3月20日 Whistle-blowerがInsider取引 Source : Whistle-Blower Shifts Focus of Enron Trial (Washington Post)

Sherron Watkinsといえば、Enron事件で、Lay会長に不正経理を直接訴えていたということで、有名になった。当websoteでも紹介したことがある(「Topics2002年7月25日(2) Whistle-Blowers」参照)。

上記sourceによれば、その後、Watkins氏は、Time紙の2002年"persons of year"に選ばれたり、著作・講演活動に精を出すなど、本業である会計士としての仕事はあまり行っていないようだ。まあ、1回の講演で$30,000も稼げるのであれば、それも仕方ないだろう。

まさにヒロイン的な扱いをされているWatkins氏だが、15日に開かれたEnron事件の法廷で、インサイダー取引を行っていたことを認めた。幹部に対して問題指摘をしている同時期に、Enron株$47,000相当を売り抜けていたということである。これがインサイダー取引として告発するかどうか、司法当局は明らかにしていないものの、問題があることは間違いない。内部告発のヒロインも、自分の資産を守るためにインサイダー取引に手を染めていたのである。

日本でも、「公益通報者保護法」が、4月から施行になる。ヒーロー、ヒロイン気取りの欲張りが、同法を悪用しないことを願うばかりである。

3月16日 皆保険からWal-Mart法案へ Source : 2006 Bills on Universal Health Care Coverage (NCSL)

上記sourceによれば、現在、7つの州で、法案レベルで州民皆保険を検討中とのことである。さらに、州民皆保険の可能性を調査研究中としている州が7つある。

このリンクを遡っていくと、法案レベルで検討していたのは、2005年で18州、2003/2004年はゼロ。つまり、昨年、州民皆保険法案の議論が最も盛んに議論され、今年は既に下火になりつつあるということになる。それに代わって、検討が盛んになっているのが、Wal-Mart法案ということになる。皆保険はどうも可能性が低いので、大企業から強制的カバーを増やしていこう、という流れのようである。

ちなみに、ミネソタ州議会でWal-Mart法案が議論され、上院委員会では可決されたものの、下院委員会では否決されたそうだ(Kaisernetwork)。メリーランド州で成立した後、大きなうねりにはなっていない(NCSLまとめ)。

思うように流れを作れないで業を煮やしたAFL-CIOは、各州でいかにWal-Mart従業員及びその家族が公的医療保障制度に依存しているかというレポートをまとめて公表している。そこでは、CEOの報酬額や、創業者一族の資産総額なども掲載して、何とかWal-Martを悪者にしようと躍起になっている。

産業界のキャンペーン(「Topics2006年2月14日 Wal-Mart法案を巡る法廷闘争」参照)が功を奏すのか、AFL-CIOなどの反撃が有効となるのか、判定には暫く時間がかかるだろう。

3月14日 FASB新ルールのインパクト(2) Source : Marking to Market: A Second Look (Watson Wyatt - Insider)

今度は、Fortune 1000へのインパクトを推計した資料が公表された。年金、医療ともに合計した株価への影響は、▲9.54%となっており、以前当websiteに掲載した結果とほぼ同様である(「Topics2006年1月31日 FASB新ルールのインパクト」参照)。

しかし、上記レポートでは、こうした影響があるからといって確定給付プランを凍結しても、投資家から歓迎されるとは限らない、と指摘している。
  1. 既に投資家サイドでインパクトを織り込み済みなのであれば、これほど大きな株価下落は生じない。
  2. 年金プランを凍結しても、その効果は長期間にわたるものであり、即効があるわけではない。
  3. 年金プランが競争力の維持に貢献している限り、投資家はプラン凍結を歓迎しない。
最後の3点目は、大変重要な指摘だと思う。

3月13日 両院協議会成立 Source : HR 2830 All Congress Action (The Library of Congress THOMAS)

年金改革法案に関する両院協議会が、漸く成立した。上院は3月3日、下院は3月8日の指名であった。 Confereesのリストは、次の通り。

 
共和党
民主党
上 院GrassleyHatchLottSnoweSantorumEnziGreggDeWineIsaksonBaucusRockefellerConradBingamanKennedyHarkinMikulski
下 院McKeonJohnsonKlineTiberiThomasCampMillerPayneAndrewsRangel


上院の方が、議員数は少ないのに、両院協議会メンバーは多いんだな、というのが素直な感想である。

それにしても、昨年両院で法案が可決されてから、既に2ヶ月以上経過している。しかも、両院とも、ここだけは譲れない、という主張が明確に示されている(上記source参照)。本当に、成立にまでこぎつける事ができるのだろうか。

最後に、かなり詳細ではあるが、両院税制委員会による法案比較を掲載しておく。





3月12日 HP離職手当を訴え Source : Hewlett-Packard Shareholders Sue over CEO Severance (Plansponsor)

HPの株式を所有する、4つの年金基金が、「HPが前CEOフィオリーナに支払った離職手当ては規定違反であり、規定を上回った分は返還すべき」として、提訴した。

HPがフィオリーナに支払った離職手当ては、 と、総額$42Mとなる。

当websiteでは、フィオリーナの離職手当てを$21Mと伝えていた(「Topics2005年2月10日 HPのCEO解任」参照)が、上記の通り、現金分だけだったことがわかる。実際には、株と年金が追加されていたようだ。

ところで、年金基金の訴えによると、2003年のHPの規定で、離職手当ては年間報酬の2.99倍を超えてはならないことになっていた。その規定通りであれば、フィオリーナの離職手当ては、$16.7Mを超えてはならないことになる。超過分は返還しろ、という訴えだが、離職から既に1年を経ており、実現はなかなか難しいだろう。