10月29日(2) アメリカ会計基準の再編 Source : Codificatoin and Retrieval Project (FASB)

こういうのがアメリカらしくて、羨ましい。日本でもそうなのだが、アメリカでも会計基準の設定主体がこれまでいくつもあったために、基準の作成元がバラバラになっている。上記sourceは、現在の基準設定主体であるFASBがすべての会計基準を統一的に再編しようというプロジェクトを開始したことを報じるものである。

イメージとしては、法典体系と同様のものを作ろうということだと思われる。

関連する基準が一箇所にまとめられれば、素人でも会計基準の全体像が把握しやすくなる。また、解釈基準なども、会計基準体系に合わせて整理してくれれば、より望ましい。

日本の法律も会計基準も、こうした整理を早くやってもらいたいものだ。

10月29日(1) 退職者医療とChapter 11 Source : US Air Pilots Vote to Take 18% Pay Cuts (New York Times)

Chapter 11で再建中のUS Airwaysは、パイロットの組合との間で、報酬を削減することで合意した。賃金の18%カットのほか、年金への拠出額の削減、勤務時間の延長、そして退職者医療プランの廃止が含まれている。

少し前までは、Chapter 11で年金プランを停止、廃止しようという動きが注目されていた(「Topics2004年9月14日(1) 早速年金拠出をストップ?」参照)。しかし、ここにきて、US Airwaysと同様、医療プランについても、Chapter 11を利用して、廃止しようという動きが注目され始めた(Kaisernetwork)。

10月22日(3) 年金会計疑惑 Source : Pumped-Up Pension Plays? (BusinessWeek)

上記sourceが大きな波紋を呼んでいる。

年金プランの予想収益率を高く見積もることで、利益を大きく見せているのではないか、という疑念のもと、SECが調査を始めている、という内容だ。現状、アメリカ企業の年金プランの予想収益率の平均は、8%台前半と見られており、SECは、9%台を前提にしている財務報告に疑惑を持っている。上記sourceでは、SECが6社について特に精査していると報じたため、メディアでは、その犯人探しに躍起になっていた。

その結果、調査対象になっている6社のうち、3社が判明した(New York Times)。 同じNY Timesでは、その他に怪しい企業として、Northwest Airlines、Baxter International、Eastman Kodakなどの企業名も挙がっている。収益率がわずかでも動けば、ファンド自体が大きいために、相当大きな影響額が発生する。SECが神経質になるのもよくわかるが、これら企業側の見通しも、少し無責任に過ぎると思う。特に、GM、Fordなど、レガシーコストに悩んでいる企業については、意図的ではないかとの疑いを持ちたくなる。

今のところ、SECが制裁を科すという動きがあるわけではなく、詳細な説明を求められている段階のようだが、あまり無茶な前提は、財務状況をゆがめる可能性がある。こういう点は、日本の企業は、ずいぶん生真面目だと思う。

10月22日(2) ストックオプション会計の仮決定 Source : October 13, 2004 Board Meeting, FASB

13日のFASB会合で、ストックオプション会計に関する仮決定が行われ、費用化は半年遅れて、来年6月15日以降となった(「Topics2004年10月14日(1) ストック・オプション費用化を半年延期」参照)。上記sourceは、その会合の議事録である。ご参考まで。なお、オリジナルはここにあります。

10月22日(1) カナダ医薬品業界が反発 Source : Canada deals blow to cheap US drug imports (Financial Times)

カナダの医薬品業界団体であるCanadian International Pharmacy Association (CIPA)が、アメリカからの処方薬の大量注文は受け付けない旨、意思表明を行った。

理由は、カナダ国内の処方薬の価格高騰、品不足への懸念である。

CIPAには、インターネット販売業者も多数含まれている。今後も、個人購入や、市レベルのまとめ買いには応じるものの、州単位の買い付けには応じない方針である。これで、イリノイ州やウィスコンシン州などは、方針転換をせざるを得なくなるだろう。

もう一人、打撃を被った人がいる。Kerry候補である。Kerry候補は、処方薬の価格抑制対策として、カナダからの再輸入解禁を公約に掲げていたため、大統領に当選したとしても、政策を変えざるを得ないことになる。