上記sourceは、年金改革で個人勘定を導入することは、デメリットが大きいので、反対である、との主張を行っている。それはそれで、メリット・デメリットを端的に整理しているので、ここでまとめておきたい。
メリット デメリット 公的年金に固有の個人勘定を保有する 自由と自己責任を実現する 規制は強くならざるを得ない。例えば、拠出は強制だし、運用の選択肢も限定される。 社会保険税の個人勘定への拠出 社会保険税が減額され、勤労意欲を刺激する。 税の減額は限定的であり、それほど大きな効果はない。 貯蓄率への影響 個人勘定への拠出により、貯蓄率が上昇する。これらが金利低下を通じて、投資を呼び込むことになる。 個人勘定を持つことで、逆に貯蓄率は低下する可能性がある。 株式投資の収益 個人勘定を設けることで、公的年金制度も、株式投資の収益を取り込むことができるようになる。 投資リスクを認めることになる。投資リスクを回避するためには、強い規制が必要となる。
管理人としては、ここに、次のような項目を追加したい。
メリット デメリット 公的年金の役割の縮小 将来世代の給付削減、税率抑制につながる 個人勘定創設に伴う、現役世代に二重の負担が発生する。
上記sourceは、福利厚生関係の限度額や税率等をまとめたものである。便利なので、参考までに掲載しておく。
FASBが、ストック・オプション(SO)会計の改訂を決定し、公表した。これにより、SOの費用化が義務付けられることとなった。適用は、来年6月15日以降(「Topics2004年10月14日(1) ストック・オプション費用化を半年延期」参照)。これで、議会の動き、特に上院がどのような動きとなるかが、焦点となってくる。
他方、FASBが費用化を義務付けたことで、IASと並んだことになる。日本のASBJも、SO会計基準の策定を急ピッチで進めており、近く公開草案が出てくるものと見られるが、その内容がちょっと波乱含みである。次の表は、その比較表である。
ASBJ公開草案(予定) 米国基準 国際会計基準 費用認識の要否 必要 必要 必要 費用認識の相手勘定(付与時の取扱い) 資本の部と負債の部の中間に独立の項目として表示 資本の部 資本の部 非公開会社等の特例措置 特例措置を設ける 特例措置、もしくは、公開会社と同じ処理の選択制 特例措置は設けない 基準適用開始日 2006年4月1日以降に開始する事業年度 (予定) 2005年6月15日以降に開始する事業年度 2005年1月1日以降に開始する事業年度
費用認識の必要性は共通しているが、ASBJ案では、付与時の相手勘定が、「資本の部と負債の部の中間に独立の項目として表示」となじみのない案となっている。これは、一つSO会計基準にとどまらず、貸借対照表のあり方そのものに問題提起しているものである。コンバージェンスを目指して急ピッチで検討してきたはずなのに、世界でも日本でも見たことのない処理が付いてきていることに、懸念と違和感を感じる。これでは、理論先行と批判されているIASBと同じ行動ではないだろうか。最終段階での冷静な判断を期待したい。
カリフォルニア州政府職員の年金プランに確定拠出型(DC)プランを導入しようとする提案が行われている(「Topics2004年12月1日(1) CalPERSトップ交代か?」参照)。提案者は、Keith Richman州下院議員(R-Granada Hills)であり、その提案概要は、ここに掲載されている。
上記sourceは、この提案をばかげていると一蹴するとともに、州職員年金基金にDCプランを導入することは、基金そのものの崩壊につながるとの懸念を表明している。source元のNCPERSは、州職員年金基金の連合会であり、こうした危機感を持つことは、ある意味当然と言えよう。さらに、既に報じられているように、CalPERSのトップが辞任に追い込まれたことも、NCPERSの危機感を高めていると思われる。CalPERSは、NCPERSのリーダー的存在であり、そのトップが辞めさせられ、矢継ぎ早にこのようなDCプラン改革案が示された訳だから。
おそらく、加州の年金改革提案を巡る議論は、全米の州政府を巻き込んで行われることになるだろう。その意味で、シュワ知事の投じた一石は、大きな波紋を呼んでいるといえよう。