。
  1. 連邦政府が推進しようとしている鉄道網整備を拒否

  2. 州政府職員の給与・ベネフィット削減

  3. 州政府所有財産の売却

  4. 州政府職員のレイオフ

  5. 州政府サービスの民営化

  6. 失業手当の縮減

  7. 中絶、同性婚、不法移民の制約強化

  8. 医療保険改革法の施行遅延(訴訟への追加参加、Medicaid拡大・"Exchange"創設への抵抗)

  9. セーフティ・ネットの大幅縮減(フードスタンプ、Medicaid等の対象者限定)
連邦政府と州政府の役割分担・権限争いも含め、大きな政策論争が巻き起こりそうな予感がする。

※ 参考テーマ「中間選挙(2010年)

11月5日(1) 地方選も共和党圧勝 
Source :Republicans Make Historic Gains (NCSL)
上記sourceに基づき、州知事、州議会の掌握状況と、ゲリマンダーリングの可能性についてまとめてみた(比較表)。これと中間選挙前の状況とを比較すると、民主・共和の勢力図が全く逆転している。

もう一つ特徴的なことは、知事・議会とも同一政党がコントロールする州が増えている点である。Obama大統領は党派を超えて一つのアメリカを主張していたが、その結果がこうした形でより党派色の強い地方政治の構図ができあがってしまったことは、皮肉としか言いようがない。

センサスに基づく選挙区割りは、こうした勢力図のもとで行われ、今後10年間の投票基盤となる。

※ 参考テーマ「中間選挙(2010年)

11月5日(2) Iowa州最高裁判事を否認 
Source :In Iowa, Voters Oust Judges Over Marriage Issue (New York Times)
中間選挙と同時に、Iowa州では州最高裁判事に関する認否投票が行われた。結果、投票にかけられた3人とも継続否認という結果となった。Iowa州では、継続賛成票が反対票を上回りさえすれば、さらに8年間の任期延長となる。しかし、今回、Iowa州で初めてとなる否認という結果となった。

なぜこの結果が注目されているかというと、同性婚を認めた判事に対する審判という意味合いがあったからだ。しかも、反対キャンペーンの資金は、ほとんどが州外の同性婚反対団体からのものだったという。

もちろん、これにより『同性婚を認めない州法は州憲法に違反する』という判決が覆るわけではない。まして、当時の判決は7対0であり、まだ4人の判事は残っている。

しかし、反対派は他州や連邦最高裁への影響力を目論んでいるそうだ。上記sourceによれば、州議会で同性婚を認めたのは3州であり、州裁判所が認めたのは4州になるという。そうした他州の動きを牽制したいというのが目的である。

同性婚の法的ステータス
州法州最高裁判決他州認可同性婚承認認可法案審議中異性婚同等権利賦与
MassachusettsA@
Vermont
ConnecticutA@
Iowa
New Hampshire
Washington, D.C.
California○→×(→○)*
Rhode Island
New York
Maryland
New Jersey
Oregon
Wasington
Nevada
Hawaii
Wisconsin
Maine○→×

* CA州最高裁判決○ → Proposition 8× → 連邦地方裁判所○ → 第9控訴裁判所で審議中
確かに、この表を見ると、州裁判所がリードしている場合が目立つ。ただし、Iowa州の場合、州裁判所の判決だけで同性婚を認めており、州議会による立法措置が採られていない。そうした意味では、州裁判所の判決に疑義が呈されることによる影響は大きいと思われる。

同性婚を巡る州レベルでの戦いは延々と続く様相である。

※ 参考テーマ「同性カップル

11月4日 中間選挙結果 
Source :Election Results (New York Times)
連邦議会下院は共和党が60議席を奪い返しての圧勝、上院も民主党が6議席を失い、2議席だけ過半数を上回る状況となった(日本時間4日20時30分時点)。これで、シングル・イシューに偏りがちであったリベラル派は、ますますObama大統領から離れていくであろう。

