11月7日 2018中間選挙:民主党優位
Source :Post-ABC poll: Voters favor Democrats over Republicans in 2018 House midterms by widest margin in years (Washington Post)
「仮に今日選挙が行われた場合、どちらの党に投票しますか?」との問いかけに、有権者のうち51%が民主党、40%が共和党を選択した。
ようやく過半数とはいえ、これだけの差をつけて民主党が優位に立ったのは、2006年10月の中間選挙数週間前の調査以来だそうだ。その後の中間選挙で民主党は勝利し、上下両院とも多数を握った。

連邦議会共和党は、オバマケア廃止法案の失敗をはじめ主だった法案の成立に成功していない。こうした状況で、ますます税制改革に力を入れようとするのだが、その成否は見通せていない。それに選挙スタッフへの疑惑や主要閣僚のロシア経済界との癒着(パラダイス文書)も露見し、体勢を立て直すには相当の努力が必要な状況だ。

一方の民主党も喜んでばかりはいられないそうだ。先の大統領選でサンダース氏とクリントン氏の間に生じた亀裂はいまだに党を二分している。また、上の数字も、実際に2014年の中間選挙で投票した有権者に限ってみると、たったの2%のリードにしかならない。共和党支持者に比べて民主党支持者は実際に投票に行くかどうかに弱点がある。

2018年中間選挙まで、あと1年である。

※ 参考テーマ「中間選挙(2018年)

11月6日 MA上院の医療保険改革法案
Source :Massachusetts Senate Releases Comprehensive Health Care Legislation (ML Strategies and Mintz Levin)
10月17日、MA州上院に医療保険改革法案が上程された。法案名は、“An Act Furthering Health Empowerment and Affordability by Leveraging Transformative Health Care”と長ったらしい。医療費を抑制し、質を改善するための法案で、近年になく総合的な改革法案だと言われている。

以下、上記sourceから主な事項。
  1. 医薬品関連

    製薬会社と医薬給付管理会社(pharmacy benefit managers, PBMs)への監督を強化する。
    • 製薬会社、PBMに価格形成に関する情報提供を義務付ける。

    • Medicaidとは別に、複数州による医薬品共同購入の効果について検討する。

    • 保険給付購入よりも小売価格の方が安い場合、薬剤師は購入者に伝え、その小売価格で販売しなければならない。

  2. 医療機関

    • すべての医療機関に償還レートの目標設置を義務付ける。

    • 再入院割合のベンチマークを設定する。2017〜2020年は20%とする。ベンチマークを上回る医療機関を特定し、改善策を求める。

    • ネットワーク外診療費についてペナルティを設ける。

  3. 救急車費用

    • ネットワーク内外に拘わらず、保険会社は救急車サービス会社に直接給付しなければならない。

    • ネットワーク外サービス料を公定する。
これらの改革が実現すれば、州政府支出は2020年度に$114M縮減できるとされている。

上院は11月15日から始まる休会前に法案の可否を決める投票を行う予定だ。上院で可決されれば下院に送られるが、下院では大幅な変更が加えられるものとみられている。

医療費抑制に積極的に動いてきたMA州だけに、その動向に注目していきたい。

※ 参考テーマ「無保険者対策/MA州

11月5日 CMSの規制緩和提案
Sources : CMS to allow states to define essential health benefits (Modern Healthcare)
Few states may take CMS up on marketplace flexibility offer (Modern Healthcare)
10月27日、CMSは、PPACAに関連する規制緩和提案を公表した。

  1. 連邦立Exchangeで提供する保険プランの給付内容規定を緩和し、州政府の裁量権を強める。

  2. 州政府がExchangeの安定につながると判断すれば、MLR(Medical Loss Ratio)を80%から引き下げることを可能とする。

  3. 10%以上の保険料引き上げを申請した場合に、保険監督当局は同申請を精査しなければならないが、これを相当程度の引き上げが続いている中で15%以上の引き上げ申請をした場合に適用する。

  4. 保険加入期間を過ぎた後に年の途中から保険加入しようとする場合には、保険契約を継続していなければならないとの規制があるが、これをExchange適格プランのない地域に居住する者については適用しない。
PPACAで導入された規制のうち、最も議論の多かった規制を州の裁量に委ねながら緩和しようという試みである。ところが、州政府の方ではこれを歓迎してさっさと規制を緩和しようとする動きは限られるようだ。

CMSの報告によると、上記1.の給付内容規制については、10州しか関心を示していない。また、上記2.のMLR引き下げについては、22州のみである。いずれも現行制度で回っているという現実があるためで、制度変更して規制緩和を実行するかどうかの検討には時間を要する。ただし、共和党が政権を握っている州が関心を示すのではないかとみられている。

一方で、MLRの引き下げは、州レベルで活動する保険会社の新規参入を促す効果が期待される。保険会社が一つしかないような地域では、このMLRを引き下げ、保険会社の利益留保の余地を高めれば、新たな参入企業が出てくるかもしれない。大きな保険会社のExchange撤退が相次いでいる中で、これはこれで必要な政策手段と考えられる。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」、「医療保険プラン

11月4日 企業プラン:従業員負担増
Source :Employer Premiums Rise Nearly 7% in 2017; Employees Absorb More of the Health Insurance Cost (UBA)
2017年の企業提供保険プランの保険料伸び率は、6.6%と近年の中では最高となった模様だ。
以下、上記sourceが紹介する調査結果のポイント。
  1. 企業側負担の伸び率は1%以下、従業員側負担の伸び率は5%と、保険料増額の多くを従業員が追加負担した形になっている。

  2. 処方薬保険プランについて、4プラン以上の提供をしている企業が72.6%と大きなシェアを占めるようになった。中でも6プラン提供する企業の割合は、昨年の2%から32%へと飛躍的に増加した。これは、様々なプランを提供し、従業員の負担割合を拡大することで、処方薬プランのコストを抑制しようとする試みである。

  3. ネットワーク内の医療機関で受診した場合の自己負担は変化していないが、ネットワーク外の受診については、2016年13%、2017年17.6%(いずれも個人型プラン)と大幅に増やしている。

従業員負担を増やしながら、CDHPプランを増やしていって、従業員の選択をコスト抑制的なプランに誘導しようとしていることがわかる。

※ 参考テーマ「医療保険プラン