7月16日 VEBA@GMに黄信号 Source : GM To Bolster Liquidity By $15 Billion Through 2009 (GM Press Release)

厳しい状況に陥っているGM「Topics2008年7月3日 SPLから雇用喪失へ」参照)が、さらなるリストラ計画を公表した。当websiteとしての関心事項は次の通り。
  1. ホワイトカラー従業員数をさらに削減する。

  2. ホワイトカラー退職者の医療保険プランは、2009年1月1日をもって65歳で打ち切る。打ち切りとなった65歳以上のホワイトカラー退職者に対しては、Medicare保険料等を支援するため、積立超過となっている年金プランから補助金を支給する。金額は月額$300と見込まれている(New York Times)。

  3. 2008〜2009年は、ホワイトカラー従業員に関する報酬改善は行わない。

  4. UAWとの間で設立するVEBAについて、2008、2009年の2年間で準備資金として$1.7Bを拠出する予定にしていたが、この拠出を延期する。(「Topics2007年10月17日 VEBAの概要」参照)
このように、VEBAの設立は2010年が予定されているが、その準備期間にあたる2年間の拠出が延期されてしまった。また、拠出金の形態には株式によるものも含まれている。VEBA設立妥結時に較べると株価は4分の1になっており、この面でもキャッシュのやり繰りが必要となっている。

本当にVEBAを設立してレガシーコストを回避することができるようになるのか、極めて不透明な状況になってきた。

最後に、GM、Fordの株価動向は次の通り。 ⇒ GM  Ford


7月15日 火中の栗を拾うMcCain Source : McCain takes a Social Security risk (Los Angeles Times)

McCain上院議員が、公的年金の一部民営化に触れたようである。

ことの発端は、7月7日に開催されたDenverにおける市民集会である。若い女性から「公的年金を我々世代にとって魅力あるものにするためにはどうすればよいか」との質問を受け、McCain上院議員は次のように答えた。
"We are paying present-day retirees with the taxes paid by young workers in America today," he said. "And that's a disgrace. It's an absolute disgrace, and it's got to be fixed."
"Be a disgrace"を引くと次のようになっている。
"used to say that something or someone is so bad or unacceptable that the people involved with them should feel ashamed"
賦課方式になっているので恥ずべき制度だ、と呼んでいるのである。さらに、CNNに対して、個人勘定の創設を支持する旨を発言している。

公式websiteにおいて、McCain上院議員は、
"John McCain supports supplementing the current Social Security system with personal accounts"
と、従来の公的年金の上乗せとしての個人勘定を提案している。

しかし、McCain上院議員の本音は、Bush大統領と同様(「Topics2004年10月13日(1) 公的年金の改革論議」参照)、現在の公的年金の一部を個人勘定に振り向ける案なのである。

このMcCain上院議員の発言に対して、民主党、AARPなどの団体は、こぞって集中砲火を浴びせようとしている。「高齢者の敵である」と。

敢えて本音を語って火中の栗を拾う形となったMcCain上院議員だが、この難局をどう乗り切るのだろうか。

7月14日 一転して友好的M&A成立 Source : InBev and Anheuser-Busch Agree to Combine (Press Release)

敵対的買収劇として紹介したInBevAnheuser-Buschに対する買収提案だったが、一転して友好的M&Aとして成立したそうだ(「Topics2008年7月2日 買収防衛のためのベネフィット削減」参照)。

決め手は、買収条件が$65から$70に引き上げられたことだろう。足許の株価を見れば当然か。

上記のPress Releaseでは、ベネフィット関係の削減を含む、Blue Ocean計画と名付けられたコスト削減策の行方については触れられていない。