4月30日 失業率と無保険者 
Source : Number of Uninsured U.S. Residents Projected To Rise by 1.1M for Each Percentage Point Increase in Unemployment Rate, Could Strain Public Programs, Analysis Shows (Kaisernetwork)

上記sourceのポイントは、次の図表である。
080429 KAISER UNINSURED
失業率1%アップは、大変な影響をもたらす。また、悪い事に、これまでの経験では、失業率が改善しても、無保険者が大幅に減るということはなかった。つまり、下方硬直性があると思われる。3月の失業率は、5.1%と+0.3ポイントのアップとなった。また、かなりの無保険者が生じることになるのだろう。

4月29日 Brands vs Generics Source : If Generics Are Always a Cheaper Option, Why Do Some PBMs and Health Plans Push Brands? (AIS)

アメリカでも、ジェネリックを巡る問題は尽きないようだ。上記sourceでは、ジェネリックの利用が進まない理由として、必ずしもジェネリックが安いとは限らないことが紹介されている。
  1. ブランドの特許が切れた後、最初に参入できるジェネリックは、6ヶ月間、限定されるため、ジェネリックの値段はわずかしか下がらない。

  2. ジェネリックに対抗するため、ブランド品を提供する製薬会社は大幅なリベートを提供するため、ブランド品の方が安くなることがある。
ここで、管理人にはよくわからないことがある。DiscountとRebateの違いである。
Discount : a reduction in the usual price of something

Rebate : an amount of money that is paid back to you when you have paid too much tax, rent etc

(Longmanより)
感覚からいうと、Discountは、「仕入れの際に予め値引きする」ことで、Rebateは、「一旦は正規の価格で仕入れ、販売高に応じて払い戻しがある」ことのように思える。恒常的にRebateを受けることが分かっていれば、最終販売価格を予め下げることはできる。

しかし、消費者にとって、そのメカニズムを知ることはできない。自分が加入している保険プランで、ブランド品がどの程度のリベートを提供しているのかわからない。利益追求を必要とする保険プランでは、リベートによる仕入れ値の値下げ分を消費者には還元せず、自らの利益とする可能性が十分あり得る。そのために、ジェネリックではなくブランド品を推薦することになる。まさに利益相反が生じるのである。

4月26日 コンサルタントの利益相反 Source : Compensation Consultants and Conflicts of Interest : Two Different Views (Knowledge @ Wharton)

経営者(達)の報酬制度について、コンサルタント会社に設計を依頼する企業が増えている。ところが、そうしたコンサルタント会社は、依頼主である企業に対して他にもサービスを提供している場合があり、利益相反を抱えているのではないか、との議論が行われている。

利益相反があるのではないかと疑問を呈しているのは、連邦下院のCommittee on Oversight and Government Reformである。同委員会のレポートでは、Fortune 250社を調査した結果、利益相反の可能性が高い企業では、経営者の報酬が高くなっている、との結論を出している。

一方、利益相反の積極的な根拠は見当たらない、との結論を出しているのは、Wharton Schoolの2人の研究者によるレポートである。

Whartonのレポートが認めているように、下院委員会レポートのトレーサビリティが確保されていないため、どちらが正しいとの結論は出しにくく、今後とも、議論は続いていくものと思われる。

上記sourceの中で、個人的に興味を持ったのは、次のくだりである。
"The researchers found that 70% of the firms that used consultants relied on one of five large consulting firms: Towers Perrin, Mercer Human Resources Consulting, Hewitt Associates, Frederic W. Cook and Watson Wyatt. "
いずれも、当websiteではよく出てくる有名なコンサルタント企業であるが、何やらかつての会計事務所の「ビッグ5」と呼ばれていた構図とよく似ているような気がする。Enron事件が勃発するまでは、利益相反があるのではないか、との疑問が呈されていながら、なかなか大鉈を振るうことはできなかった。人事コンサルタント企業に同様の問題が生じないことを願うばかりである。

もう一つ、アメリカ企業の取締役会、報酬委員会は、実は機能していないのではないか、という疑問である。調査対象となっている大企業の7割が5社のコンサルテーションに依存している、ということは、要するに報酬委員会の責任逃れが行われているという実態を表しているのではないだろうか。コーポレート・ガバナンスの観点からも、注目すべき課題だろう。

4月25日 連邦政府がルール違反 
Source : Bush Administration Directive To Enroll Low-Income Children in SCHIP Before Expanding Coverage Is Unenforceable Because It Violates Federal Law, According to GAO (Kaisernetwork)

昨年8月17日、CMSは各州政府宛に、通達を発している。
SCHIPの加入資格をFPL250%以上の家庭の子供達に拡大するためには、
  1. FPL200%未満の家庭の子供達のMedicaidやSCHIPへの加入率を95%以上にしなければならない。

  2. 民間保険から公的プランへの安易な移行を防ぐために、FPL250%以上の家庭の子供達の場合には、1年以上の無保険期間があることを条件とする。
これに対して、多くの州政府が「条件が厳しすぎる」と反発しており、訴訟を起こしている州もあるという。

こうした中、GAOが、「CMSの通達は適切な手続きを踏んでいない」とする意見書を公表した。CMSの通達内容は、施行前に連邦議会に提示し、パブリック・コメントを求めなければならない、としている。

GAOの意見書には、CMS通達を無効にするなどの法的拘束力はないものの、連邦議会では重く受け止められている。今後、CMS通達の見直し圧力は高まっていくものと思われる。また、SCHIP見直しの論議(「Topics2007年12月31日 SCHIP延長法案成立」参照)にも影響が及ぶものと考えられる。

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いよいよ、GW突入です。我が家のGWは子供の学校の文化祭から始まります。もう夏のような気分ですが、皆さんにとっても楽しいGWとなりますようにす。