12月20日 個人勘定導入のメリット・デメリット Source : Flaws of Private Accounts (Washington Post)

上記sourceは、年金改革で個人勘定を導入することは、デメリットが大きいので、反対である、との主張を行っている。それはそれで、メリット・デメリットを端的に整理しているので、ここでまとめておきたい。

 
メリット
デメリット
公的年金に固有の個人勘定を保有する自由と自己責任を実現する規制は強くならざるを得ない。例えば、拠出は強制だし、運用の選択肢も限定される。
社会保険税の個人勘定への拠出社会保険税が減額され、勤労意欲を刺激する。税の減額は限定的であり、それほど大きな効果はない。
貯蓄率への影響個人勘定への拠出により、貯蓄率が上昇する。これらが金利低下を通じて、投資を呼び込むことになる。個人勘定を持つことで、逆に貯蓄率は低下する可能性がある。
株式投資の収益個人勘定を設けることで、公的年金制度も、株式投資の収益を取り込むことができるようになる。投資リスクを認めることになる。投資リスクを回避するためには、強い規制が必要となる。


管理人としては、ここに、次のような項目を追加したい。

 
メリット
デメリット
公的年金の役割の縮小将来世代の給付削減、税率抑制につながる個人勘定創設に伴う、現役世代に二重の負担が発生する。

12月17日(2) 福利厚生関係の限度額 Source : 2005 Limits for Benefit Plans (AON)

上記sourceは、福利厚生関係の限度額や税率等をまとめたものである。便利なので、参考までに掲載しておく。

12月17日(1) ストック・オプション会計決定 Source : FASB Issues Final Statement on Accounting for Share-Based Payment (FASB)

FASBが、ストック・オプション(SO)会計の改訂を決定し、公表した。これにより、SOの費用化が義務付けられることとなった。適用は、来年6月15日以降(「Topics2004年10月14日(1) ストック・オプション費用化を半年延期」参照)。これで、議会の動き、特に上院がどのような動きとなるかが、焦点となってくる。

他方、FASBが費用化を義務付けたことで、IASと並んだことになる。日本のASBJも、SO会計基準の策定を急ピッチで進めており、近く公開草案が出てくるものと見られるが、その内容がちょっと波乱含みである。次の表は、その比較表である。

ASBJ公開草案(予定)米国基準国際会計基準
費用認識の要否必要必要必要
費用認識の相手勘定(付与時の取扱い)資本の部と負債の部の中間に独立の項目として表示資本の部資本の部
非公開会社等の特例措置特例措置を設ける特例措置、もしくは、公開会社と同じ処理の選択制特例措置は設けない
基準適用開始日2006年4月1日以降に開始する事業年度 (予定)2005年6月15日以降に開始する事業年度 2005年1月1日以降に開始する事業年度

費用認識の必要性は共通しているが、ASBJ案では、付与時の相手勘定が、「資本の部と負債の部の中間に独立の項目として表示」となじみのない案となっている。これは、一つSO会計基準にとどまらず、貸借対照表のあり方そのものに問題提起しているものである。コンバージェンスを目指して急ピッチで検討してきたはずなのに、世界でも日本でも見たことのない処理が付いてきていることに、懸念と違和感を感じる。これでは、理論先行と批判されているIASBと同じ行動ではないだろうか。最終段階での冷静な判断を期待したい。

12月11日 加州年金改革提案の波紋 Source : NCPERS Calls Plan to Privatize California Pension System "Dumb" (NCPERS)

カリフォルニア州政府職員の年金プランに確定拠出型(DC)プランを導入しようとする提案が行われている(「Topics2004年12月1日(1) CalPERSトップ交代か?」参照)。提案者は、Keith Richman州下院議員(R-Granada Hills)であり、その提案概要は、ここに掲載されている。

上記sourceは、この提案をばかげていると一蹴するとともに、州職員年金基金にDCプランを導入することは、基金そのものの崩壊につながるとの懸念を表明している。source元のNCPERSは、州職員年金基金の連合会であり、こうした危機感を持つことは、ある意味当然と言えよう。さらに、既に報じられているように、CalPERSのトップが辞任に追い込まれたことも、NCPERSの危機感を高めていると思われる。CalPERSは、NCPERSのリーダー的存在であり、そのトップが辞めさせられ、矢継ぎ早にこのようなDCプラン改革案が示された訳だから。

おそらく、加州の年金改革提案を巡る議論は、全米の州政府を巻き込んで行われることになるだろう。その意味で、シュワ知事の投じた一石は、大きな波紋を呼んでいるといえよう。