4月25日 上院両党有力者による法案 Source : Pharmaceutical Market Access and Drug Safety Act of 2004 (S 2328)
「Topics2004年4月22日(1) 処方薬輸入法案が続出」で紹介した上院両党有力者による法案の内容が明らかになった。上記sourceによると、法案概要は次の通り。
- 法案名:Pharmaceutical Market Access and Drug Safety Act of 2004 (S 2328)
- 個人利用の処方薬について、90日分に限り、カナダからの再輸入を認める。
- 輸入先は、FDAが認めたカナダ医薬品販売業者に限定する。
- オーストラリア、日本、ニュージーランド、スイス、2003年1月1日時点で加盟していたEU諸国に旅行した場合には、個人利用の処方薬について、90日分に限り、持ち帰ることができる。
- 法案成立後、90日以内に、再輸入ができるカナダの医薬品販売業者を認定する。
- 法案成立後、1年以内に、オーストラリア、日本、ニュージーランド、スイス、2003年1月1日時点で加盟していたEU諸国から、処方薬を輸入できるようにする。
- 外国からの処方薬を輸入する業者は、FDAに登録し、価格の最大1%を登録料として支払う。登録料は、FDAと税関にとって追加的に必要となる経費を賄うために使われる。
- 輸入業者は、製造元からの流通経路を明示しなければならない。
- 処方薬の再輸入を阻止しようとする製薬会社に対して、罰則を与える権限を連邦政府に付与する。
Chuck Grassley上院議員のthe REMEDIES Act「Topics2004年4月16日 処方薬輸入法案の新規提出」に較べると、外国製薬メーカーに対する検査が規定されていないこと、輸入を阻止しようとする製薬会社に対する「アメ」がないこと、などから、より輸入を広く認めようという意図がうかがえる。
4月22日(1) 処方薬輸入法案が続出 Source : Bipartisan Group of Senators To Introduce Bill Allowing Prescription Drug Reimportation From Foreign Nations (Kaisernetwork)
「Topics2004年4月16日 処方薬輸入法案の新規提出」で、いよいよ具体的な法案が提出されたことを紹介したが、その他にも同主旨の法案が予定されているようだ。
- 上院両党有力者による法案
- 提案者:
Sens. Edward Kennedy (D-Mass.)、Byron Dorgan (D-N.D.)、Senate Majority Leader Tom Daschle (D-S.D.)、Sens. Debbie Stabenow (D-Mich.)、 John McCain (R-Ariz.)、Olympia Snowe (R-Maine)
- 法案概要
- カナダからの輸入は即時に認める。
- EU、その他諸国で、先進的な制度を保有している国からの輸入は、1年以内に認める。
- FDAの安全性確保のための活動費用を賄うため、外国の医薬品販売会社に課金する。
- 業者のみならず、個人の輸入も認める。
- Judd Gregg上院HELP委員長による法案
(詳細は明らかになっていないが、多くの議員の賛成を得られる法案と見られている。)
面白いのは、前者の提案者の一人であるByron Dorgan (D-N.D.)は、「院内総務のBill Fristとは、話ができている。McClellanのCMS長官承認の際、審議ストップを止める代わりに、法案投票を行うとの約束を取り付けてある」と発言していることだ。それらしきことは、当websiteでも紹介(「Topics2004年3月14日 上院でのかけひき」参照)しているが、もっと具体的な約束を取り付けてあったようだ。
選挙の年で、同じイシューでいくつも法案が出されてくると、あまり反対のないまま、議論が進んでいくのではないだろうか。悪役にされてしまった製薬会社はどのような反攻に出てくるか、注目しておきたい。
4月22日(2) US Airwaysのトップ交代
Source : US AIRWAYS ANNOUNCES THE RESIGNATION OF DAVID SIEGEL AS PRESIDENT AND CHIEF EXECUTIVE OFFICER (US Airways)
US AirwaysのCEOが交代する。原因は、極端な賃金抑制に対する従業員の反発であったようだ。
前CEOのDavid Siegelは、就任当時、従業員に優しい経営を行うと宣言していただけに、意外な結末であった(「Topics2002年9月30日(1) Labor Friendly Investor」参照)。従業員に優しい投資家として提携を申し込んだRSAから、逆に首を切られた形になったのは、皮肉以外の何ものでもない。
新CEOに指名されたBruce Lakefieldは、前Lehman Brothers InternationalのCEOであり、RSA会長のDavid Bronnerと親しい関係にあるとされている。これで、事実上、RSAがUS Airwaysの経営実権を握ったものと思われる。いよいよ、年金ファンドによる航空会社経営が本格化する。
ところで、首となったDavid Siegelは、ご多聞にもれず、500万ドルという巨額のGolden Parachuteを手にする(St. Petersburg Times)。経営手法が悪くて首になっても、契約がそうなっているのだからいただきます、ということなのだろう。こういうところが、何とも言えず、アメリカ的である。