Source : | Massachusetts Governor Signs Noncompete Law (SHRM) |
アメリカの企業では、競合する企業に再就職しないこと、副業や転職後の職場において自社の情報を提供しないことなどを従業員に対して約束させる『競合禁止規定』がある。
財務省の調査(Non-compete Contracts: Economic Effects and Policy Implications : March 2016)によれば、調査時点で競合禁止規定によって縛られている労働者は18%、競合禁止規定によって縛られた経験のある労働者は37%にも達する。また、高卒以下、低中所得層でも14〜5%が調査時点で縛らていることから、労働市場では万遍なく広がっているものと思われる。 MA州は、新たな州法により、この競合禁止規定を大幅に制約することとなった。州知事は8月10日に署名している。主な規定は次の通り。全米で活動する企業にとっては、要対応の新法である。
- 施行日は今年10月1日。
- 次に挙げる従業員を競合禁止規定の対象にしてはならない。
- 残業代対象者
- 18歳未満
- 学生バイト
- 競合禁止規定を有効にするためには、次の条件を満たさなければならない。
- 禁止規定対象期間が12ヵ月以下。
- 新規採用者については、採用通知書、または初出勤日の10日前のいずれか早い時期に、提示する。
- 経営者と従業員の双方が署名する。
- 署名前に法的な相談をする権利があることを従業員に伝えなければならない。
- 退職者に競合禁止規定を適用する場合には、退職2年前のうち最も高い基本給与の50%を適用期間中に支払わなければならない("garden leave")。
- レイオフ対象者、または適切な理由なく解雇した者については、競合禁止規定を適用することはできない。
- 同法は、独立した契約者にも適用される。
- 同法は、セールス、または退職規定に競合禁止規定が含まれている場合には、適用されない。
- 同法は、MA州内に30日以上居住した労働者に適用される。
- 同法に関する訴訟は、従業員が居住するカウンティ、もしくは双方が了解していればボストンを管轄するSuffolk County上級裁判所で受理される。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」