Source : | New GOP governors will affect health law (Washington Post) |
やはり、地方選における共和党の圧勝は、医療保険改革法の施行に影響を及ぼしそうである。もちろん、完全に施行を止められる訳ではないが、改革法の執行は、州政府に依存する部分が多いためである。上記sourceでは、影響を受けそうな事項について、説明している。当websiteではお馴染みの項目が並んでいる。おそらく、Obama大統領、HHS長官にとっては、連邦議会での法案審議以上に神経を使う2年間が続くものと思われる。
- "Exchange"
- "Exchange"で提供される保険プランの給付内容
- Medicaidの拡充
- 個人加入義務規定に対する訴訟
- 不当な保険料引き上げの抑止
- "MLR"の適用(保険会社の撤退が多ければ適用除外を申請できる)
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | Shifting Full-time Employees to Part-time (National Federation of Independent Business) |
アメリカでは、フルタイマーからパートタイマーへのシフトがちょくちょく行われているらしい。上記sourceでは、その際のメリットとリスクを紹介している。眺めていて気付いたのだけれど、本人の同意は不要なのかしら?
- メリット
- 季節的な繁閑に合わせて雇用できる
- 雇用にまつわるコストの節約ができる
- 従業員に働き方の多様性を提供できる
- リスク
- 必要な時に人員を確保できない
- 週40時間以上働けば、超過勤務手当が必要となる
- 年間1,000時間以上働けば、年金プラン加入資格を与えなければならない
- 40歳以上、女性というように、グループごとパートタイマーにすると、差別的行為と見做されかねない
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」
Source : | State Republicans, Facing Deficits, Promise Big Cuts (New York Times) |
州知事・州議会の選挙においても共和党が圧勝したことは紹介した(「Topics2010年11月5日(1) 地方選も共和党圧勝」参照)。これが、今後の州政府の赤字削減に向けてどのような政策を打ってくるのか。上記sourceは、そのオプションについて報じている。
基本は、税率引き上げは行わず、小さな政府を目指す、というものである。連邦政府と州政府の役割分担・権限争いも含め、大きな政策論争が巻き起こりそうな予感がする。
- 連邦政府が推進しようとしている鉄道網整備を拒否
- 州政府職員の給与・ベネフィット削減
- 州政府所有財産の売却
- 州政府職員のレイオフ
- 州政府サービスの民営化
- 失業手当の縮減
- 中絶、同性婚、不法移民の制約強化
- 医療保険改革法の施行遅延(訴訟への追加参加、Medicaid拡大・"Exchange"創設への抵抗)
- セーフティ・ネットの大幅縮減(フードスタンプ、Medicaid等の対象者限定)
※ 参考テーマ「中間選挙(2010年)」
Source : | Republicans Make Historic Gains (NCSL) |
上記sourceに基づき、州知事、州議会の掌握状況と、ゲリマンダーリングの可能性についてまとめてみた(比較表)。これと中間選挙前の状況とを比較すると、民主・共和の勢力図が全く逆転している。
もう一つ特徴的なことは、知事・議会とも同一政党がコントロールする州が増えている点である。Obama大統領は党派を超えて一つのアメリカを主張していたが、その結果がこうした形でより党派色の強い地方政治の構図ができあがってしまったことは、皮肉としか言いようがない。
センサスに基づく選挙区割りは、こうした勢力図のもとで行われ、今後10年間の投票基盤となる。
※ 参考テーマ「中間選挙(2010年)」
Source : | In Iowa, Voters Oust Judges Over Marriage Issue (New York Times) |
中間選挙と同時に、Iowa州では州最高裁判事に関する認否投票が行われた。結果、投票にかけられた3人とも継続否認という結果となった。Iowa州では、継続賛成票が反対票を上回りさえすれば、さらに8年間の任期延長となる。しかし、今回、Iowa州で初めてとなる否認という結果となった。
なぜこの結果が注目されているかというと、同性婚を認めた判事に対する審判という意味合いがあったからだ。しかも、反対キャンペーンの資金は、ほとんどが州外の同性婚反対団体からのものだったという。
もちろん、これにより『同性婚を認めない州法は州憲法に違反する』という判決が覆るわけではない。まして、当時の判決は7対0であり、まだ4人の判事は残っている。
しかし、反対派は他州や連邦最高裁への影響力を目論んでいるそうだ。上記sourceによれば、州議会で同性婚を認めたのは3州であり、州裁判所が認めたのは4州になるという。そうした他州の動きを牽制したいというのが目的である。
確かに、この表を見ると、州裁判所がリードしている場合が目立つ。ただし、Iowa州の場合、州裁判所の判決だけで同性婚を認めており、州議会による立法措置が採られていない。そうした意味では、州裁判所の判決に疑義が呈されることによる影響は大きいと思われる。