一方、州知事選でも、9州でひっくり返り、共和党が過半数を占めるに至った。医療保険改革法にも影響を及ぼすことになるかもしれない。当然、ゲリマンダーリングにも(「Topics2010年9月29日 ゲリマンダーリング6例」参照)。これについては、州議会の結果も踏まえて改めてまとめることとする(「Topics2010年9月11日 州議会の戦い」参照)。

また、当websiteとしては注目していた、医療保険加入義務化反対案に関する州民投票は、
AZ州
CO州×
OK州
と2対1の結果であった(「Topics2010年11月2日(1) 州レベルでの反対運動:保険加入義務」参照)。

こうした状況の中で医療保険改革法の施行がどれだけ順調に進んでいくのか、しばらく様子を見なければならない。

※ 参考テーマ「中間選挙(2010年)

11月3日 公的年金給付抑制策の効果 
Source :Analysis Reveals Proposals to "Save" Social Security Result in Deep Cuts in Retirement Income for Middle Class Seniors (Committee on Ways and Means, The House of Representatives)
上記sourceでは、公的年金の持続可能性を探るため、給付抑制のための方策について、その効果を検証している。検証されているのは次の3つ。
  1. 中高所得者層に物価スライドを適用しない
  2. 受給開始年齢を引き上げる
  3. COLA適用フォーミュラを勤労世帯の消費者物価指数に変更する
いずれにしても、給付抑制策は、極めて不評な政策である(New York Times)。Obama大統領、連邦議会にどこまで覚悟ができているのか。

※ 参考テーマ「公的年金改革

11月2日(1) 州レベルでの反対運動:保険加入義務 
Source :3 States To Vote On Health Insurance Mandate (Kaiser Health News)
医療保険改革法における個人の保険加入義務に対して、州レベルでの反発は根強いものがある。これまでの動きも踏まえると、主に3通りの反発の仕方があるようだ。
  1. 連邦裁判所に対する提訴(憲法違反)

    「Topics2010年9月25日 医療保険改革に対する州政府の反発」参照

  2. 州民投票

    MO州(「Topics2010年8月5日(1) MO州:個人保険加入義務にノー」参照)、AZ州、CO州、OK州(中間選挙時)

  3. 州法

    GA州、ID州、LA州、VA州など
上記2、3はわかりやすいが、可決したところで実際にはどうするんだ、という問題がどうしても残る。やはり、決着は、1で最高裁まで行くしかなかろう。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル

11月2日(2) GMの現金拠出 
Source :GM Announces Actions to Reduce Leverage by $11 Billion (Press Release)
GMが活力を取り戻しつつあるようだ。上記sourceで示された負債削減案では、 ことが盛り込まれている。

一方、今月18日にもGMが再上場する予定、との報道も出ている。普通の企業に向かって動き出しているようである。

※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11」、「DB/DCプラン

11月1日 8つの事実:NY州年金プラン 
Source :8 Things New Yorkers should Know about Public Retirement Benefits in New York State (Citizens Budget Commission)
NY州自治体の退職者医療プランが多額の給付債務を抱えていることは紹介した(「Topics2010年10月15日 NY州の退職者医療給付債務」参照)。同様に、年金プランも改革の必要性が指摘されている。

上記sourceでは、NY州の年金プランに関する情報を確認している。8つの事実とは、次の通り。
  1. 加入者は150万人、うち受給者は50万に以上
  2. NY州自治体と職員の拠出割合は、7対1
  3. 新規退職者の平均受給額は、$33,270
  4. 最終平均給与に時間外が含まれている
  5. 退職者の44%が60歳未満
  6. わずかな保険料負担で退職者医療プランに加入
  7. 年金プランへの拠出金は年間$1.5B。2014年には$2Bの見込み
  8. 一部の職員にはDCプランを提供
改革はなかなか厳しい状況にある。

※ 参考テーマ「地方政府年金