州 同性婚の法的ステータス 州法 州最高裁判決 他州認可同性婚承認 認可法案審議中 異性婚同等権利賦与 Massachusetts A @ Vermont ○ Connecticut A @ Iowa ○ New Hampshire ○ Washington, D.C. ○ ○ California ○→×(→○)* ○ Rhode Island ○ ○ New York ○ Maryland ○ ○ New Jersey ○ ○ Oregon ○ Wasington ○ Nevada ○ Hawaii ○ Wisconsin ○ Maine ○→× △
* CA州最高裁判決○ → Proposition 8× → 連邦地方裁判所○ → 第9控訴裁判所で審議中
同性婚を巡る州レベルでの戦いは延々と続く様相である。
※ 参考テーマ「同性カップル」
Source : | Election Results (New York Times) |
連邦議会下院は共和党が60議席を奪い返しての圧勝、上院も民主党が6議席を失い、2議席だけ過半数を上回る状況となった(日本時間4日20時30分時点)。これで、シングル・イシューに偏りがちであったリベラル派は、ますますObama大統領から離れていくであろう。
一方、州知事選でも、9州でひっくり返り、共和党が過半数を占めるに至った。医療保険改革法にも影響を及ぼすことになるかもしれない。当然、ゲリマンダーリングにも(「Topics2010年9月29日 ゲリマンダーリング6例」参照)。これについては、州議会の結果も踏まえて改めてまとめることとする(「Topics2010年9月11日 州議会の戦い」参照)。
また、当websiteとしては注目していた、医療保険加入義務化反対案に関する州民投票は、と2対1の結果であった(「Topics2010年11月2日(1) 州レベルでの反対運動:保険加入義務」参照)。
AZ州 ○ CO州 × OK州 ○
こうした状況の中で医療保険改革法の施行がどれだけ順調に進んでいくのか、しばらく様子を見なければならない。
※ 参考テーマ「中間選挙(2010年)」
Source : | Analysis Reveals Proposals to "Save" Social Security Result in Deep Cuts in Retirement Income for Middle Class Seniors (Committee on Ways and Means, The House of Representatives) |
上記sourceでは、公的年金の持続可能性を探るため、給付抑制のための方策について、その効果を検証している。検証されているのは次の3つ。いずれにしても、給付抑制策は、極めて不評な政策である(New York Times)。Obama大統領、連邦議会にどこまで覚悟ができているのか。
- 中高所得者層に物価スライドを適用しない
- 受給開始年齢を引き上げる
- COLA適用フォーミュラを勤労世帯の消費者物価指数に変更する
※ 参考テーマ「公的年金改革」
Source : | 3 States To Vote On Health Insurance Mandate (Kaiser Health News) |
医療保険改革法における個人の保険加入義務に対して、州レベルでの反発は根強いものがある。これまでの動きも踏まえると、主に3通りの反発の仕方があるようだ。上記2、3はわかりやすいが、可決したところで実際にはどうするんだ、という問題がどうしても残る。やはり、決着は、1で最高裁まで行くしかなかろう。
- 連邦裁判所に対する提訴(憲法違反)
「Topics2010年9月25日 医療保険改革に対する州政府の反発」参照
- 州民投票
MO州(「Topics2010年8月5日(1) MO州:個人保険加入義務にノー」参照)、AZ州、CO州、OK州(中間選挙時)
- 州法
GA州、ID州、LA州、VA州など
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル」
Source : | GM Announces Actions to Reduce Leverage by $11 Billion (Press Release) |
GMが活力を取り戻しつつあるようだ。上記sourceで示された負債削減案では、ことが盛り込まれている。
- VEBAに対して拠出している債券のうち、$2.8Bを償還する
- 年金プランに対して、最低$4Bの現金、$2BのGM普通株を拠出する
一方、今月18日にもGMが再上場する予定、との報道も出ている。普通の企業に向かって動き出しているようである。
※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11」、「DB/DCプラン」
Source : | 8 Things New Yorkers should Know about Public Retirement Benefits in New York State (Citizens Budget Commission) |
NY州自治体の退職者医療プランが多額の給付債務を抱えていることは紹介した(「Topics2010年10月15日 NY州の退職者医療給付債務」参照)。同様に、年金プランも改革の必要性が指摘されている。
上記sourceでは、NY州の年金プランに関する情報を確認している。8つの事実とは、次の通り。改革はなかなか厳しい状況にある。
- 加入者は150万人、うち受給者は50万に以上
- NY州自治体と職員の拠出割合は、7対1
- 新規退職者の平均受給額は、$33,270
- 最終平均給与に時間外が含まれている
- 退職者の44%が60歳未満
- わずかな保険料負担で退職者医療プランに加入
- 年金プランへの拠出金は年間$1.5B。2014年には$2Bの見込み
- 一部の職員にはDCプランを提供
※ 参考テーマ「地方政府年金」